関西P2M研究部会
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(その2) クレームを経営に活かす!
~クレーム対応仕組み構築のすすめ~

海藏 三郎 [プロフィール] :3月号

 先月号に引き続き、掲題のテーマについて論じていきます。
 今回は、3.金属加工業のクレームの特徴からです。

3.金属加工業のクレームの特徴
 金属加工業は「日本標準産業分類項目」では、E製造業の中の“24 金属製品製造業”に分類される。以下、当分類項目を下記に転記する。
 (1) 金属製品製造業(「日本標準産業分類項目」より)
E. 製造業
24 金属製品製造業
240 管理,補助的経済活動を行う事業所 (24 金属製品製造業)
  2400 主として管理事務を行う本社等
  2409 その他の管理,補助的経済活動を行う事業所
241 ブリキ缶・その他のめっき板等製品製造業
  2411 ブリキ缶・その他のめっき板等製品製造業
242 洋食器・刃物・手道具・金物類製造業
  2421 洋食器製造業
  2422 機械刃物製造業
  2423 利器工匠具・手道具製造業 (やすり,のこぎり,食卓用刃物を除く)
  2424 作業工具製造業
  2425 手引のこぎり・のこ刃製造業
  2426 農業用器具製造業 (農業用機械を除く)
  2429 その他の金物類製造業
243 暖房装置・配管工事用附属品製造業
  2431 配管工事用附属品製造業 (バルブ,コックを除く)
  2432 ガス機器・石油機器製造業
  2433 温風・温水暖房装置製造業
  2439 その他の暖房・調理装置製造業 (電気機械器具,ガス機器,石油機器を除く)
244 建設用・建築用金属製品製造業 (製缶板金業を含む)
  2441 鉄骨製造業
  2442 建設用金属製品製造業 (鉄骨を除く)
  2443 金属製サッシ・ドア製造業
  2444 鉄骨系プレハブ住宅製造業
  2445 建築用金属製品製造業 (サッシ,ドア,建築用金物を除く)
  2446 製缶板金業
245 金属素形材製品製造業
  2451 アルミニウム・同合金プレス製品製造業
  2452 金属プレス製品製造業 (アルミニウム・同合金を除く)
  2453 粉末や金製品製造業
246 金属被覆・彫刻業,熱処理業 (ほうろう鉄器を除く)
  2461 金属製品塗装業
  2462 溶融めっき業 (表面処理鋼材製造業を除く)
  2463 金属彫刻業
  2464 電気めっき業 (表面処理鋼材製造業を除く)
  2465 金属熱処理業
  2469 その他の金属表面処理業
247 金属線製品製造業 (ねじ類を除く)
  2471 くぎ製造業
  2479 その他の金属線製品製造業
248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
  2481 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
249 その他の金属製品製造業
  2491 金庫製造業
  2492 金属製スプリング製造業
  2499 他に分類されない金属製品製造業

以上、「23 金属製品製造業」と言っても多種多様であり、「23 非鉄金属製造業」や「25 はん用機械器具製造業」と類似してくる分野も多い。ただ敢えて、関西圏の幾多の製造業に接してきた筆者の経験から、当業界の特徴を列記すると以下の通りである。
 (2) 当業界の特徴
一般的に中小・零細企業がほとんどである
自社ブランド品を持たない、俗にいう下請け体質な企業が多い。故にBtoB型事業である
旋盤やボール盤あるいはマシニングセンター等の設備機械資産が多い
匠の技を持つベテラン職人を抱えている企業が多い。故に技術承継や若手技術者育成の課題を抱えている企業が多い。
昨今はグローバル展開が進み、海外勢力(特にアジア系)との価格勝負に悩んでいる企業が多い。
ただ技術・品質面では、海外勢力より一歩秀でていると自負している企業が多いが、自社の強みが外国企業にキャッチアップされてしまう懸念を持つ企業もある。
メインは取引先からのクレームがほとんどである(一般消費者や近隣住民からのクレームは少ない)
 よって、次の項目にも関連してくるが、当業界にとって、「クレーム対応は経営上の最優先課題」であり、円滑なクレーム対応の仕組みを構築することが、他社(海外勢力含む)との差別化・優位性確保に繋がる。
 (3) 当業界のクレームの現状
メインは取引先からのクレームがほとんどである (一般消費者や近隣住民からのクレームは少ない)
クレームの種類 (主たるクレームは納入製品に関連することが多い)
不良品、出荷ミス、納期遅れ、仕様ミス、伝票ミス、搬送ミス、ロットミス、付属品等のモレ、特採や返品及び支給材等に関する契約事項のトラブル

  クレームの種類 内容 責任所在
製品の
瑕疵
不良品 製品の不具合、付属品や部品の不具合 詳細は本文参照
仕様ミス 仕様確認モレや注文伝票等の確認モレのために、間違った仕様の製品を出荷納入する 営業・技術・製造の確認モレ
納入


誤謬
出荷ミス 数量や製品銘柄を間違って出荷する。別な取引先に送付する等。 出荷担当者
納期遅れ 工程不具合の発生や部材品の欠乏等により、納期が遵守できない 製造工程管理
搬送ミス 間違った取引先や部署に製品を納入する。あるいは納入期日に製品が届かない 倉庫出荷担当
物流業者
ロットミス 納入ロット数が違っている。間違って製造あるいは出荷時の確認ミス 出荷担当者
製造管理
付属品等のモレ 注文時に確認した付属品が納入されていない、あるいは数量が合わない。 出荷担当者
事務
処理
の誤り
伝票ミス 納入伝票の記載ミス(製品仕様あるいは数量等)
納品書あるいは請求書等の伝票が間違っている。
出荷担当者
営業事務処理
その他 その他契約事項などの確認不一致
返品や代替え品等の条件が異なる
支給材(有償・無償)の契約条件不一致
支払条件の確認不一致
営業
技術
製造
クレーム窓口は営業や管理部門、場合によっては製造部門がほとんどである。
適切なクレーム対応処理がなされず、同じ内容のクレームが頻発すると取引中止になる可能性大。
クレームを活かす(改善・改良に繋げる)仕組みが構築されていない企業が多い。
クレーム対応に関わる作業工数やコストを把握していない企業が多い。
過去のクレーム対応処理が記録されていない企業が多い。

その2 は以上です。
次回は、4.クレーム対応の重要性と経営上の目的、について触れていきます。

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