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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (11)
脳内改革が求められている (11)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 2月号

A. 先月はダボス会議で好評であったアベノミクスが、国内での評価を得るための選挙をおこない勝利したが、世界の有識者の評価について、解説してもらった。シンガポールの投資家ジム・ロジャー氏以外は好意的な評価であった。
Z. 緊急なお話をします。
昨年12月に2つの新刊書が出版されました。
  1. 『タックス・イーター』著者 志賀 桜:元財務官僚 2012まで政府税制調査会委員
元大蔵省(財務省)官僚が戦後の政策の中から、税とその分配の実態を淡々と述べ、問題点をあきらかにした。綺麗ごとがないのが特徴です。ことの良否を問わずに本書の内容を整理します。
    日本国は監査機関が機能しないので、税金が食い荒らされている。
    日本の官は基本的に昨年度予算以上を獲得することが目的化しており、効率よい使い方や、研究開発の成果に関心が薄く、成果が出ていない。
    日本の予算の基本は弱者救済の名のもとに国民の合意を取り付け、結局はタックス・イーター(税くい虫)に還元されている。(弱者が強者になったためしがない)。欧米の政策は弱者切り捨て、強者支援。予算の成果報告が明確になっている。
    20年の空白間で既得権益者(過去型産)の延命、新規事業がグローバル市場で敗退。国内事業の発展が阻害されている。
    社会保障に対する厚労省の説明は詭弁と欺瞞。
    おわりに : 今、我々に必要なことは、『日本においては、あまりにも多くの不正や欺瞞によって事実が隠ぺいされている。問題の所在を正しく把握することが急務だ』と志賀氏コメント
  2. 『没落する日本、強くなる日本人』著者 小笠原 泰 東大卒、シカゴ大学國際政治経済学修士、マッキンゼー&カンパニ、他海外企業、NTTデータ経営研究所、現職明大教授
この本は國際政治経済からアベノミクスを眺めた問題点を指摘し、ドラスティックな提案を行っている。
    2050年のGDPは現在の60%程度
    万能薬化した持続的経済成長願望はありえない
    的外れの生産性向上・移民受け入れはありえない
    ゼロ成長でも現在の社会保障制度は維持できない。
    グローバリゼーションは国家の役割は小さくし、国は国民を守ることができない
    著者はこの現状認識に対する従来になかったドラスティックな対策を下記する。
    第4章 日本をうまく縮小均衡させる11の方策
    第5章 企業が生き延びるための10の条件
    第6章 個人が生き抜くための10の覚悟
    第4~6章の内容を最後に添付する。
A. 厳しい内容になるね。先月号のシンガポール投資家ロジャー氏の意見がこれに近いね。ではこれに対する君の考えは何かあるかね。
Z. アベノミクスに対してはいろいろな意見や提案があります。アベノミクスがダメだと言ってしまえばおしまいだと思います。しかし既得権益者が、このまま居座ってしまっては日本がダメになります。既得権益者も日本人の誇りをこの際示しもらうことを前提にアイデアを提示します。
アベノミクスの現在の路線はそのまま進めるとして、新たに抜本対策プログラムを立ち上げる必要があります。
  Ⅰ. 官公庁内の削減アイテムの選定(有能な人材を集めた官が底力を出してもらう前提です。)
    将来の人口減少を認識し、削減アイテムの抽出
    規制緩和テーマの選択
    各省庁共通アイテムの融合
  Ⅱ. 成長産業の識別(従来からの発想の離脱が求められる)
21世紀型ビジネス戦略型ビジネス
    ブランド化戦略(日本文化を売る戦略、美味しいもののブランド化、里山と養殖魚類(フグの無毒肝臓のフォアグラ化)、ロボット医療・介護、発展途上国へ漫画による低学年教科書、日本アニメによる情操教育、日本刀型調理器
    地政学的戦略(アジア地域へ進出)
  Ⅲ. 21世紀Bタイプビジネス:
人口減少を認知して提案されたプログラムの再検討(各地方で独自案を出す)
    里山資本主義
    コミュニティ・デザイン
    没落する日本の第4,5,6章の検討
    いろいろとありますが、とりあえず提案してみました。
  Ⅳ. 実施方法:新規ビジネスはプログラムマネジメントで実施する。
成功の鍵は新しいタイプのプログラムマネジャーの育成にある。
  来月は人材育成を話します。
A. 検討するといろいろありそうだな。ありがとう

以上

没落する日本、強くなる日本人 目次-第4、5、6章あとがき紹介

没落する日本、強くなる日本人 目次 (4/8)


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没落する日本、強くなる日本人 目次 (8/8)


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