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「ダイバーシティ時代のプロジェクトマネジメント」
~「で?」に答える力~

井上 多恵子 [プロフィール] :3月号

 「で?で、何するの?」2月12日の11:50pm@JR蒲田駅。4名で、品川行きの電車を待っていた時、私が師匠として学んでいる方から投げかけられた問い。この問いを受けて、7pm~10pmまでかけて受講したセミナーについてそれまで調子よくしゃべっていた私は、思わず黙ってしまった。セミナーでやる気が高まり、「今日は良かったですね~いろいろ学べて刺激を受けました。私も頑張って、今日学んだことをやってみます!」と、師匠と研修生仲間に語っていたのだ。「で?で、何するの?」その問いは、私が具体的な行動レベルにまで「やってみること」を落とし込めていなかったことを浮き彫りにしたのだ。
 この数週間の間のマイブーム。それは、「わかったこと」と「できること」の違い。あるいは、「知っていること」と「やること」の違い。英語ではKnowing-Doing Gapとも言う。頭でわかっていても、なかなか実行できないのが人間。ましてや三日坊主ではなく、継続させることの難しさ。今日読んでいたイノベーションを日常業務の中で起こしていくやり方を説明している本の中でも、「月曜日の朝の問題」という言葉が紹介されていた。金曜日に研修を受けて、何かを改善しようと気分が高揚しても、月曜日の朝になるとその熱がすっかり冷め、いつも通りの行動をしている、という話だ。それを避けるためには、シンプルな目に見える行動を決めてすぐやってみることが大事。『すぐやる人は、上手くいく』という本もある。
 でも、分かっていても、なかなかできない。社内講師として、研修の終わりにはいつも、「ちゃんと計画を立てて、実行してくださいね!」なんて言っているにもかかわらず。「やればいいだけじゃない。」ナイキのフレーズ”Just do it !”の世界だ。でも、私だけじゃないから、『すぐやる人は、上手くいく』なんて本が書かれたり、研修において実践の大切さがこれほどまでに言われたりするのだろう。一つの答えが「ピアコーチング」と言われるものだ。研修の受講生同士をペアあるいは数名のグループにして、その中で定期的にお互いの計画の進捗を語り合ってもらい、お互いにアドバイスをし合ってもらう。それを入れることで、「誰かに報告しなければ」という気持ちが働き、計画を実行する人が増えるのだという。確かに「できませんでした、、、」というのは恰好悪いから、実行する方向に動きやすい。数年前、アメリカの研修会社の方から教えてもらった手法だが、日本でも見聞きするようになった。これは別に、研修の中だけに限定されたものではない。自分の行動を変えたいと思った時、誰かに協力してもらって、日々その人への報告義務を自分に課すと、良い方向に向かう確率が高まる。
 職場で「この人は仕事ができる!」と、私を含め皆が思っている人がいる。その人は、とにかく、メールへの反応が半端なく早い。判断も早い。私も、外出精算や簡単なメールへの反応はとっても早いけれど、それ以外の行動はおっくうになりがちだ。でも、先日の研修では、少し、違った。コーチングの研修を受けていて、その中で先生が「自分の親しい人に、メールで、『自分に変わってもらいたい点は何?』と聞いてみるといいですよ」と朝一番で言ったことを受け、その日のうちに実行したのは、22名中、私を含めた3名。一番早かった人は、一回目の休憩時間には奥さんに連絡していた。その話を聞いて、私も通常はやらないけれど、ノリで夫にラインで問い合わせてみた。言葉でそんなに語る人じゃないから期待してなかったけれど、結構まじめにためになるアドバイスをすぐ返してくれた。すぐやる人は上手くいく。本当にそうなんだ!
 世の中には、本当に、前のめりで何かをやることが早い人がいる。今通っているある社外の研修の仲間にもそういう人がいる。何か課題が出る。するとあっという間にやっている。師匠によると、「忙しい、忙しくない」の問題ではなく、「それをやろうと思いちゃんと予定に入れ込める人がそうできるのだ」という。そして、ここでも言われた。「早くやったほうがいい。そのほうがフィードバックがもらえてどんどん改善していけるから」うーん、確かに、、、でも、他のこともいろいろあるし、、これって言い訳?
 そして、このジャーナルの原稿も締切を1日過ぎて出している私。 「で?で、何するの?」まずは、締切守るところからですね!

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