東京P2M研究部会
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IoT時代のサイバーセキュリティ戦略の研究

水ing株式会社 内田 淳二 [プロフィール] :7月号

 今回は、H27年度研究会活動報告「サイバーセキュリティⅡ~IoT時代のサイバーセキュリティの研究~」に関する概要を紹介させて頂きます。
【世界最先端IT国家宣言】
 我が国は、2000年に高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(以下、IT基本法)を制定し、『インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会 (IT基本法二条、下線強調by筆者)』の構築を掲げ、『すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、その利用の機会を通じて個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となり、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会 (IT基本法三条、下線強調by筆者)』を目指すとしました。
 P2M的に解釈すると、一億総活躍社会構築が国家の理念、インフラ整備を国を挙げて推進することが国家のミッションということになります。また、IT基本法二十五条、二十八条でミッション達成のための施策実施部隊として内閣総理大臣を本部長とする高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の設置が定められました。施策実施計画の重点項目は、基本法35条で
1. 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成の促進
2. 人材の育成
3. 電子商取引等の促進
4. 行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進
5. 高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保
の五つに絞り込まれ、国家政府のなすべきこととその達成時期を明記した「世界最先端IT国家宣言」が2013年に戦略本部より発表公開されました。
【サイバーセキュリティ】
 IT基本法制定より15年を経た昨年1月、サイバーセキュリティ基本法が施行され、政府内に内閣サイバーセキュリティセンター:NISC を事務局とするサイバーセキュリティ戦略本部が設置され、9月に「サイバーセキュリティ戦略2015」が閣議決定されました。「戦略」では、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催、そしてその先の2020年代初頭までの将来を見据えつつ、今後3年程度のサイバーセキュリティ政策の基本的な方向性を示すものであり、関係者の共通の理解と行動の基礎となるものである」とされています。
 サイバーセキュリティ基本法の制定の背景には、ICサーキットの性能向上に伴う情報流通の速度と量の劇的な発展で遠隔地にある人と人をつなぐ手段であったものから「あらゆるもの」がつながるIoT:Internet of Things やIoE:Internet of Everything と称される時代の到来があります。すべてのモノとひとがサイバ-空間 でつながりを持ち、世界中の組織・個人が自由に行う情報交換が新たな価値を生み出す世界に突入するとされています。爆発的に増加するアイデアの宝庫となるサイバー空間の公共性を維持し、経済発展の原動力とするには、サイバー空間に潜む脆弱性を明らかにし、これを軽減させる活動を社会規範として定着させ「情報の自由な流通の確保」することが求められています。
【P2M的展開】
 一億総活躍社会の実現を理念、高度情報通信社会形成インフラの整備をミッションとするプログラムをP2Mで図解しました。
 世界最先端IT国家宣言とサイバーセキュリティ戦略2015が、プログラム実行の両輪となっていることが分かります。

【最後に】
 東京P2M研究会では、代表幹事を渡部氏から内田が引き継ぐことになりました。PMコミュニテイへの発展に役立つ活動を継続してまいりますので、引き続き関係各位のご支援をお願いする次第です。
 最後までお読みいただきありがとうございました。
                           
以上

 ※用語の説明
NISC : 2015.1.9 発足。センター長は、内閣官房/安全保障・危機管理担当副長官補。副センター長(内閣審議官)が、実務を仕切る。主要4省庁(総務省。経済産業省、警察庁、防衛省)の内閣審議官が、持ち回り。
サイバー空間 : 陸、海、空、宇宙に次ぐ第五の戦場と位置付けられている。(オバマ米大統領が、2010年2月に発表した『4年ごとの国防戦略見直し(QDR)』文書で言及したグローバルコモンズ(地球社会の公共領域/国際公共財)の一類型。多様な主体に開かれた公共領域。公共秩序を提供するガバナンス体制の構築が求められている。

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