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パーソナルプロジェクトの勧め (11)
~「アラ還プロジェクト」実行中~

プラネット株式会社 シニアコンサルタント 中 憲治 [プロフィール] :5月号

四国八十八ヶ所人力お遍路・・・教訓その 2 : 段階的詳細化が必須
1. 歩きお遍路で重要な事はどこに泊まるか?
先月号で述べたように、歩きお遍路プロジェクトは先が読めない。総距離1200kmを歩く、1日の歩く距離を30kmとすれば、40日で完了する計画となる。1日目は札所を何カ所参拝し、宿泊をどこにする。2日目は、3日目は・・・などを決めると計画の概略は決まってくる。しかし、このように計画を詳細に決めることができるのは、せいぜい初めの3日~4日目までだろう。歩きお遍路に最重要なアイテムは宿泊所である。宿泊は基本的に野宿とすることも出来るが、その場合は、テントや寝袋を携帯する必要があり、その場合のバックパックの重さは15キロを超えると想定される。15キロのバックパックを背負ってお遍路を40日間続けるためには、それ相当な体力が必要となる。私のお遍路の過程で、二人の歩き遍路を行っている学生に出会った。岐阜の大学生と、イギリス人で東京の大学に留学中大学院生の二人だが、二人は、お遍路の途中で出会いその後一緒にお遍路を続けているとのこと。野宿が基本で、寝袋と簡易テントを携帯しており、岐阜の大学生はキャンプ用の炊事道具も携帯していた。二人のバックパックの重さを尋ねたところ、イギリス人の大学院生は15キロとのこと、東京から徳島まで利用した飛行機のチェックイン時に計ったので正確だと言う。岐阜の大学生はというと、手で持って比べてみるとそれよりはるかに重く、20キロはあると思えた。

お遍路途中で出会った岐阜の大学生とイギリスの留学生。 <お遍路途中で出会った岐阜の大学生とイギリスの留学生。野宿ベースの歩きお遍路二人の荷物は15㎏と20㎏!?>

このような重装備で行う歩きお遍路では、宿泊所は重要アイテムではないが、そのほかのケースでは宿泊所が重要な要素となる。理由は三つある。一つ目は、お遍路プロジェクトのマイルストーンである札所にある。札所では、本堂と大師堂(弘法大師堂)参拝したうえで、参拝の記録として納経所で納経帳に揮毫と朱印を頂く。
各札所の納経所の空いている時間は午前7時~午後5時で、これはかなり厳格で融通はあまりきかない。午後5時までに納経所での朱印受領を終えないと、翌日7時に再度参拝することを余儀なくされる。歩きお遍路にとって朝の時間は重要で可能なら宿泊所を朝6時には出発してお遍路を開始する。札所を午後5時までに参拝し、その付近の宿泊所で宿泊し、翌朝はまた、早朝に出立する。これが理想の計画である。

札所の納経所で頂く揮毫と朱印、これを88ヶ所集めれば結願となる
<札所の納経所で頂く揮毫と朱印、これを88ヶ所集めれば結願となる>
理由の二つ目は、お遍路道のどこにでも宿泊所がある訳ではないはないことである。札所と札所の間が30km~40㎞離れていることが多い。最長約80㎞離れているところもある。
そこで、計画立案の時点では、予め宿泊所を予約しておきたいと考える。平成26年は四国お遍路開創1200年の記念年に当り、お遍路に最適なシーズンとなると、宿泊所も混雑し、望んでいた処に泊まれないどころか、どこも満員で泊まれるところがない、次の宿泊所までは10kmも歩かなければならないと尚更事前に予約しておきたくなる。
三つ目は費用である。40日に渡るお遍路の最大の問題点は、日数が多くなればなるほど費用が大きくなることであり、民宿で7,000円/1泊2食付 が相場であるが、40日に及ぶと30万円近くになる。予算が潤沢であるケースを除いて、出来るだけ、宿泊数を減らすこと計画立案時点で考慮しなければならない悩ましい問題である。
2. マイルストーン (札所) でその日の宿泊先を決める
いろいろなことを勘案し、宿泊先が最重要アイテムだと分かると、出来るだけ、前もって宿泊先を予約しておきたくなる。ところが、先に述べたように計画通りいかないことは常時ある、1つは天候、2つ目には道路の状況、3つ目は道に迷うなど。宿泊先を決めて予約しておけば、その日のうちに宿までは到着しなければならない。そのため、かなり無理した歩きを行うことになるが、このような無理が続くのはせいぜい3~4日である。
最初の3日~4日は宿泊先を予約して置き、多少無理を重ねてもそこまでは到達することにしても、それ以降は、身体状態や地図と現地の違いなどを重視してリスクヘッジの計画に移行することが望ましい。翌日の宿泊先は、その日夜の宿で検討して予約を入れる。あるいは、翌日の札所に参拝した時点で、その日の宿泊先を決めて予約の電話をする。この予約は14時頃がリミットで、それ以降だと泊まれたとしても夕食の用意は不可とのことが多い。勿論、予約は時間が遅くなればなるほど取れにくくなる。翌日はどの札所まで歩くのか?など幾つもの要件を考慮して、宿泊所に予約を入れる。まさに歩きお遍路は段階的詳細化を積み重ねていくプロジェクトである。

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