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Cさんどうですか |
C. |
答えは簡単です。韓国はオリンピックで勝てる種目を明確に意識し、それらの種目をリストアップしています。そして勝てる種目中心に予算を割り振り、国がその予算で選手を訓練します。そして金メダリストには一生食べられる賞金を提供しまから、選手も真剣に努力します。それが日本より少ない予算で金メダルの獲得率が高いわけです。 |
Z. |
日本のオリンピック戦略は何ですか。 |
C. |
よくわかりませんが、オリンピックは参加に意義があるという発想で、多くの種目に予算をつけているように見えます。したがって一人あたりの予算はすくなくなり、日本人のオリンピック出場者は多くの場合手弁当的です。また、金メダルをとっても韓国や中国のように大きなご褒美をだしません。戦略とは戦いに勝つことでしょうが、日本の戦略の基準がよくわかりせん。 |
Z. |
今、アベノミクスのブレーンとなっている斎藤ウイリアム浩幸 (内閣府本府参与、科学技術、IT戦略参与) 氏が日経産業新聞で『ウイリアム氏と明日を読み解く』というコラムを書いています。10月17日の記事に、“1位を目指す意味”という記事があります。『日本の女子サッカーは以前人々に興味を持たれていなかったが、ワールドカップで1位となり、注目度が上がり、ファンが増えました。日本人は「1位」ということの魅力をどの程度感じているか?日本には“判官びいき”という言葉があり、「弱いもの」に対する共感が強すぎるゆえに、平等主義を建前に壁の向こうにある世界への挑戦を放棄している。グローバル化やイノベーションを唱え、新たなビジネスを模索するとき、「1位」を目指す海外のライバルに対し、本当に勝つ気でいるのか疑問に思う』。と
私が地政学的戦略と言っているのは何がなんでも、勝負に勝つために何をするべきかを真剣に考えようという提案です。MBA取得者が20年間グローバル戦略を出せませんでした。グローバリゼーションという変化の速い中での戦略を考えます。20年間国家戦略を持たなかった官僚の政策が世界で通用する筈もありません。 |
A. |
なるほど、よくわかったが何をせよというのかね |
Z. |
まず、何を売ったらよいのか、から出発しましょう。20年間の空白でグローバル市場で並みの商品やサービスは既に多くの有力国、企業に占有されています。既存の商品やサービスの提供では太刀打ちできません。“ゼロベース発想”が必要で、ここではまず、漠然と「価値を提供する」ことにします。 |
A. |
価値の提供では漠然としてわかりにくいね。 |
Z. |
その通りです。本当は売りたいものが何か私たちは持っています。ただ、ストレートに商品ズバリを提供しても売れないと思います。商品に付加価値をつける必要があります。其の付加価値とは何かを考えるのが地政学的戦略です。地政学と称したのは、目玉商品やサービスを持って、ターゲットの国に出かけ、当地の複数の有能人材を選別し、ベンダーのマーケット部門と共同でニーズ創出を議論します。商品・サービスの研究ではなく、付加価値の研究をするということに新規性があります。価値の付加の事例としては、インフラビジネスでは相手国の人材教育を付加価値として加えます。商品開発では日本と当該国のブリッジエンジニアの育成などが考えられます。商品を売ることより人材の育成は相手国にとって『金の卵』の提供を意味します。そのためには相手国の弱いところ、強いところの調査も必要です。 |
A. |
どこに価値があるか探すのが難しくないか。 |
Z. |
その通りです。しかし、経営に関しては世界共通で評価する基準を私たちは持っています。P2Mのプログラム統合マネジメントを賢く取りまとめるために考えたツールです。内容を少しお話しします。企業の価値創出力を構造化した図を考えました。今やグローバル競争を一社で勝ちきることは困難です。企業の価値創出力の構造がわかれば自社である程度できますし、できない部分は自社に持っていない分野を提携で強化できます。 |
A. |
面白いね。そのツールは何というのかな |
Z. |
価値創出のためのOWモデルです。
OWモデルを説明します。P2Mの研究会はP2M開発後価値創出のための構造化研究を行い、名称をOWモデルと名付けました。まず、P2M開発の教祖的存在の小原教授が、「ミッション・プロファイリングにおける洞察力・俯瞰力図」を提供してくれました。この図を利用して経営を俯瞰します。この時俯瞰の高さでグローバル市場の俯瞰、国内市場の俯瞰というモノを構築することができます。そして俯瞰図は9つの視点を掘り下げて検討を進めます。9つの視点とは |