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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (26)
高齢化社会の地域コミュニティを考えよう (2)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 5月号

Z. 先月から「高齢化社会の地域コミュニティを考えよう」に取り組みました。
1. 地方自治の中の地方創出事業として最も高齢化率の高いXX町が「安心して住み続けられる地域再生事業」を立ち上げ、WW地区が先行してこの事業計画を策定し始めました。
WW地区は現在の社会現環境から一挙に変化することはしないとおもいます。
しかし、研究会はグローバル社会が高齢化社会の先頭バッターとして日本に求めるものは、高度なものと想定して、この問題に取り組むことにしました。
理由1: 2016年1月に佐藤智恵著「ハーバードで、一番人気の国・日本」が出版され、高齢化社会一番乗りの日本がこれに応えてみる研究会が命題となりました。
理由2: 2015年10月に笹谷光秀著「『協創力』が稼ぐ時代」が出版され、金銭的収入源資がないと改革もむずかしいと考えました。

2. P2M+「協創力が稼ぐ時代」
2015.10.に笹谷秀光著「ビジネス思考の日本創出、地方創出『協創力が稼ぐ時代』が出版された。P2M研究会ではP2Mとこの本をベースにXX町とは関係なくZZ町の課題を解決するプログラムに取り組んだ。
  2.1 プログラム名称「安心して住み続けられる地方再生事業1」
プログラムの使命・目的・目標(後述)
  2.2 課題解決のためのプラットフォーム・マネジメント
21世紀型【電子・コミュニティ(バーチャル→リアル)空間】戦略の活用
  2.3 協創力による稼ぐ時代
「顔の見えるXX町」へのアプローチ
「共通価値創造」へのアプローチ
「発信型三方よし」へのアプローチ
を進めた。(後述)

Z. 今月は3.プログラムへ使われるユニーク性の検討から始めます。
3. P2M研究会の考えるユニーク性(“ゼロベース発想”)
  3.1 高齢化社会の到来は世界共通の問題である。世界に先駆けてなるほどと思わせるアイデアを出したい。世界が追従したくなる内容はないかを考える。
・ユニーク性の1: 通常のプログラムと異なる。
人生をプログラムに譬えると、通常のプログラムは如何に楽しく、『有意義な人生をおくれるか』!である。
本プログラムは『如何に幸せに死ねるか』を捉えるを目標とする。
・ユニーク性の2: 健康長老と呼はれる80歳を過ぎた人間を個人としても、プログラムとして新たに定義しなおす。
国家としては健康老人が増えると計算上は年金を支払う余裕がなくなる。国民国家としてのホンネは、早く極楽へ行って欲しい。
個人としては最高の人生を送れたことに感謝しなければならない。健康長老は感謝の気持ちの表れとして年金を受け取る代償としてボランティア活動に励むことを自主的に義務づけることが望ましい。そしてその活動はできるだけ、要介護老人ケアに関連するもので、体力的でなく精神的介護、利便的介護で、要介護者から感謝され、本人も介護したことでその生き方に満足できることでありたい。
・ユニーク性の3: 目指すプログラムはボランティア活動で健康長老に桃源郷的快楽をあたえる環境をつくることを自律的に獲得する、そして周囲も協力する環境を創り出す。
・ユニーク性の4: ボランティア活動を評価する仕組みを関係者で議論し確立する。
・ユニーク性の5: 国は国民のGDP/人口評価から離脱し、超GDP方式を採用する。
・ユニーク性の6: 健康長老ができる範囲の介護作業で、介護者、被介護者がともに評価しあえる関係構築を学びながら確立する。
・ユニーク性の7: 向こう三軒両隣的コミュニティの確立:
火災都市江戸で生まれた長屋コミュニティ方式(住人で困った人の面倒を見る習慣:遠い親戚より近所の他人への信頼関係)
上記のコミュニティができる可能性は皆無ではない。東日本大震災で実証した。これはグローバル社会に誇れる実績である。
・ユニーク性の8:
小さな幸福論:
  小さな幸せは小さな努力のプロセスで幸福感を得ることができ、続けて努力し幸せを感じる生き方ができる。日本人の小さな幸せは日常生活を豊かにする内容であり、この豊かさは来日外国人にも小さな影響を与えている。「日本人の小さな幸せ」はロングテイル方式で考えると、
「小さな幸せ」X「日本国内の『幸せ人口』」>「1%の米国の金持ちのビッグヘッド的幸せ」―「99%の貧乏人の不幸せ」
ユニーク性の理由:
  世界中が大きな幸福論者だ。貴族階級のない米国はソサエティというステイタスを表す社交的共同体がある。米国人は金持ちになり、更に上流のソサエティに入会できることが目標である。彼らにとって小さな幸福論はナンセンスであるが、大きな金持ちは結果的に戦争で金儲けをしている。米国は常に戦場を持っている。しかし、今や戦場に兵隊を出す金に困っている。

  3.2 プログラムマネジメントとしての概念設計
  1) 想定するコミュニティの課題群の設定
21世紀、グローバル社会で通用する内容であること(究極の目標)
持続可能性あるコミュニティの構築(収入的自立性を求める)
高齢者が健康で豊かに暮らせること(コミュニティの目的・使命)
女性が豊かに暮らせるコミュニティを女性自らが構築する(人口減の防止目的・使命)
健康高齢者のボランティア活動と評価システム(手段)
死を直前にして幸福感を得られるコミュニティの構築を目指す(目標)
空き家問題
町民人口の年齢構成を考えた施策を考える(良質な移民も視野に入れる)(究極の使命)
将来は尊厳死から安楽死までを考える(将来的桃源郷を目標)

  2) 概念設計の詳細
  2-1) 21世紀、グローバル社会で通用する内容であること(究極の目標)
  課題解決の議論を進めるに際し、10年先をみた社会を想定し、その時点で世界中の人々の模範になる理想のコミュニティをバーチャルで構築し、そこへ到達するためには5年先、3年先で何をするべきか、成功へのプロセスを考える。
  国際間で国の経済規模を評価しているのはGDPベースの国民経済評価である。それ以外に住民の幸福度を加味した評価基準が必要と考え、超GDP評価「暮らしの質」を検討する。[2](理由:21世紀はGDPでは測れない領域が増えてきた。超GDPは日本が世界一)理由は人間の幸福度は収入の高さばかりではない。日本でいえば1,200万円を超すと幸福度は低下する。そこで「暮らしの質」を重視する評価を採用してみる。日本は一人あたりのGDP方式では世界20位であるが超GDPで測定すると1位となる。冷戦停止後グローバル社会は金もうけの権化となっており、少数の金持ちと、大多数の貧乏人が生まれている。冷戦時代は不景気対策としてビルトイン・スタビライザーが存在したが、現在は金権者の要請でスタビライザが少なくなってグローバル全体で不幸に向かって進んでいる。世界はテロ対策を標榜しているが、幸福な社会構造ではテロが発生しない。テロ発生の真因を理解し、金権主義を低下させる方向に進んでもらいたい。
注: 「暮らしの質」を8領域で測定する。
①健康②教育③個人的諸活動④政治への発言と統治⑤社会的つながり⑥環境条件⑦個人の身の安全⑧経済的な不安定
超GDPと4つの資本:①人的資本②生産した資本③社会関係資本④天然資本

  2-2) 持続可能性あるコミュニティの構築(収入的自立性を求める)
コミュニティが存続するには、確実な収益の確保がもとめられる。政府支給による初期コミュニティ構築への助成金は欲しいが、確立後は自立性が求められる。収入の確保は多くの課題を解消してくれる。
  参考:笹谷秀光著ビジネス思考の日本創生、地方創生:「協創力」が稼ぐ時代
  プラットフォーム・マネジメントによる『協創力』で収益をあげるビジネスを考える
吾妻山への観光+73ある公園の花壇化によりトレッキングコースができあがり、種々の花壇を楽しむことができる。終点は温泉プールと温浴を楽しむ。
集客ができると、いろいろなビジネスが発展する意味で楽しみと、収益が向上する。
図1 参照のこと。 図 1 レベル5計画 A町公園プラットフォームの「共有価値の創造」

  2-3) 高齢者が健康で豊かに暮らせること。
コミュニティとして健全で健康な活動が実施されること
B地区のサークル活動や行事の一覧表作成済み、新たな試みも用意されているが、将来は健康管理実施とその成果を定量的に出す仕組みも考慮する。
B地区社協のアンケート(現在協議会で実施予定となっている)
A. あなたのご家庭で困っているときに一番してほしいことは何か
家事支援、生活支援、相談活動、子育て支援等
アンケートのその他細目は
B. あなたのご家庭で日頃不安に思うことは何か
C. 個人情報保護に関しての質問
D. 地域福祉に関して地域助け合い活動へのご意見
16年4月にアンケート依頼実施予定
アンケートの質問つくりには求める答えが得られる内容となっていることが肝要である。

  2-4) 女性が豊かに暮らせるコミュニティを女性が自ら構築する(コミュニティの使命)
出産率向上をもとめるアベノミクスは女性の活用を考えるが、厚生省や地方自治はこの空白の20年間1,000兆円の国債を使いながら、保育園の増加を積極的に推進しなかった。保育士の収入が安く、応募してこないため、保育園が必要員数を確保できず、実現できない。しかし、安倍総理の肝いりで改善されることを信じて、XX地区の女性コミュニティ(仮称)は働く女性を全面的にバックアップする形態とする。
女性コミュニティは社会の遅れた部分も当面補完する意味で、臨機に考えコミュニティの目的達成に寄与する。
このような日本社会の環境下ではコミュニティの女性高齢者が全員で保育児の面倒を見ることが求められる。地域内コミュニティの女性が全員で女性の幸福に向かって活動範囲を広げていく。
ここでは適当な大きさのコミュニティを形成させ、女性同士が従来の習慣から一歩前進した発想でヒス用員数をかんがえながら目的を達成する。そのためには自らが現在関係なくても、進んで豊かに暮らせるコミュニティつくりに貢献すること。
例えば高齢化女性は働くコミュニティ内の女性全体の幸福をサポートする。(有償も可)保育園への送り迎え、残業時出迎えできない人への支援、子供と高齢者のお遊び等、互いの愛情が生まれる工夫が日本人コミュニティでは起こり得る。
高齢者女性の数はサポートを必要とする女性の数より多いので負担は少ないと思われる。

  2-5) 健康高齢者のボランティア活動と評価システム(今後専門家も含めて検討する)[5]
現在のボランティア活動は「三方良し」の状況の中で実施されているが、内容が表面的な課題がおおく、成果が出ているか疑問である。
ボランティア活動が本当に役に立っているか評価するシステムを考える。
ボランティア活動の価値は相手に役に立っていること、実行者にも喜びを与えるものとなっているかが重要なテーマとなるだろう。
ボランティア活動と評価システムに関する本は多々あり、リアル化の段階で議論し決める。

  2-6) 死を直前にして喜びを感じさせるボランティア活動(専門家と該当関係者で徹底検討)
現状の町の対策は高齢者の健康増進に貢献している点で満足である。しかし、いずれは死を迎えるが、その時は現状と同じ、孤独死などは改善されたわけではないので本件を真剣に考えたい。
向こう三軒・両隣り的コミュニティの設立を考える。
日本的コミュニティが世界に誇れるものとするにも定量性の高い評価が求められる。江戸時代に向こう三軒両隣りコミュニティが組み込まれていた。
対象: 在宅介護、孤独死、通院難民、買い物難民対策等のボランティア活動での貢献で、高齢者同士の心の触れ合いの中で見送り、見送られ(死に)たい。

  2-7) 空き家問題
現在の土地の価値向上への活動を積極的に考える。[3]
観光花壇公園は、地価の向上に役立つ。 花に囲まれた生活環境の到来は若い夫婦の憧れの的となるに相違ない。空き家待ちの若手所帯には待機待ちのためのアパート群が現存している。

  2-8) 町民人口の年齢構成を考えた施策(移民の検討も含まれる)
若い住民が住みやすく、増える環境を創出する。幸福度の高い土地というブランド化をねらう。幸福度の高い居住地域は中年家族の流入に貢献できる。レベルの高い外国人移民化を考える。

  2-9) 尊厳死から将来は安楽死を組み込んだ施策を考える
尊厳死は採用されているが、意識の明確でない認知症末期患者や、孤独をたえかねている老人の安楽死は人類に幸せを与えることができる。

  以上がグローバル社会から評価されると思われるレベル5である。

6月号以降に改革の程度とレベルを確認し、3年後、5年後、10年後を想定する。
以上

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