グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第91回)
プログラムマネジメント研修・・・所変わって

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :5月号

 3月中旬、東京・北千住のHIDA東京研修センターで研修中にセンターの中庭で見事な八重桜を見た。研修センターに集う海外研修生達も八重桜に感動し、桜が満開になったら花見に行こうという話がいくつかのグループでまとまった。
 2週間缶詰のHIDA研修が終わって週末を挟んですぐ中国・蘇州に行き4月第1週に5日ほど滞在した。ある日、蘇州の隣の無錫 (ウーシー) 市に用事があり日本育ちのスタッフに案内されて行ってみた。無錫には、上海や蘇州と同じように日本企業の進出が多く (部品メーカーなど中小企業も多いようだ)、おかげで関西空港への直行便もある。その無錫には日本との友好交流を育むシンボルにとして桜が移植されていて、市によるお花見の記念行事が終わったところだそうだ。見学に訪れたリゾートホテルの真ん中にある庭園にも桜が咲き誇り、折からの強い風で花びらが池一面を覆う景観はうっとりするものであった (写真の建物は築百年の邸宅をリホームして仕立てた5星ブティックホテル)。

築百年の邸宅をリホームして仕立てた5星ブティックホテル

 HIDAでのフィリピン管理者研修でも立派な研修者成果が出たが、蘇州でもご縁があるホテルチェーンの経営者の依頼を受けて、リサーチの一環として11時間のノンストップ研修をCEO以下トップマネジャー60名と実施した。サービスイノベーションをテーマにして、プロジェクトマネジメントとプログラムマネジメントの両方のおさらいをした後、最後の4時間で実経営戦略に即して提案プログラム4件をグループで纏める演習を行う、かなりの強行軍であったが、きれいに纏まった。
 日本では、いまだプログラムといってもピンと来ない場合が多いが、中国では、国や国営企業に伝統的な5ヵ年計画の経験があり、企業の管理者層はプログラムの概念にはかなり慣れているようだ。当該ホテルチェーンは2003年に1店のホテルでスタートし、12年後の現在32店であり、またブランドを3つに分けて展開しており、この成長はプログラムなくしてありえない。必要に迫られて自前で行っているプログラムマネジメントであるが、今後は、どのような冠、つまりグローバルブランド、をかぶせるか、という事を模索している状況にあろう。
 ちなみに、日本でも東横インのように女性の支配人・スタッフが非常に多いホテルチェーンもあるが、中国のホテル業では管理者も含めて女性従業員が6割以上であるのが通例である。従業員学歴では以前は短大卒が多かったが、最近は4大卒者が過半数とのデータがでている。研修中にアイスクリームや飴が廻ってくるのは愛嬌だ。


 当方からは、お楽しみようにフランスワインを持ち込んで、研修後の夕食時に宿泊中の参加者の皆さんと乾杯した。
 ワインと言えば直近の失敗談がある。蘇州からの帰路、上海浦東空港で3500円くらいの赤ワインを買ってきて飲んでみたところ大外れだった。かつて日本から技術導入してワイン醸造を始めた中国で、その頃 (2006年) 買ってきた赤ワインはまずまずであった。値段からして高品質のワインができたのであろうとの期待を膨らませて買ってきたのだが (店員も一押しであった)、注いでがっかり、カベルネ・ソービニョンに特有のルビー色ではなく、ボジョレーのような褐色ぽい赤で、香りはまずまずであるが薄いではないか。筒に入っていて見えなかったボトルのアルコール分表示は、12度だ。最近中国では、贅沢禁止令の一環で8度 (普通は14度) の紹興酒を盛んに飲むなど、薄い酒を飲む風習が広がっているが、結構高額なワインも右に倣え、では困る。ワインはワイン文化のある国で味わえという教訓だ。  ♥♥♥


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