製薬会社で医薬品開発に携わるようになり、入社6年目からデータマネジメントグループ(5~6人のグループ)のリーダとなり、外回り(モニター)のグループが持ち帰った、医者から得られたデータをクリーンにする(チェックする)作業を行いました。モニターは30人くらいで、一人が複数のデータを持っている為、山のようなデータを処理する必要があり、がむしゃらに働きました。幸い皆が協力してくれてプロジェクトは成功しました。成功した要因は、個別の事情を聴き、理解しようとしたこと、即ち「傾聴」したことだと思います。「傾聴」の大切さを実感したのはこの経験が最初です。
2001年にPMOに配属されました。製薬会社のPMOはほぼゼロからスタートでした。PMやPJメンバーはPMOの役割がわかっておらず、逆にPMOは現場でどういう支援が必要なのかわからない為、行き詰ってしまいました。そこで現場の悩みを丁寧に「聴き」、求められる支援や標準化等、ひとつずつやれることをやってきました。PMOができることとできないことをオープンにし、PMやPJメンバーが情報をオープンにすることで、相互理解が深まり、信頼関係を築くことができました。
その間、PMSに合格し、産業カウンセラーに合格した訳ですが、一方で社外活動として製薬会社の勉強会に、2008年から年4~5回程度参加していました。プロジェクトマネジメントを医薬品開発業界に普及するための勉強会で、2013年にはその代表になりました。社外でもよい人間関係が築けているのは、「傾聴」が大いに役立っていると感じています。そして昨年、プロジェクトマネジメントとカウンセリングの融合についてもっと広めたいと思い、独立して起業しました。
今振り返ると、本当に人に恵まれていたと思います。また、人に動いてもらうには、自分自身が目標に向かって努力することが不可欠であると感じています。 |