例会部会
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「第209回例会」報告

例会部会長 枝窪 肇: 6月号

【データ】
開催日: 2016年4月22日(金)  19:00~20:30
テーマ: 「新しいビジネスの創造」
  ~如何に発想し、如何に実現し、如何に成功させるか~
講 師: 川勝 良昭 氏/(株)映像システム・専務取締役、(株)ベル総合研究所・専務取締役、経営コンサルタント等

【第209回例会 報告】
~はじめに~
 講師の川勝氏はビジネスイノベーションの第一人者で、PMAJでも平成25年度にビジネスイノベーションSIG(研究会)を立ち上げられ、活動されました。
 昨今、企業では、収益ある成長事業の構築に必要な画期的なビジネスイノベーションが求められていると思います。川勝氏は日頃より、「ビジネスイノベーション成功の鍵は発想である」「ビジネスイノベーション戦略は欠かせない」とおっしゃっています。今回は、どうやって新事業を創り上げていけばよいのかという観点で、独創的な発想法と実践アプローチについてご講演いただきました。

~講演概要~
■講演の主眼点
講演のテーマの前提となる「そもそも論」をほんの一部紹介
講師が失敗または成功した過去の事業プロジェクトと、現在検討中の事業プロジェクトの紹介
講師の成功と失敗を支え、「新しいビジネスの創造」に深くかかわる「夢工学」と「夢工学式実践論」の紹介と問いかけ
■そもそも論
現在の日本は、明治維新以降最大の「構造的危機」に直面している。
「総合起業活動率(TEA)」において、日本は全世界の中でほぼ最下位である。
世界では北米、欧州、中国、東南アジア等が「都市開発競争」を繰り広げる中、日本のみ「蚊帳の外」である。
日本は現在の自分たちの状況を理解しないまま取り残されている。
■失敗した事業プロジェクトと成功した事業プロジェクト
 これまで講師がかかわってきた事業プロジェクトの中から、失敗したものと成功したもの、さらに現在検討中のものを、それぞれ約10ずつ紹介した。
 ここで、成功したものについては単なる自慢話しではないことをご認識いただきたい。
■新しいビジネスの創造に対して、如何に発想し、実現し、成功させるか?
如何に発想するか?
 世の中には「発想論」が無数にある。(講演では講師の提唱する「夢工学式発想法」など130以上の発想論を紹介。)
如何に実現し、成功させるか?
 世の中には「成功論」「失敗論」が無数にある。
 そうした無数の中からどれを信じ、どれを使えばよいのか?を考えなくてはならない。
■夢工学
成否研究の失敗と成功
 多くの時間と労力と費用を掛けて「成功と失敗の方程式」に相当する「事業プロジェクトの成功と失敗の原因体系」を完成させたが、周囲から真の「賛意」を得られなかった。後に、成否を分ける「根源因子」を明らかにしていなかったためだと知る。
 その後、ある曲を聴いたことをきっかけに「夢」が成否を分ける「根源因子」であることを知る。
 プロジェクトの成功と失敗の原因体系の根源因子に「夢」を位置付けることで成否研究は成功し、「夢」を起爆剤とする「考え方」「方法論」を構築した。
(抗)悪夢工学
 「夢工学」だけでは事業プロジェクトは実現しない。何故なら「夢」を破壊する人物がいるからである。夢破壊者の破壊工作を防ぐため、「(抗)悪夢工学」を構築した。
■夢工学式発想法
夢工学式発想法
 「夢工学式発想法」は「発想ルール」「発想マニュアル」「発想手順」などを一切求めない(「自由発想」を妨げないため)。
真似して真似せず
 新しいアイデアを出すときには似たようなものを探すことから始める。
「発想促進法」と「発想阻害排除法」
 「発想促進法」では「とらぬ狸の皮算用」を描く事。「発想阻害排除法」は自由な発想を阻害するものを排除し発想に集中する事。
■まとめ
失敗学と悪夢工学
 「失敗しない様にすれば成功するのか?」その答えはNOである。同様な失敗は防げるが、「成功するようにしないと成功しない」のである。
 この考え方は「失敗学」と「悪夢工学」それぞれの提唱者が合意、確認したことである。
 「失敗学」は「善意、善行、善人」を前提としているのに対し、「悪夢工学」は「悪意、悪行、悪人」を前提としている。どちらか一方ではなく、両方が必要である。

~感想~
 まず今回の例会に参加させていただいて驚いたとともに良かったと感じた点は、川勝様の経験を凝縮した資料(ページ数:106ページ)をいただけたことです。一つの「書き物」として成立しており、これをいただけただけでも参加した価値があると感じました。
 また、失敗は成功のもとという言葉があるが、失敗は同じ失敗をしないためには役立つものの、成功のもとになるのは成功しかないということに、深く納得させられました。
 川勝様、色々な成功/失敗談を織り込みながらの有意義なご講演をいただき、ありがとうございました。

 最後に、我々と共に部会運営メンバーとなるKP(キーパーソン)を募集しています。参加ご希望の方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。

以上

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