P2Mクラブ
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プロジェクトマネジメント診断 ~振り返りのススメ~

イノベーションマネジメント株式会社 柳 知宏 [プロフィール] :10月号

 8月26日に開催された第 7 回 P2Mクラブにて、「プロジェクトマネジメント診断~振り返りのススメ~」と題し、話題提供をさせていただきました。
悪天候にも関わらず15名の方にご参加いただき、「プロジェクトを振り返る中で、プロジェクトマネジメントがどれくらい実践されていたかを定量評価する」という議題に対し、ご参加者様の経験も交えながら大変有意義なディスカッションを持つ事ができました。

 皆さんはプロジェクトの振り返りを普段実施されていらっしゃいますでしょうか。またどのような観点で、プロジェクトのナレッジを整理されているでしょうか。
今年初めに弊社で実施したプロジェクトマネジメントの実践力を測る調査の中で、プロジェクトの振り返りに関する調査項目はワースト 3 に入る結果となりました。
「時間が取れず出来ていない」、「個人でやってはいるがチームとしては出来ていない」、「失敗したプロジェクトはやらされるが、成功したプロジェクトはそのままになっている」等置かれている状況は様々あるものの、効果的な振り返りが出来ていない実態は比較的どこにでもあるのではないかと推察しております。
言うまでもなく、振り返りを実施する事によって、様々なメリットを享受する事が出来ます。
プロジェクト終了時の振り返りでは、次のプロジェクトの遂行を改善させるインプットを得る事が出来、プロジェクト遂行中、例えばフェーズ/ステージの変わり目における振り返りでは、潜在的な失敗要因の洗い出しとプロジェクトの早期の軌道修正の為のインプットを得る事が出来ます。
そんな振り返りの定着、および効果的な実施に向けて 3 つのアイディアをご提案させていただきました。特にご参加者よりご好評をいただいたのが、効果的な実施に向けた「プロジェクトメンバーの動きざまの評価」というアイディアでした。
スケジュールの計画比、コスト/リソースの予実等を定量評価する事は一般的ですが、既に結果が出ている事実を可視化しても、取り得るアクションは限られてしまいます。それら指標に加え、結果につながるプロジェクトメンバーの行動を評価するフレームワークを構築し、振り返りを通じてプロジェクトを評価する事で、プロジェクトの失敗を防ぐ為の有益なインプットを得る事が出来ます。
過去に成功したプロジェクトにおいて、成功に寄与した要素を特定する事で、このようなフレームワークを構築する事が可能となりますが、当日は弊社にて構築した新製品開発プロジェクト向けのプロジェクト評価のフレームワークや、そのフレームワークを利用して実際に行ったプロジェクトマネジメント診断の結果をお見せしながら、その有用性についてご参加者様と議論をさせていただきました。
議論を通じ、改めて業界による差や、立場 (プロジェクトマネージャー、プロジェクトメンバー、PMO等) による差がある事を実感し、また普段皆さまがどのような視点からプロジェクトを評価されているかを伺う事が出来、話題提供をさせていただいた私の方がたくさんの事を学ぶ事が出来たと感じております。

 改めてご参加いただいた皆様、運営スタッフの皆様へお礼を申し上げますと共に、今後も継続して参加をさせていただければと思います。

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