協会理事コーナー
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「新しい」PMの育成を目指して

調 麻佐志 [プロフィール] :1月号

 R & D SIG の大和田リーダー ( (株) 日立製作所・参与) が私の上司、東京工業大学の岸本工学部長と同期というご縁があって、その紹介で R & D SIG に参加させていただくことになり、勢いで理事という大役をお引き受けしております。R & D マネジメントについては多少なりとも教育・研究の経験もありますが、PMについては全くの素人で、毎回の SIGの集まりでは学ぶことばかりです。
 そのような私ですが、来年 4月より東京工業大学でスタートするエンジニアリングデザインコースに参画し、典型的ではありませんが、一種のPM教育に携わることが決まっております。当コースは次のような教育理念を掲げる、修士および博士課程の教育コースです。

既存の科学・工学体系を俯瞰的に理解しながらもその枠に囚われずに、人類が抱える様々な課題の解決に寄与し、社会で求められる新たな技術・価値・概念の創出に貢献できる能力、すなわち、エンジニアリングデザイン能力の涵養を目標とします。

 コース立ち上げの準備では、参考となる海外の教育プログラムを教員が手分けして訪問あるいは調査いたしました。個人的にとくに気になったのが、米国のオーリン・カレッジ・オブ・エンジニアリングです。
 オーリン・カレッジは学部教育に特化した工系のカレッジで、project based learning (PBL) 形式でエンジニアリングデザインをコアとした学際的な工学教育を実施し、イノベーターを養成することを目指しています。2002年に開学した新しいカレッジであるにもかかわらず、入学者の SATスコアは MIT やハーバード、カルテクなどに並んでおり、また、学生は卒業後、錚々たる企業や大学院に進学し、また起業する者も少なくありません。
 このボストン郊外の小さなカレッジの卒業生が、マイクロソフトやボーイングなどのトップ企業にプロジェクトマネージャーとして採用されるケースも多く、入社後すぐに上述のような有力大学出身の博士を部下としてチームを運営し、下世話ながら 8~10万ドル程度の年俸を得ることもあるそうです。
 いつか私たちの小さなコースもこのような存在感を発揮できるようにと努力して参りますので、ぜひご注目ください。
(編集注) SAT : Scholastic Assessment Test (大学能力評価試験 (米国) )

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