PMRクラブ
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「大規模スポーツイベントとプロジェクトマネジメント」

ラグビーワールドカップ2019組織委員会 企画局企画調整部
中田 宙志 [プロフィール] :10月号

 2016年9月8日の「PMRクラブ」で、「大規模スポーツイベントとプロジェクトマネジメント」というテーマで話題提供をさせて頂いた。当日の会の内容は以下の通りであった。

【スポーツ関連の一般情報提供】
守秘義務の観点から提供できる情報が限定的な為、日本スポーツ界の概況(スポーツの事業モデル、事業規模、収益・収支構造、競技人口の分布他)とメガスポーツイベントの一つである「ラグビーワールドカップ2019TM」の一般情報について、P2M(プログラム & プロジェクトマネジメント)のフレームワークに基づき提供した。
【ディスカッション】
さまざまな業界をまたいで共通するプロジェクトマネジメント上の課題につき、ディスカッションを実施した。その概要は以下の通り。
<対比表~P2Mフレームワーク vs. スポーツ界概要>
1. プロジェクトの分類・類型
スポーツ事業は既存のP2Mの分類には属さない新しい分野である。
2. ミッションプロファイリングの概念図(To Be)
スポーツ庁及びラグビーワールドカップ2019組織委員会が現行掲げるビジョンについて説明。
3. プロジェクト遂行のマネジメントサイクル
スポーツイベントのマネジメントサイクルにつき説明。
4. ステークホルダーマネジメント
政府、地方自治体、民間企業、各スポーツ協会と取り巻くステークホルダーが多岐にわたる。
5. スコープマネジメント
スポーツイベントの一般的なスコープの区分けにつき説明。
6. 価値と価値評価
成功の定義が一概にも経済的成功と位置付けられない点につき説明。

P2Mのフレームワークとスポーツ界との親和性と違いについて、活発な意見交換がなされた。
特に以下2点につき議論できたことは非常に有意義であった。
『東洋思想がベースの日本で、欧米式のマネジメント手法が適応できるのか?』
『経済指標だけではなく、文化やレガシー等の定量化できないゴール(成功)をどう取り込むか』

エンジニアリングやビジネスフィールド中心で発展してきた「PM理論」ですが、これからはスポーツイベント等のイベントマネジメント領域にも接近しつつあります。それぞれの分野には独特の事情や特性がありますので、先ずはお互いを知る必要があります。その意味でも、今回の会合は有意義なものではなかったかと思います。これを機会に、継続的に情報交換を行い、PMの新たな活用の事例づくりに繋がっていければと期待しています。多様なバックグラウンド持つ参加者の皆さんと、非常に広がりのある情報交換と議論が出来ましたことをお礼申し上げます。

以上

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