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パーソナルプロジェクト : WIEN-PRAHA Bike Tour-2

プラネット株式会社 シニアコンサルタント 中 憲治 [プロフィール] :1月号

チェコのモランヴィア、ボヘミア地方をオーストリアとの国境に沿って走る5泊6日・走行距離415kmのバイクツアー
<全体工程>
9 月 3 日 : VALTICE ⇒ MIKULOV
9 月 4 日 : MIKULOW ⇒ VRANOV NAD DYJI
9 月 5 日 : VRANOV NAD DYJI ⇒ TELC
9 月 6 日 : TELC ⇒ JINDRICHUV HRADEC
9 月 7 日 : JINDRICHUV HARADEC ⇒ TREBON
9 月 8 日 : TREBON ⇒ CHESKY KURMLOV
(再掲)

パーソナルプロジェクトなどで外国の街を訪問する時、それがマラソンであろうと、仕事での訪問あるいは単なる観光旅行であろうと、常に心がけていることがある。それは、朝早く起きて、その町をジョギングや、ウオーキングで回り、街の風景や、珍しいものを写真に収める事である。観光旅行ではもちろんのこと、マラソンでの訪問でついでに観光を行うにしても、観光名所は訪れるが、観光名所以外の場所にめったに行くことはない。それでは、その町に住む人々の生活に触れることが出来ないので、早朝にカメラを手にジョギングしながら、街のあちこちを巡り、気に入った風景や珍しいものを写真に撮るのである。例えば、シンガポールを家族と観光旅行で訪れた時には、私一人早く起き、海岸沿いを走った後、運河を遡ってアラブ人街に近づくと、多くのアラブ人が運河に沿って佇んでいる風景に出会った。それは、運河で夕涼みをした後そのままそこで夜を過ごし、朝を迎えた人々であることに気付いた。その昔、サウジアラビアのジェッダで、「ジェッダの人々は、暑い夜を海岸沿いで夕涼みをして過ごす」と聞いたことがあった。ジェッダでは警察が厳しく夜の出歩きを規制するが、シンガポールではその心配がないので、夕涼みにとどまらずそのまま運河で夜を過ごすのだろう。こんな風景も単なる観光地を見て歩いただけでは分からない街の風景である。そのような風景に出合いたくて、朝の街を散策するのだ。
今回の Bike Tour でも、宿泊地の街を早朝にカメラを手に散策することをスコープに加えた。その日の走行距離が長い時は、食事後は早々に出発しなければならない。また、早めに宿についても祝杯を兼ねた反省会が待っており、ゆっくりと街を見学している時間は持てない。加えて朝の街の風景は、昼間と異なりまた格別の雰囲気を持っており、早朝の散策こそがその街を身近に感じられるのである。
早朝の散策には欠かせないものがあり、それは挨拶だ。どの街でも、早朝から散歩している地元の人によく出会う、そんな時、その国の言葉で“おはようございます”と挨拶するだけで、相手の人から笑顔と共に“おはよう”の言葉が返ってくる。英語がうまくない私は、海外を旅行する時は最低限必要な現地の言葉を覚えていくように心掛けている。
“おはようございます”“こんにちは”そして“ありがとう”の 3つの言葉である。
チェコ語では、“おはようございます=ドブレーラーノ”“こんにちは=ドブリーデン”
そして“ありがとう=デェクイ”である。この 3つの言葉は本当に魔法の言葉であり、散策途中に出会った人に“ドブレーラーノ”と挨拶するだけで、相手から笑顔が返ってくる。
そうすれば後はちゃらんぽらんな英語と日本語とボディーランゲージで写真を撮らせてほしいとお願いすることや、素敵な風景の撮影ポイントはどこかを教えてもらうことが出来る。チェコの地元の人々に出会い、写真を撮らせてもらったり、美しい風景に出会った写真に収めることが出来ると、その日もまたハッピーな日になることを予感させる。これも旅の醍醐味である。

VRANOV NAD DYJIの街で出会った、小学校へ登校途中の子供達、屈託のない、笑顔で幸せな気分にしてくれます。
VRANOV NAD DYJI の街で出会った、小学校へ登校途中の子供達、
屈託のない、笑顔で幸せな気分にしてくれます。
世界遺産の街TELCの朝の風景、幻想的ともいえる景色を見せてくれます。これも早朝でしか出会えない景色です。
世界遺産の街 TELC の朝の風景、幻想的ともいえる景色を見せてくれます。これも早朝でしか出会えない景色です。
世界遺産の街TELC街で。写真を撮らせてもらえば、ちょっとしたお礼もします。鶴の折り紙ですが、ちょっとしたものでも大変喜ばれます。
世界遺産の街 TELC街で。写真を撮らせてもらえば、ちょっとしたお礼もします。鶴の折り紙ですが、ちょっとしたものでも大変喜ばれます。
JINDRICHUV HARADECで。“ドブレーラーノ”の挨拶で、こんな笑顔を返していただけます。この後、絶好の古城の撮影ポイントを教えてもらいました。
JINDRICHUV HARADEC で。“ドブレーラーノ” の挨拶で、こんな笑顔を返していただけます。この後、絶好の古城の撮影ポイントを教えてもらいました。

パーソナルプロジェクトは、ツアーに参加するタイプと自分で自由にスケジュールを変更するタイプと 2通りある。今回の Bike Tour は前者で、この場合はスケジュール最優先となる。宿泊地と宿は予約されているので安心だが、その日のうちにそこまで必ず到着しなければならないので、疲れていてもスピードを挙げて自転車をこぎ続けるなど、労力を費やさなければならない。途中で寄り道してみたい場所があってもスコープ追加することは断念せざるを得ない。一方、自分でスケジュールを自由で変更できるタイプは、例えばお遍路などがそうである。この場合は、寄り道したい場所があればスコープ追加は最優先で、その日の日程は自由に変更できる。しかしこの場合は、その日の宿泊場所はその都度決めなければならず手間は掛るし、時によっては、やっと予約できた宿まで兎にも角にも到着する為に労力を費やす必要がある。スケジュール最優先にしても、スコープ最優先であったとしても、両方に共通していることは、どちらも労力を費やす努力だけは欠かせない点である。これを苦労と思うか、旅の醍醐味とみるか、パーソナルプロジェクトへの恋愛度 (思い入れ度合) の違いなのかもしれない。

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