関西例会部会
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第123回関西例会 レポート

PMAJ関西 KP 小田 久弥 [プロフィール] : 11月号

開催日時: 2015年10月9日 (金) 19:00~20:30
  (20:45~21:45 ワンコイン・ワンアワー交流会)
場所: 竹中工務店 大阪本店 1F いちょうホール
テーマ: 「プロダクト、プロジェクトともに価値をあげられるからアジャイル」
講師: 前川 直也 氏/株式会社日新システムズ 事業戦略部
参加者数: 25名 (スタッフ 3 名含む)、交流会 : 15名
講演概要:  
 最近注目度が上がってきている「アジャイル」について、「価値」という観点から、前川氏のご経験をふまえたポイントを発表いただきました。以下に講演概要を記載いたします。
1. いまどきのプロマネ
今、PMが変わってきている。プロジェクト「マネジメント」であるので、管理することはもちろん重要。
しかし、マネジメントは、管理だけで良いのだろうか?マネジメントには、トップダウン型・ボトムアップ型や、X理論とY理論など様々なものがあり、それぞれ特徴を持つ。メリットもありデメリットもある。
近年注目されているものに「サーバント型リーダシップ」 (支援型リーダシップ) というものがある。
重要なことは、「プロジェクトは何のためにあるのか」ということを、メンバも一緒に考えること。
一人のリーダが決めたことを、全員でしっかりこなすというスタイルではない。
プロジェクトについてのWHYを考えることが重要。
企業としてのWHY、個人のためのWHY・・・2つのプラスがマッチングしたとき、プロジェクト活動は最高のスペックになる。

2. ソフトビジネスの進化
これまでは、何を作れば良いかすぐに分かった。しかし、近年は、先の読めない時代であり、創るべきものがわからない時代に変わってきた。そういった前提から始めないといけない。
このような時代は、仕様変更、仕様追加を、嫌がらず、前向きに受け入れていくことが重要。
従来のソフトウェア工学は、その後のソフトウェア業界を成長させた大きな要因ではあるのだが、ソフトウェア開発から一旦人の要素を排除した。アジャイルでは、人の要素に再びフォーカスを当てた。ここが重要なポイント。
スクラムが生まれたきっかけは、野中郁次郎さんが86年に「ハーバード・ビジネス・レビュー」に発表した“The New New Product Development Game”という論文がきっかけ。ラグビーのスクラムのように、仕事をどんどんつないでいくことで価値を出すという考え方。これをソフトに応用したのがスクラムである。
短い「タイムボックス」で回しながら、細かくフィードバックし、価値を膨らませていく開発スタイルが、ソフトウェア開発に求められている。このスタイルで、変化に対応し、価値最大化を実現する。

3. プロダクトの価値を創る
「アジャイルソフトウェア開発宣言」や「アジャイルソフトウェア宣言の背後にある原則」などが世に出て来ているように、アジャイルの認知度は上がってきている。そのポイントを解説する。
アジャイルとは、御客様のビジネス価値を最大化するための「考え方」や「姿勢」のこと
スクラムにおけるチームモデル プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チーム
Agile をうまくいかせる 3 つの要素 = ゴール & リズム & 愛 (愛着)
アジャイル開発のながれ
ゴール 価値をゴールにし、優先順位をコミット。
リズムとゴールをマッチング
リズム プロジェクトを一定間隔のリズムで区切る
プロジェクトのベロシティを把握
見える化 動くもの+状況の可視化でリズムを伝播させる
フィードバックにより変化を取り込む
自律 自分達で振り返る
自分達で変えてゆく

4. プロジェクトの価値を創る
アジャイルスクラムは、野中先生が提唱された、SECIモデルと似ている。
アジャイルのレフトウィング「協働でゴールに向かうチーム環境」が重要である。(平鍋さんのブログより)。
プロジェクトファシリテーション等も取り入れながら実施してゆく。プロジェクト活動を、「対立構図」から「問題対わたしたち」の構図に変えてゆく。KPT (ケプト : Keep (今回良かったこと)、Problem (今回うまくいかなかったこと)、Try (次への取組み) ) を活用するのも効果的である。

5. アジャイルになる !
アジャイルとは、お客様のビジネスの価値を最大化するための「考え方」や「姿勢」のこと。
DO AGILEでなく、BE AGILEです。

【 講師所感 】
貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
みなさまのアンケートからも多大な評価をいただき恐縮です。
少しでもお役にたてていれば幸いです。

講演でもお話しさせていただいたようにアジャイルは「考え方」や「姿勢」であり、いろいろとお伝えさせていただき、新しい発見もあったと思いますが、実践するには、難しい問題にぶち当たると思います。
そんな時は、アジャイルを実践している方同士のノウハウ共有と、現場のメンバ同士のコミュニケーションによる改善がキーになります。
今後とも、みなさんとのネットワークを大事にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

また、みなさんのアンケート結果を拝見して、「まだまだアジャイルの本質をお伝えできる場が少ないのだな」というのも実感できることができました。
「アジャイルが一般化してきた」ことも確かですし、プロジェクトマネジメントを実践されるみなさまにも、アジャイルと接する機会が増えてきていると思います。
ただ、やはり「アジャイルの本質的なツボ」をご理解いただいていないと、失敗するパターンも増えてきますので、今後も、より多くのみなさまにお伝えしていこうと思いました。
みなさまの現場にもぜひお呼びいただき、一緒に共有させてください。

今後ともよろしくお願いいたします。

<講演の様子> <交流会の様子>
<講演の様子> <交流会の様子>

以上

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