ラグビーワールドカップによってもたらされるもの
鎌賀 信吉: 8月号
今朝7時のNHKニュースは、熊谷市でラグビーワールドカップのボランテイア講習があったと報じました。ラグビーワールドカップは世界3大スポーツ祭典といわれ、ワールドラグビー(ラグビーユニオンの国際統括団体、本部:ダブリン)が主催、運営管理をラグビーワールドカップリミテッド(RWCL)に委託しています。日本ラグビーフットボール協会は開催協定を結んで、ラグビーワールドカップ2019組織委員会を組織しています。開催都市などの自治体や運営団体は、これらの上部組織と連携をとりつつ、住民を巻き込み準備を進めていく必要があります。日本ラグビーフットボール協会にとってもアジアで初めてのワールドカップであり大きなイベントですが、開催する自治体にとっても一大プロジェクトになります。そのような裏話を以前伺う機会があったため、不意に画面に現れた光景は朝から嬉しいお知らせとなりました。
奇跡の9・19から国内でのラグビー人気は高まっており、リオでのセブンスジャパン・サクラセブンズの活躍も期待されています。では2019年はどうなっているのでしょう。試合開催地(12会場)をあげてみます(2015年3月決定、その後1会場変更されましたが・・・)
開催都市 |
試合開催会場 |
収容人数 |
札幌市 |
札幌ドーム |
41,410人 |
岩手県・釜石市 |
釜石鵜住居復興スタヂアム(仮称) |
16,187人 |
埼玉県・熊谷市 |
熊谷ラグビー場 |
24,000人 |
東京都 |
東京スタジアム (2015/9/28会場変更) |
49,970人 |
神奈川県・横浜市 |
横浜国際総合競技場 |
72,327人 |
静岡県 |
小笠山総合運動公園エコパスタジアム |
50,889人 |
愛知県・豊田市 |
豊田スタジアム |
45,000人 |
大阪府・東大阪市 |
東大阪市花園ラグビー場 |
30,000人 |
神戸市 |
神戸市御崎公園球技場 |
30,312人 |
福岡県・福岡市 |
東平尾公園博多の森球技場 |
22,563人 |
熊本県・熊本市 |
熊本県民総合運動公園陸上競技場 |
32,000人 |
大分県 |
大分スポーツ公園総合競技場 |
40,000人 |
なお、開催スタジアムのキャパシティーにはガイダンスがありますが、いずれもクリアしています。
開幕戦・決勝・準決勝・3位決定戦 |
6万人以上 |
準々決勝 |
3万5000人以上 |
プール戦 |
カテゴリーA |
4万人以上 |
(ティア1同志、日本の試合) |
|
カテゴリーB |
2万人以上 |
(ティア1とそれ以外の対戦) |
|
カテゴリーC |
1万5000人以上 |
(ティア2以下の対戦) |
地域のボランティアだけでなく、全国規模で通訳ボランティア育成・派遣するため、全国外大連合(東京外国語大学、神田外語大学、名古屋外国語大学、京都外国語大学、関西外大、神戸市外国語大学、長崎外国語大学)と協定を締結して、育成セミナーの開催なども始まっています。
これからは、各国代表が滞在するキャンプ地を決めるプロセスが始まります。2016年8月応募開始に向けて、ラグビーワールドカップ2019組織委員会よりガイドラインが提供され、自治体の誘致する準備活動も始まっています。試合開催都市のみならず、ラグビー合宿のメッカとして有名な菅平高原(上田市)や別府市、長門市、石巻市、北上市、佐賀市、長崎市などでも誘致活動がくりひろげられています(一部だけしか紹介できず、すいません)。
従来、スポーツイベントのメリットとして経済効果やインフラ整備が多くあげられてきました。しかし、ロンドンオリンピックのレガシー研究等で明らかされてきている通り、最近はイベント後にももたらされる効果について注目が集まっています。
期待される一般的な効果 |
実例 |
地域の認知度アップ |
2002年の中津江村 |
地域文化の活性化 |
北見市のカーリングへの取り組み |
国際交流 |
長野オリンピック以降の一校一国運動後の効果 |
国際スポーツ受入による経験の向上 |
2002年W杯後の新潟市のイベント誘致の取り組み |
このように、イベント後も長い間、地域に効果をもたらしている例は数多く残されています。スポーツイベント誘致にとどまらず、広くインバウンドへ対応できる環境の整備・人材の育成ができることは地域の成長性にも大きく寄与することになります。
また、自治体も組織委員会や都道府県ラグビー協会との連絡・調整を行うことが求められています(公認チームキャンプ地コーディネーター)。最近、実施され始めている外部からのコーディネーター募集を含めて中長期に取り組みを計画し、多くのステークホルダーをまとめて成果をあげていく経験値も、将来の行政サポートに生かされることが期待されます。P2M研究会ではこの点に着目し、今年度、研究テーマの1つにあげ、考察を進めていく予定です。
以上
【出典】
【ラグビーワールドカップ】日本開催の立候補都市が発表 |
(JSPORTS 世界ラグビーNAVI) |
ラグビーW杯公認キャンプ地 初の説明会 |
(NHK NEWS WEB) |
W杯を作りあげる2019組織委員会動き出した日本大会の計画と期待 |
(Sportsnavi) |
菅平にラグビーワールドカップ2019キャンプ地を誘致する会 |
(facebook) |
ラグビーW杯キャンプ誘致へ |
(CTBメディア) |
ラグビーワールドカップ2019長門市招致委員会 |
(ホームページ) |
<W杯ラグビー>石巻市がキャンプ地誘致意向 |
(河北新報ONLINE NEWS) |
<ラグビーW杯>北上市、公認キャンプ誘致へ |
(河北新報ONLINE NEWS) |
「海外チームのキャンプ誘致に向けたプロモーション映像」を制作しました |
(佐賀県ホームページ) |
長崎市ラグビーキャンプ誘致委員会 |
(ホームページ) |
ラグビーワールドカップ2019試合開催(希望)自治体相談窓口 |
(総務省ホームページ) |
全国外大連合とラグビーワールドカップ2019組織委員会との協定調印式開催 |
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(全国外大連合ホームページ) |
2012年ロンドンオリンピック・レガシーの概要 |
(自治体国際化協会) |
カーリングの歴史 |
(北見市ホームページ) |
新潟市文化・スポーツコミッションとは・・・ |
(ホームページ) |
まちなみ再生コーディネーター |
(日南市ホームページ) |
ラグビーワールドカップ2019TM 公認チームキャンプ地ガイドライン |
ラグビーワールドカップ2019日本開催が意味するもの |
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(公益財団法人ラグビーワールドカップ2019 組織委員会) |
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