例会部会
先号  次号

「第210回例会」報告

PMAJ例会部会 上野 周雄 [プロフィール] :8月号

【データ】
開催日: 2016年5月27日(金)  19:00~20:30
テーマ: 「プロジェクト成功の鍵となる文書化手法」
  ~結果を出す文書化(ドキュメンテーション)とは~
講 師: 丸山 有彦 氏/業務コンサルタント・myコンテンツ工房代表
講師略歴及び講演概要:   こちら のリンク先の例会案内をご覧ください。

【はじめに】
 今回は、会場が満席で、文書化手法に興味を持たれている参加者の多さに驚きました。
 セミナーの内容は、昨年のPMシンポジウム2015で高評価を頂いた講義をより分かりやすくブラッシュアップした短縮バージョンで、PMが身に着けるべき文書化手法について次の三つの観点からお話を頂きました。
1. マネジメントにおける文書化(ドキュメンテーション):
「機能」と「目的」の確認とその対策
2. 強い組織づくりのためのドキュメンテーション:
「スピード」と「実質」のある形式をどうつくるか
3. 結果を出すドキュメンテーションの手法
「見える化」「知識化」「構造化」をどう行うか
 一時間半にぎっしり詰まった講義のエッセンスとその概要を以下にご紹介致します。

【講演概要】
■マネジメントにおけるドキュメンテーション
記述することの意義
言葉による記述が、社会生活の基礎となる
ドキュメンテーションの定義
文書化(ドキュメンテーション)とは、情報を文書(ドキュメント)に記述すること
文書化手法の変化
電子化の影響でスピードと実質的内容が重視されるようになった
ビジネス文書の変化
グローバル化の時代、ビジネスモデルのチェンジが早まり、ビジネスモデルの構築が重要となる。ビジネス文書のあり方も変わってきた
業務の構築の位置づけ
業務の構築→業務の運用→業務の改善
業務の構築に必要なこと
思考を明確化して記述することが不可欠である
ビジネス文書作成の変化
PPT(パワーポイント)禁止→文字での文書作成の過程で思考が深まる
思考の見える化
言語化する作業が思考の見える化である
図形は分りやすいか?
図表化は、本質をついた言葉にはかなわない
PPT不使用の理由
発表者の思考を深めることにつながらない
■強い組織づくりのためのドキュメンテーション
マネジメントの基本構造
目的を具体的な目標に絞り込み、目標達成のための手段を考える
ビジネス構築の基本戦略とフレーム
「誰に」「何を」「どう売るか」
ビジネス文書作成の戦略
「誰に」「何を」「どう伝えるか」
文書作成と創造の手段
似ている→要素の組み合わせである機能を果たす構造を作り上げるのが創造
モノ・サービスの創造過程
要素 × 構造 = 機能
ビジネスとビジネス文書の一体化
「誰に」「何を」「どう売るか」の要素を組み合わせ仕組みにし、それを見える化する
目標の設定
マイルストーン毎の目標とゴールの目標
目標管理の方法
サイバネティックスとフィードバック
目標管理の道具
文書→簡潔・適確な文章が必要である
■結果を出すドキュメンテーション
見える化の方法
思考を簡潔・適確に文章化すること→わかりやすい文章かどうか自己チェックする
記述:簡潔・適確な日本語
主語・述語のはっきりした文章を書く
知識化のサンプル:報告書の基本形式
知識化とは、使える形式に記述すること、報告書は目標管理のツールである
構造化:ビジネス文書作成の基本
伝えたいことを明確に伝わるように構成する
要素と構造の把握の仕方と練習の方法
構造化の練習をする:新聞の社説(約1000文字)から構成を探る
ポイントに線を引く
構成メモを作る
100字の要約を作る
自己検証:要素と構造の把握
自己検証が重要、100字要約で自己検証ができる
うまくまとまったという感覚が重要
100字要約がうまくまとめられれば、その前の段階も外れていない
見える化・知識化・構造化
思考を言語化・使える形式に記述・創造の過程と同じ文章作成(練習が有益である)

【感想】
 JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)で「わかりやすいマニュアル作成」の講座を継続開催し、評価の高い講師である丸山氏に、「結果を出す文書化」について、言葉の意味、その理由とその手法を分りやすくお話し頂き、素晴らしい内容であったと思います。
 最後にお話し頂いた、「結果を出す文書化」を身に着けるための新聞の社説を使う練習方法は、簡単で効果的な練習だと思います。ぜひ自分の文書化力を磨くためにもやりたい方法です。
 丸山先生、有益な素晴らしいご講演をありがとうございました。

以上

ページトップに戻る