P2Mクラブ
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「P2Mのミッションプロファイリングと3Sモデルの活用事例紹介」

東京P2M研究会 デリア食品株式会社 藤澤 正則 [プロフィール] :3月号

1. はじめに
 2月10日のPMAJ主催の「P2Mクラブ」で「P2Mのミッションプロファイリグと3Sモデルの活用事例紹介 (中食製造業の業務改革での適用事例)」についての話題提供を行い、参加者(IT、エンジニアリング、コンサルティングなど様々な業種)と、活発な意見交換を行った。

2. 話題提供
 P2Mの特徴として、ミッションプロファイリングと3Sモデル(スキーム・システム・サービス)が挙げられるが、中食製造業のようなサービスモデルで価値を生む場合の活用事例として、2004年から2014年までに取り組んだ「事業内統合PJ (2004年~2010年)」「事業統合工場計画PJ (2010年~2012年)」「事業戦略構想PJ (2010年~2014年)」について話した。

2.1 活用事例 ① 「事業内統合PJ」 (経営と現場をつなぐ)
 2004年に自立型の分社経営からグループ経営(事業ごと経営)に大きく変わり、2005年よりサラダ惣菜事業の統合に事務局的な立場で関わることになった。事業内統合の実現をゼロベースで俯瞰すると、経験則の中での「しくみを使うこと」や「しくみを変えていくこと」はできそうであるが、今回のような経験していないことに対しては、得意でないことが見えてきた。そこで、このテーマをプログラムとして捉え、P2Mの見方、考え方の活用を試みた。特に、「ミッションプロファイリングが使えるのでは」と考え、各社の経営者とともに、場の構築を進めて、事業の方向性、経営者の考えていること(世の中、会社、個人)、事業の置かれている環境(ありのままの姿、あるべき姿)について、よくあってよく話し合うこと進めていき、次に3Sモデルの活用を行った。
 フェーズ1では、限定された範囲でのPJを行い、成功事例を作り、フェーズ2では、そのPJで得られたことと各社の情報収集と共有化(場の構築)を行った。フェーズ3では、各社の課題解決PJの情報を共有化し、場の構築のレベルアップを図った。フェーズ4では、共通課題解決のPJを複数社で行う形にした。フェーズ5では、これまで行ったことの情報を体系化して、人材育成の場の構築を進めた。

図 1 事例1から見えてきたこと
 図 1 事例 1 から見えてきたこと

2.2 活用事例 ② 「事業統合工場計画PJ」 (変化を恐れず、変化を楽しむ)
 2010年から3工場を1工場に統合する工場計画に、事業者側として関わることになった。
 これまでは、請負側で工場計画(建設)に関わったことはあるが、事業者側として関わることは、初めてであった。そこで、ミッションプロファイリングと3Sモデルの活用を試みた。このPJでは、入り口での合意形成を重要な事項をして捉え、「関わるメンバーと想いの共有から理解度を上げること (人づくり)」、「実現するまでのやり方の理解度を上げること (しくみづくり)」を進め、入り口からスキームモデル、システムモデル、サービスモデルにつなぎ、スパイラルアップするプログラムとした。

図 2 事例2から見えてきたこと
 図 2 事例 2 から見えてきたこと

2.3 活用事例 ③ 「事業戦略構想PJ」 (変化を予測し、変化を創り出す)
 2010年からの「事業戦略構想PJ」は、事業フラッグを実現するために、2004年から2010年までの「事業内統合PJ」から発展したPJであり、ミッションプロファイリングと3Sモデルを活用した。このPJでの進め方として、「役に立ちたいから役に立っているが実感できる」までを、価値創出展開モデルをベースに「想い」「マーケットや生活者」「提供する商品やサービス」「経営資源」をつなぎ、かつ、見方の流れを加えることにより、「経営から現場」、「以前、今、これから」、「お客様と自分達」がつながるフレームとして構築し、各エリアに展開する形で進めた。

図 3 事例3から見えてきたこと
 図 3 事例 3 から見えてきたこと

2.4 まとめ
 サービスモデルである中食製造業において、P2Mの見方・考え方をビジネスの課題解決に活用してみた。見えてきたことは、P2Mの特徴であるミッションプロファイリングや3Sモデルは、このようなビジネスの課題解決において、効率かつ有効性があると考えられる。

図 4 まとめ
 図 4 まとめ

3. 参加された方のコメント
まるで自分達の業務のお話を聞いている(コンサルティングの話)のようでした。言葉は変わっても、改革の為に必要な要素は同じなんだ、と感じました。
一つの工場の改善を経験して、他の工場へと横展開していくスキームを理解することができました。
10年に渡る実務でのプロジェクト経験をベースとした説得力のあるお話でした。
とても良かったです。ありがとうございました。

参考資料 : 2015年2月10日 : 「P2Mクラブ」での話題提供資料

以上

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