今月のひとこと
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 女性活躍推進法 

オンライン編集長 深谷 靖純 [プロフィール] :12月号

 夏が過ぎ、ぼちぼち秋の訪れかなとなってから長い間、12月近くまで秋が続いていました。漸くコートを着る人が目につくようになってきたなと思ったら、今年もあと僅かです。こういう年の冬は大雪となることが多いと気象予報士が解説しています。雪はなんともなりませんが、とりあえずインフルエンザの予防接種は受けておきましょう。

 この 8 月、女性活躍推進法が成立しました。パートを含め300人以上の従業員を雇用する企業は、来年 4 月までに行動計画を策定し各都道府県労働局に届け出なければなりません。さらに女性の活躍状況に関する情報の公表も求められています。先月 (11月) 明らかになった日本の男女平等ランキングが 145カ国中 101位 (世界経済フォーラム2015年版「ジェンダーギャップ指数」) ということで、汚名返上の意味からも失敗が許されないプログラムを「官民一体で推進する法律」だと思います。
 女性活躍への取組の好事例として、厚生労働省の特集ページに紹介されているリーディングカンパニーの中にはPMAJ法人会員の社名を見ることもできますが、マスコミの取扱いは静かに見守っているといった雰囲気です。その他の企業がどの程度の本気度で臨んでいるのかは、未だ明らかではありません。法制定の趣旨が浸透し、日本中の企業が女性の雇用増、管理職増に邁進するようになるでしょうか。業種の違いを別にすると、PM関連の職務では男女の違いを意識する必要はなく、PMスキルは女性が活躍するうえでの有効な武器となるので、PMに携わる女性が増えると期待したいところです。
 同特集ページに載っている資料によれば、女性は男性に比べて「将来的な育成に向けた教育訓練」の受講率が低いそうです。しかしながら、プロジェクトマネジャーやPMOとしての適性に男女の差があるとは思えません。今後、諸外国出身の労働者が増加すると想定すると、ダイバーシティ対応といった点で女性の適性の方が高いとも考えられます。20歳代のうちからPMスキル修得に向けた教育訓練を受けられるような仕組みを構築すれば、平均初婚年齢が30歳以上ですので、結婚して出産を迎える前に立派なPM人財が育ち上がります。プロジェクトには期間の定めという特性が有ることから、産休による長期の職場離脱に対しても、会社側の態勢を整備することにより対応できるはずです。そうなると、優秀な女性PM人財を多数ストックできるのではないでしょうか。
 IT 業界において、新卒学生の就職希望ランキングが下がっています。女性がPMスキルを駆使して活躍できる業界にも拘らず、女性の落ち込みが顕著です。マイナンバー特需の影響もあり IT 業界は慢性的に人不足の状況で、過酷な勤務を強いられるといった噂やブラックなイメージが蔓延しているためなのでしょうか。国がバックアップして勤務環境を変革しようとしている今、人気が低くても仕事の機会が確実にある業界は就職学生の狙い目です。活躍の機会、働き甲斐といったものも、容易に手に入れることができるはずです。
 女性活躍推進法により、PMAJの活躍機会も拡がることを期待します。

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