関西P2M研究部会
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『ビッグデータとP2M研究分科会』の活動を振り返って

柿原 泰宏 [プロフィール] :7月号

 関西P2M研究文科会『ビッグデータとP2M研究分科会』に、分科会活動となる前の準備段階から、勉強会の期間も含めて約1年半の間参加させて頂きました。勉強会の段階では多くの文献から事例を知ることで、分科会においてどのように調査・検討を進めるべきであるかを検討しました。そして、分科会での活動は、事例を知ることで、ビッグデータがプロジェクトマネジメントに与えるインパクトを検証してみることを目標にスタートしました。

 実際の分科会活動は以下のような内容となりました。
第1回 勉強会の振り返りと分科会活動の活動方針・計画の検討
第2回 ビッグデータツールのデモンストレーション
第3回 農機に食味のわかるセンサー搭載の事例
公開情報事例紹介、PM目線による分析の報告
IoT/IoEの価値創造による経済活動への期待(講演受講内容の報告)
第4回 RESAS(地域経済分析システム)による観光データ分析
ビッグデータに関連する各省庁の動向

 実際のところ、この活動のスタート時にはまだビッグデータについてよく理解できていなかった面もありましたが、いろいろな事例を知ることができ理解もできました。活動開始時にはビッグデータはまだ実証段階という印象があったものが、現時点では既にビジネス等での利用がどんどん広まっているとう状況であり、この進化の速さには驚きました。これからも、ビッグデータ、IoT/IoE、AIといったIT技術の進展は、様々な分野に対してインパクトを与え、企業だけでなく国の政策においても、ビジネスの進展、競争力の源泉としてこれらの技術の利用が必要不可欠になっています。日本には世界に先駆けてこれらの技術を活用していく使命があるものと思われます。日本再興戦略において、ビッグデータ、IoT、AIによる第4次産業革命の実現が具体的施策として定義されています。各国でも重要な国家戦略としてこれらの技術を位置づけており、ドイツのインダストリー4.0などが特に有名ですが、アメリカ、中国といった大国においても国家的に取り組みを進めています。
 このような状況の中、プロジェクトマネジメントの分野においても、ビッグデータによって得られる、精緻で多岐にわたる情報の収集とその分析により新たな次元での取り組みも必要になるであろうということが、今回の研究成果として理解できたように思います。では、具体的にはどうなるのか、と気になるところとは思いますが、現時点ではまだ、人間の判断や思考が重要視されるプロジェクトマネジメントやソフトウェア開発等の場面でビッグデータを利用した事例はまだないように思われます。しかしながら、ビッグデータから過去のトレンドを分析することで早期にプロジェクトのリスクを察知し、対策をタイムリーにうてるようにする、といったことができればそれはプロジェクトマネジメントにおいては非常に有益なことです。近いうちに、そんなことが当たり前になっていくものと思われます。しかし、それでも、いろいろな情報を総合して最終的に判断するのは人間であり、プロジェクトマネジメントに求められる最も重要な要素であることを改めて感じます。

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