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パーソナルプロジェクト:WIEN-PRAHA Bike Tour-3

プラネット株式会社 シニアコンサルタント 中 憲治 [プロフィール] :4月号

外国を旅行する時に困ることと言えば、その国の母国語に不案内な時は、いろいろな表示・標識などが判らないことである。外国でそのような経験をすると、日本における表示のことが気になってくる。外国からの旅行者にこの表示は判るのかなどと気になることに良く直面する。先日も六本木で行われた会議の後、日本料理店で行われた懇親会に参加することがあった。六本木と言えば外国人の多い繁華街であり、そこの日本料理店ともなれば外国人のお客さまも多いと思われるが、その店のトイレの表示は、男子トイレは「殿方」女性トイレは「ご婦人」であった。日本での滞在期間の長い人には解るだろうが、初めて日本に訪れてたまたまその日本料理店に来た人にはどちらに入ればよいのか判明できないのではないかと気になって仕方がなかった。この思いは、その場所は外国人観光客が比較的多いだろうと想定される六本木だからという理由でより増幅された。
WIEN-PRAHA Bike Tourはチェコのモランビア、南ボスニア地方を巡る為、世界遺産地であるCHESKY KURMLOV以外は外国からの観光客もほとんど訪れない場所であり、その為かいろいろな表示・標識はほとんどチェコ語である。
Bike Tourにおいて比較的重要な表示・標識は、道路標識と途中で入るレストランなどのトイレの表示である。ヨーロッパの国々では観光客を対象としたBike Tourが人気であり、チェコのモランビア、南ボスニア地方のBike Tourもその一つである。それ故に自転車専用道ではルートの表示・標識などは比較的整備されている。WIEN-PRAHA Bike Tour で出会った道路標識をご紹介したい。
道路標識では、街の名前はチェコ語表示であるが、自転車道では外国人にもわかりやすい工夫がある。

1.自転車道の案内 1.自転車道の分岐の案内
①自転車道の案内 ②自転車道の分岐の案内

自転車道にはルートNo.が着いており、①や②のような標識を参考に、ガイドブックに従ってルートNo.を辿っていけば目的地に着く事が出来る。グローバル・スタンダードとは、いろんな言語を母国語としている国々の人々にとっても理解できる事が前提となるが、数字や絵はまさにグロ―バル・スタンダードの典型的な表示方法だと思う。
日本においても、例えば「四国八十八か所お遍路」には、歩き遍路の人に向けて、その順路を示す「お遍路道」の標識が頻繁に設置されている。その中には、外国人のお遍路さんも多くなっているため英語での標識も見受けられる。
実に多くの表示・標識が、いろいろな団体・組織によって設置されている。標識に記載されている絵はお遍路の象徴である「同行二人」であるが、知っている人にはこれがお遍路道の標識である事を理解できるが、それを知らない人には理解できない。ましてや、「同行二人」の絵のない標識では、外国から来たお遍路には理解できないと思われる。外国からのお遍路の多くなった「四国八十八か所お遍路」であるが、残念ながら未だグロ―バル・スタンダードであるとは言い難い。蛇足であるが、スペインのキリスト教聖地である「コンポステーラ・デ・サンティアゴ」への巡礼道には共通してホタテ貝の標識が順路の目印として設置されている。統一された標識は判りやすいと評判である。
グローバル・スタンダードな表示の一つは、「ピクトグラム」での表示と言われている。
「ピクトグラム」は日本では絵文字とも呼ばれるが、代表的な例は「非常口」などの表示である。日本での「ピクトグラム」の導入は、1964年の東京オリンピックを契機にして行われたそうである。非常口やトイレの表示などがその主なものだ。
トイレの表示は、グローバル・スタンダードなピクトグラムの一例であるが、今回のBike Tourでも多くのトイレマークを見かけたが、その中でのトイレのピクトグラムを紹介したい。どちらが男性用か、女性用かよくわかる。

日本では、2020年の東京オリンピックにむけて、新たにグロ―バル・スタンダードなピクトグラムの導入をスコープとしたプロジェクトもスタートしているとされている。
しかし、現在の状況では、これで外国人に分かるのかなと思われる事象に良く遭遇する。全てを改善することは不可能に近いが、本当に必要なものと出来ればあった方が良いものに区別して、ピクトグラムの整備が行われていくことが望まれる。プロジェクトマネジメントのクリティカルチェーン法では、本当に必要なものを「MUST HAVE」、できればあった方が良いものを「NICE TO HAVE」と区別しているが、「MUST HAVE」だけでも整備する事を期待する。これを機会に、多国籍な人々の多言語を使う人々が判りやすい国・都市になることが望まれるし、それがオリンピック後も世界各国の人々を受け入れやすくかつ歓迎する国に変わっていくための重要なことと思える。外国での経験はグロ―バル・スタンダードな視点を養うためには必要不可欠な要素であるかもしれない。
パーソナルプロジェクトWIEN-PRAHA Bike Tourの投稿は、今回を持って終了とする。
パーソナルプロジェクトの醍醐味はなにかと問われると、それは自分で自由にスコープを設定できることと答えられる。ここだけはこの機会に訪れたい、これだけは見ておきたいなど「MUST HAVE」と、時間と費用が許せばこれは経験しておきたいなどの「NICE TO HAVE」を考えてスコープとして設定し、その目標を達成するためのスケジュールや手段を考え、計画を立案する。計画を考えている時が一番楽しいとは、よく言われることであるが、プロジェクトマネジメントの手法を自らの目標達成に活用し、加えてそれがスキルの向上に繋がっていくという実に楽しみな方法であることがご理解いただければ幸いである。

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