P2Mクラブ
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水リスクの事~第4回P2Mクラブ朝食会での話題提供~

PMR 内田 淳二 [プロフィール] :1月号

【はじめに】12月10日、PMAJ主催の朝食会で「水リスクの事」をテーマにしたお話をさせていただきました。世界の人口が急激に増加し、都市生活者の割合も一挙に増えてしまった現代において水問題は、地球規模で解決しなければ大変なことになるという大きな話でしたが、PM仲間の皆さんには、問題の背景にある基本的情報を興味深く聞いていただき、活発なQ&Aも行うことができました。
以下 概要のご報告を致します。

【講演要旨】世界経済フォーラム報告書2014で水リスクは、グローバルリスクのトップ5に挙げられている。水問題の指標とされている年間一人当り水使用量が、1700m³ に満たない国家・地域が2025年には、48ヶ国国28億人に増えると予想されている。

図1:1995~2025国家地域別水ストレス状況予測
図 1 : 1995~2025国家地域別水ストレス状況予測
出典 : UNEP(国連環境計画)VitalWaterGraphics/ Water supply per river basin in 1995 and 2025より筆者編集
又、水不足は、降水量の多寡など地理的要因によるものと人口集積、生活スタイルと水インフラ整備レベルなど地域の社会・経済的要因によるものに別れる。

図2:2025年における水不足地域予測図 図 2 : 2025年における水不足地域予測図
出典 : IWMI
北アフリカ、中東、インド、中国北部、南アフリカが地理的要因、中南米、アフリカ、中国、アセアン諸国、オーストラリアが経済社会的要因で水不足になると予想されている。

日本は、水ストレスはそれほど高くはないが、穀物消費量の10%以上を輸入に頼っている国地域に分類されており、大量の仮想水が日本以外で消費されているので世界の水ストレスと無縁ではないとされている。
【Q & A】
 (NK氏) 水に関する地域区分ごとに水事業の狙いどころは、それぞれ違うと思うが、水不足地域向けには、どういう戦略を立てているか?
 (HY氏) 水ビジネスでは、日本勢は遅れをとっていると認識しているが世界の中で日本のポジションは、どの辺か?
 (HM氏) 日本人は、水の貴重さ・大切さをあまり知らないでここまで来ているが、これからは個人レベルで水問題を意識する必要が高まっているということが、よく分かった。
 (TK氏) 水を大切にしなければいけないという思いを、あらためて強く思った。知識・見識を高めて、今後どういう行動をすればいかと考える契機となった。
 (MF氏) 節水型農業など水問題対応がビジネスになっている。多様なステークホルダーの満足を得る必要があり、ローカルなニーズを知らなければビジネスにつながらない。日本の経験を世界で展開するにおいては考慮すべき重要な視点である。
 (SH氏) 水の話、めっちゃ勉強になりました。この話はもっと多くの人にシェア頂きたい内容と思います。
 (内田) 地球上の水は、40億年前から不変。現在・過去・未来を通じて全人類が共有し続けるものという認識で全ての関係者が謙虚に水問題に接すれば、解決への道は開けるのではないかと考えている。などなど、活発な質疑が行われた。

【さいごに】今回で4回目となるP2Mクラブの朝会で話題提供をさせていただいたことで、P2Mでつながる皆さんと改めて大いに交流を深めることが出来ました。
 参加者の皆様と有意義なイベントを企画して下さったPMAJスタッフの皆様に感謝を申し上げて終わりにします。ありがとうございました。

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