例会部会
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『第196回例会』 報告

PMAJ 例会部会 須貝 均: 5月号

【データ】
開催日: 2015年3月27日(金) 19:00~20:30
テーマ: 次世代のプロジェクトマネジャーに必要な3つの力
 ~ 組織でワクワク共感する環境を構築する ~
講師: 中谷 英雄 氏/(株)ピーエム・アラインメント取締役ビジネスコンサルティング部長

【第196回例会 報告】
~はじめに~
 本日は、市場が大きく変化している中で 賢者の意見を参考にしながら次世代のプロジェクトマネジャーに必要となる3つの力、PMの意識改革の必要性をテーマに中谷英雄氏より講演頂きました。

~講演概要~
1.時代の変化を読み解く
 日本の稼ぐ力は大きく低下し、日本企業のブランド価値も低下している。
背景として、日本では新しい価値観の重要性に対する認識が甘く、「スピード感」「適応性」「イノベーション価値の創造」が重要視されなかった。
 加えて右脳で生き残る時代「第四の波」が我々を飲み込もうとしているにもかかわらず過去の成功パターンから脱却出来ず失敗する事例も報告されている。
グローバル化の時代に必要とされる能力を有する人材とは、クリエイターや他人と共感出来る右脳主導思考が得意な以下のキーワードを有する人々である。
ハイ・コンセプト
パターンやチャンスを見出す能力
一見バラバラな概念を組み合わせて 新しい構想や概念を生み出す能力
ハイ・コンセプト
他人と共感できる能力
他の人々が喜びを見つけ出す手助けをする能力

2.何故PMの意識改革が必要か?
 PMがQCDと顧客要求だけを実現する時代は過去のものとなりつつある。
現代のPMには、以下に述べる背景から意識改革の必要性が求められている。
プロジェクト成功の定義が変わった
QCD、顧客要求の実現だけでは無く、「組織の戦略的目標」を実現することが求められ、PMは古典的なPJ成功定義から脱却し顧客価値創造力が問われている
日本企業を取り巻く変化 (グローバル社会、雇用環境の変化) がおきている
君臨型リーダーシップでは従業員をコントロールすることが格段に難しくなり従業員満足度を高める事がPMに問われる時代となった。

 今後プロジェクトマネジャーは、君臨型リーダーシップから脱却し顧客価値創造力が要求され、従業員を重要なステークホルダーと位置づけ従業員満足度を高める事が求められる。

3.価値創造力を向上させる環境とは
 これからの組織に必要なモチベーションは、忠誠心や単純な成果主義の時代を終え自発的な動機 (ワクワク感) を前提とした「モチベーション3.0」の時代となる。
「やる気」研究の新しい流れでは、モチベーション3.0とはOSに例えると従来のタイプ X (extrinsic外発的) からタイプ i (Intrinsic、内発的) への変化であり外部からの欲求よりも内部からの欲求をエネルギー源とする様な考え方である。
モチベーション3.0の構成要素は以下の3つである。
自律性
自分の働き方は自分で決める、自由にすきなように仕事をする
4つの T : 課題 (TASK)、時間 (TIME)、手法 (Technique)、チーム (Team)
マスタリー (熟達)
もっとよい行き方を求めて、従順から積極的な関与へ
マスタリー3つの法則 :
  マスタリーはマインドセット : 心の持ち方次第
  マスタリーは苦痛でもある : 意味があると自分でみなし努力する
  マスタリーは漸近線である : 接近はできるが決して達することはできない
目的
人生の意義が問われる時代へ=目的の最大
組織における3つの兆候
  目標 (Goals) : 従来の利益追及から 社会的、個人的意義を求める
  言葉 (Words) : 魂を搖さぶる思想 (名誉や真実や愛・・) を吹き込む
  指針 (Policies) : 人生の価値は、恵まれない人の運命に影響を与える

4.次世代PMに必要な3つの力
 マネジメントは発揮しているが、リーダーシップを発揮していない管理者から脱却し次世代のPMとして以下の3つの力が必要とされる。
リーダーシップ : サーバントリーダーシップ
 大義あるミッション・ビジョン・バリューを示す側面と
 メンバーに奉仕する側面
の2つの側面を兼ね備えるリーダーシップである。
自らの良心に従い良い正解へ導くことを自身の責務と信じるイチローパパや世界での輝かしい経験を持ちながら尊大なところがなく選手コミュニケーションを重視するザッケローニ元監督が代表例である。

感情理解 : 部下の感情を理解する力
PMは、感情、思考の2つの心をマネジメントする必要性が高まっておりEQ (心の知能指数) を習得することが重要である。
組織風土の3つの悪習を理解し、人と人の関わりを踏まえて
「バラバラ目標⇒共通の目標」
「傍観者の集団⇒コミュニケーション」
「他責主義の横行⇒協業」
といった、組織に必要な3つの構成要素を実践する力が必要となる。

影響力 : 影響を与える力
権限に依存しない影響力の与え方を新しいスキルとして、人を動かす新たな3原則 (ABC) が必要となる。
A : 同調 (Attunement)  相手の立場によって、物事を考える、共感する
B : 浮揚力 (buoyancy)  拒否されても押し潰されない自分であるために
C : 明確性 (clarity)    解決すべき本当の問題を発見する

~まとめ~
 今回の第196回例会は、申し込み受付終了時点で40名を超える申し込みがあり当日は椅子席を用意する程の大勢の参加者に聴講頂きました。
これは、プロジェクトマネジャー達が「次世代のプロマネに必要とされる3つの力」に対し非常に高い興味を持ち、各職場で悩んでいるプロマネ仲間が多い事を改めて考えさせられました。
 私自身も、プロマネの意識改革の必要性、若いプロマネに必要なスキルについて漠然と考えていましたが、本日の講演を通じ賢者の意見を参考にすることで冷静に振り返り自身の頭の中を整理する事ができました。
 自分の職場においても今回の講演を参考とし、従来型の権力権限ではないリーダーシップについて仲間達と意見交換を行い、組織でワクワク共感できるマネジメントスタイルを構築してみたいと思います。
中谷様 本日は興味深いご講演いただき大変ありがとうございました。

~参考書籍~
 今回の講演の中で賢者の意見として紹介した書籍は以下の通りです。
ハイ・コンセプト
「新しいこと」を考え出す人の時代   (ダニエル・ピンク著/大前 研一 訳)
モチベーション3.0
持続する「やる気!」をいかに引き出すか(ダニエル・ピンク著/大前 研一 訳)
サーバントリーダーシップ
                  (ロバート・K・グリーンリーフ著/金井 真弓 訳)
EQ
こころの知能指数         (ダニエル・ゴールマン著/土屋 京子 訳)

~最後に~
 我々と共に部会運営メンバーとなる KP (キーパーソン) を募集しています。参加ご希望の方は、日本プロジェクトマネジメント協会までご連絡下さい。

以上

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