今月のひとこと
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キーボードがないと書けない

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :10月号

7月頃までは「今年は台風が少ない」といっていたように記憶していますが、その後、立て続けに発生し、秋雨前線をも刺激、各地で記録的な大雨と被害をもたらしています。TVの実況中継では「長年住んでいるが、初めて経験した」といった声を多く聞きます。過去の気象データを基にしたリスクアセスメントの手順の中に、重大な欠陥があるのかもしれません。

先月の初めにPMシンポジウム2016が開催されました。65件の講演・ワークショップが、参加者の皆さんに様々な気付きをもたらしたのではないかと思います。PMシンポジウムでは、参加者の声を次年度に反映させるべくアンケートを書いていただいています。なるべく、お手を煩わせないようレ点を記入するだけの選択式としていますが、ご意見欄も設けています。参加者の皆さんからの、次回への貴重なサジェッションとなるご意見・ご感想ですので、集計作業は大変ですが、毎年、実施させていただいています。今年は、75%近くの方にアンケートをお出しいただきました。その半分以上のご意見欄に何らかのコメントが記載されていました。参加者総数が増え、アンケート回答率が上がり、まさに「うれしい悲鳴」をあげる状況でした。
このアンケート結果をどのように活かしていくかは、PMシンポジウム2017の実行委員会の皆さんに託されます。
アンケートのコメントをデータ化する作業の大変さは、どなたにも想像できると思います。コメントの件数はともかく、書いてある字が読めないのです。達筆・乱筆で読み難いものもあるのですが、漢字の偏とか旁が本来のものではなかったり、カナだけで書かれているために意味が取れないというものが多いのです。(中には漢字の間違った読み方でカナ書きしているものもあり、謎解きに相当の時間を要することもあります)普段、パソコン等に頼って文章を書いているため、手書きになると簡単な漢字が書けなくなっているためと推測されます。編集子自身、かなり簡単な漢字でも手書きでは書けなくなってきています。パソコンに文字を入力していくと自動的に変換してくれます。手書きが専らだった頃には覚えていた漢字が思い出せなくなっています。
アンケートをパソコン入力でも出来るようにすると、もっとたくさんのご意見を頂けるかもしれません。アンケートに書かれた文字からは「何で手書きなんだ」という怒りの声が聞こえてくるようです。

今年のPMシンポジウムでは、受講中のパソコン使用を控えていただくようお願いをしました。キーボードを打つ音が他の参加者の迷惑になるとの理由です。アンケートには、そのことについて理解を示しつつも「解禁して欲しい」との声が多くありました。ネット上でも講演・講義中のパソコン使用について議論されています。受講者の大半がパソコンを使うとか、会議や打合せといった場合には、問題になることは少ないようです。講演の場合は、マナーとしてだめだという以外に「そもそもキーボードをたたいていたのでは、講演の内容が頭に入ってこないだろう」といった意見もありました。ブラインドタッチだったとしても、変換結果を確認するために画面を見なければならず、講演に集中できないはずだというのです。編集子の場合はパソコンへの入力スピードも遅いので、この指摘通りですが、打鍵しながらも講演に集中できる人は、大勢いるのではないかと思います。
筆記具はサインぐらいにしか使わない、キーボードがないと文章が書けないという方のために、PMシンポジウムでパソコン使用を解禁する日がくるのでしょうか。PMシンポジウム実行委員会議では、そういったことも議論しています。そのことだけのために、実行委員会に参加してみるのもいいのではないでしょうか。

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