協会理事コーナー
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PMノウハウの伝播・伝承

前田 修 [プロフィール] :2月号

 人材育成は、企業の重点施策の一つであるが、現実どこまでそのことに自信を持って、答えることが出来るでしょうか? 2007年問題が現実となり、現在団塊の世代の多くは、リタイヤし、これからも多くの逸材が去っていきます。それ故、先人ノウハウの継承は重要なテーマです。このことを各企業できちんと議論し、社内要員の育成を真剣に考える時期は既に来ています。その中でも、特にプロマネノウハウは、引継ぎが難しいと言われています。
 このような状況の中で取り組むべき課題は、如何に後進に先輩が培ったPMノウハウを上手に、着実に伝える「PMノウハウの伝播・伝承」であると思います。
 そこで、その仕組みや考え方について以下の 5点を提案します。

 1.教育を点から線へ持っていけ
 教育はその瞬間にしか過ぎません。例えば、1日または 2日コースを受講し、その知識を現場に持ち帰ってもせいぜい数日しか残らないでしょう。本来教育で学ぶものはこまごまとしたノウハウではなく、何に気付き、何を感じ、どう行動すべきかだと思います。
 点 (教育) から線 (ライン) へのフォローアップの仕組みを下図に示します。

点(教育)から線(ライン)へのフォローアップの仕組み

 2.PMのプロフェッショナル育成に力をいれよ
 基礎力はマスプロ教育、e-leaning でいいが、プロ育成には英才教育が不可欠です。少人数かつ face to face で貴方ならどうするかを常に問うスタイルが望ましいです。即ち、単なる演習ではなく、より実践に近い訓練なのです。今この状況でどの策を選択するか、それは何故といったことを繰り返し行うことで、初めて自然と行動に結び付くと思います。またその中から更に、本当に優れたPMだけに絞って「プロマネの帝王学」を学ばせるべきであると考えます。
 3.プロマネ資格を実務に活かせ
 エキスパート、プロフェッショナルといった専門性を制度化している企業もあるかと思いますが、この仕組みがなかなか実務に活かされていない実情があります。責任と権限を結局ラインマネジャーが持つようでは、意味がありません。プロとしての自覚を持たせるためにも、ラインマネジャーの下ではなく、対等な地位に位置付けるべきです。
 4.PMノウハウをもっと共有せよ
 東京で開催されている PMAJ Networking (会員交流会) や P2Mクラブ、また各地区で定期的に開催している P2M研究会等々でノウハウを共有することは、大切なことで非常に良いことだと思います。このようにPMスキルの共有化をより一層図り、分からなかった、知らなかったでは済まされない無駄の排除をしないと、同じような失敗は繰り返されてしまいます。
 5.人材開発の窓口は、縁の下の力持ちたれ
 企業内の人材育成を担務される方には、力強く、地道にコツコツと取組むことが求められます。このことなしに、企業内の研修体系は確立されません。それ故、大切な役割です。

 最後に、先ずはPMノウハウをカタチにすることです。その上で、それらをどのように伝播・伝承していくか、
これが今、最大の課題だと思います。


-以上-

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