東京P2M研究部会
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2015年PMシンポジウムの振り返り

東京P2M研究会 デリア食品株式会社 藤澤 正則 [プロフィール] :10月号

1. はじめに
 2015年のPMシンポジウムは、約 2000名の方が参加されて、成功裏に終了した。
 東京P2M研究会は、2012年度、2013年度、2014年度PMシンポジウムでワークショップを開催してきた。2015年度は、1 日目に「見て、感じて、考え、話し合う。そして、動くP2Mミッションプロファイリングと3Sモデルの業務改革PJでの活用事例 (中食製造業の業務改革)」 (藤澤)、2 日目に「プログラムマネジメントの実務」 (渡部)を行った。以下、1 日目の内容を報告する。

2. P2Mのミッションプロファイリングと3Sモデルの活用
 P2Mの実践事例 (ミッションプロファイリングと3Sモデルの活用) として、2005年から2014年までに取り組んできた事例を「ミッション達成のフレームワーク」にまとめた。

(1) 今回の事例である中食のポジションと将来性
 中食は、家庭内産業の外部化により、内食や外食の中間として、即食性のある価値を提供するポジションであるが、近年、世帯構成、女性の社会進出、高齢化などにより、マーケットは伸長しており、将来性があるビジネスとなってきている。

(2) なぜ、プログラム & プロジェクトの活用を考えたか?
 これまで、食のマーケットは、比較的安定した業界であり、改善を中心に進めてきており、確実性、継続性、標準化を中心に進めてきた。しかし、環境変化が早く、激しくなってきて、これまでの進め方だけでは、継続していくことが難しくなってきた。そこで、従来の業務の進め方に、不確実性、有期性、個別性の要素を取り入れていくために、P2Mのミッションプロファイリング、3Sモデルを活用して、物事をつないで考えて、動いてみることを進めた。

(3) 業務改革プロジェクトのアプローチ方法
 業務改革プロジェクトは、うまく進まない、成功しない事例が多く見られ、振り返ると話し込み不足や話もしないで進めている事例や思い込みや勘違いから違う方向性に進んだ例もあった。
 そこで、プロジェクトを推進するのは、人であり、人や組織の特徴や背景をよく知ることからアプローチをしてみた。
人と組織の特徴
人は、人の話を聞かないこと
「作戦を立てられない。立てたことがない。」人が意外と多いこと
プライドは必要であるが、プライドが高いと場合によって阻害要因となること
人や組織で、変化することが好きな人は少ないこと
同じ場所にいても、見えていること、感じていることが違うこと
個別のイメージは描けても、全体のイメージを描ける人は少ないこと
個々の人は一生懸命やっていても、全体となると効果が出ないことがあること
人は、合理性、不合理性の両面を持っていること

(4) 取り組み事例
事例 「事業統合PJ (経営と現場をつなぐミッションプロファイリング) 」
ゼロベースから始まった事業統合PJで各社の経営者を中心に推進した。
事例 「事業統合工場PJ (変化を恐れず、変化を楽しむ。自ら考え行動する) 」
3つの事業所を一つの新工場に構築したPJで、各事業所の経営者から現場までの全員参加型で、入り口、企画構想、実施、運用をつないだプログラムを進めた。
事例 「事業戦略構想PJ (将来を考える) 」
過去志向から未来志向で、本社とエリア毎の主要メンバーで中長期と短期をつなぐ事業戦略の構想フェーズを行った。

(5) 全体をプログラム化するための3つのステップ
 想いを展開して、仕組みを創り、作り、使い、価値を生むために、3つのステップを活用して、スパイラルアップしていくことを考え、進めた。
合意形成
縦の組織にヨコグシを刺して、想いを共有
最初に合意したいことは、「変化する」「場の中心に自分達をおかないで考える」「物事をつないで考える」の3つの事項
デザインする
あいまいなイメージを、形にしていく
ミッションプロファイリングで人と人をつなぐ
想い、行動、数値化に展開して、実現する課題は、プロジェクト化して、シナリオ作成
3Sモデル (スキーム・システム・サービス) を活用して、全体をプログラム化して、想いを実現する
よくあってよく話し合う・創りこみにみんなが関わる・自ら考え行動する
役に立ちたい想いと役に立っていることが実感できるしくみと人づくりの継続
つなぐ、変える、続けるで、全員が関わっていることを理解できるように、仕掛ける

(6) プロジェクトの評価
 ゼロベースで進めた事業統合プロジェクトは、5年の時間を要したが、その後の工場統合プロジェクト、事業戦略構想プロジェクトは、フレームの活用ができ、当初より、スムーズにプロジェクトの構想、実施から運用ができた。この10年を振り返り、経営基盤の強化として評価すると、レベルアップできたプロジェクトとなった。

3. 今後の取り組み
 今回取り組んだ「ミッション達成のためのフレームワーク」は、他の業態においても、活用できる可能性を持っている。そこで、研究会の活動を通じて、事例研究を進めていく予定である。

参考資料
① 2015年 PMシンポジウム講演資料
② 日本プロジェクトマネジメント協会
 「改訂3版 P2Mプログラム & プロジェクトマネジメント」
 日本能率協会マネジメントセンター、2014

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