PM研究・研修部会
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年末年始におけるステークホルダーマネジメントの重要性

株式会社アスプロス 山本 雅央 [プロフィール] :12月号

■ 年末年始こそ欠かせない家庭マネジメント
今年も残すところあと少し。忘年会・新年会のシーズンがやってきました。
ところでみなさん、そこへ向けたステークホルダーマネジメントはできていますか?
会社ではありません。家庭での話、です。忘年会のお声がかかる度に
「こんなに遅くなるとは聞いていない!」
「食事いらないならもっと早く言ってよ~」
「今日も飲み会?! (怒) 」
なんてパートナーのセリフがちらついていませんか。

私のまわりには、飲み会に関してパートナーにまったく口出しされない方から門限が決まっている方までさまざまです。話を伺っていると、どうもパートナーの気質だけではないようで・・・
飲み会が好きな方、頻繁に出歩く方は日頃からパートナーの信頼を得られるよう、さまざまなマネジメント努力をされています。
関わっているコミュニティにパートナーを紹介し、誰と飲んでいるのか安心できるようにする。
事前に早い段階から予定を伝え、相手に不満が残りそうであれば代替案を出す。
相手が許容したくなるような good ニュースやサプライズを用意し、機嫌がいい時に“YES”を取りつける。
出るときは必ず連絡がつくようにする。
などなど・・・。
だからといってこれらを取り入れればすぐに効果が現れるとは限りません。

ここで気をつけるべきは、十分なステークホルダー分析です。たとえば
A 「ここから先の週末、ちょっと忘年会が立て込んでるんだよな・・・」
B 「ホームパーティがオススメだよ!週末に出歩くと嫌な顔されるし、金もかかるって文句言われるだろ。この前うちでやったら大成功だったよ」
と聞いた A さん。早速奥様に打診を・・・
A 「今度の週末、うちで忘年会しようと思うんだ。みんなにも君を紹介したいし」
「はぁ?何言ってるのよ、誰が準備するの?掃除も料理もやらないのに!」
となりかねません。雑誌や本で読んだことや聞いたことをそのまま鵜呑みにしてもそれが相手にとって効果があるかどうかは十分な検討が必要です。ステークホルダー分析が甘かったために、せっかくのン万円のバラの花束を残念な結果にしてしまった方もいます。

■ カギは入念な情報収集と分析
では具体的にどうするか。
まずは情報収集です。家族の会話、ご近所やお友達などからあなたの重要なステークホルダーが「何を大切にし、どうしてもらいたがっているか」「最近の様子はどうか」といったことを注意深く聞き出しましょう。
例 ) 最近韓流にハマっており、年始のアリーナコンサートに行きたいらしい。
○○さん家のご主人がタバコを辞めたと聞いて絶賛していた。 (喫煙を強く嫌っている)
最近都内に出来た○○という行列の銘店のお菓子を食べてみたいらしい。・・・ etc.

また過去の事例から学ぶのも有効です。
例 ) 皿洗いをすると非常に喜ばれる。
ごみ捨てを忘れると次のゴミ回収日までしつこく言われる (ご立腹)。
自分が何かいいことがあった翌日は気が大きくなりやすい。・・・ etc.
こうした情報をもとに、X デーまでの計画を立てましょう。家庭の行事や仕事の忙しさなども勘案し、いつ何ができるかアクションを決めてスケジュールに盛り込んでいきます。
冬ですから不意の体調不良にも備えておくといいでしょう。また子どもやご近所さんなど周りを巻き込んで行くのも効果的です。突然突拍子もない行動に出るとかえって下心を疑われますから、日頃から少しずつ、計画的に進めます。また、随所でさりげなくフィードバックをもらうことも忘れずに。せっかく頑張っていても相手に響いていないようでは努力が無駄になってしまいます。

■ アフターフォローも万全に
さて、気持ちよく怒涛の飲み会を制覇できたからといって元の木阿弥ではいけません。
それでは自分が飲みたいために頑張ってきたということを白日のもとに晒すことになってしまいます。気持ちよく送り出してもらったお礼や、そうした活動があるからこそ頑張れるという感謝の気持ちをきちんと伝えましょう。もちろんそれが効果的な相手であれば“具体物での表現”もありです。好みを把握した上で感謝を形にするのも、家庭円満の秘訣ですね。
気持ちよく年末を迎えられれば、2015年がいろいろあったとしても“終わりよければすべてよし”と温かい気持ちで新年を迎えられるのではないでしょうか。

■ 家族あっての仕事、仕事あっての家庭
仕事に邁進するあまり家庭のマネジメントがおろそかになっていると、楽しい飲み会シーズンをブルーな気持ちで過ごすことになります。ここはぜひマネジメント力を発揮してお互いの思惑をうまく組み合わせ、win-win な年末年始を過ごしたいものですね。
危機が想定できるのであれば、今すぐ始めましょう!“忘新年会プロジェクト”!

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