PMRクラブ
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P2Mとの出会い

横河ソリューションサービス(株) 薄井 昭人 [プロフィール] :2月号

1. はじめに
 今回の随想では、私がP2Mに出会い興味を持った経緯と、現在の仕事との関わり、これからの抱負などを簡単に紹介させていただきます。

2. P2Mとの出会い
 私は入社して間もなく、ある石油精製プラント向け制御システムのアプリケーションソフトを先輩とともに担当していました。ところが、先輩につきながら仕事を覚え始めた頃、突然その先輩が異動してしまい、後を任される形となりました。私は主担当として最終検査に臨みましたが、検査手順さえままならず、燦燦たる結果となり、お客様は激怒して帰ってしまわれました。上司と一緒にお客様に頭を下げ、再検査を行い、どうにか納入までこぎつけましたが、プロジェクトとしては失敗でした。この頃の私はまだ、プロジェクトマネジメントなど考えていませんでした。
 時が経ち、仕事のやり方やコツを覚え、一人前になったつもりで業務をこなしているうちに、PM部署へ転向となりました。プロジェクト全体のQCD管理を考える立場になったこの頃に、PMBOK®を知り、経験やコツだけでなく、体系だったプロジェクトマネジメント手法の重要性を認識するようになりました。ちょうど社内でもPMP®資格取得の動きが活発になりましたが、私は業務多忙を理由に資格取得には至りませんでした。
 更に時は経ち、会社は計装メーカーとして品質の良い自社製品をお客様へ納入するだけでなく、お客様の抱えている課題を解決し、お客様のパートナーとして付加価値を創出するソリューションカンパニーへ変革していく方針が打ち出されました。この流れの中で、私自身も従来のPM部署から、新規エンジニアリングビジネスを開拓するというミッションを持った新たな部署へ移りました。この時、先輩PMRでもある当時の上司からPMS資格取得の話を持ちかけられたことが私にとってのP2Mとの出会いになります。

3. P2Mで考える
 PMS資格取得に向けてP2Mを勉強している中で、新規エンジニアリングビジネスを開拓するという現在の仕事は、P2Mのプログラムマネジメントがとても有効であると考えるようになりました。
 例えば、プログラムのライフサイクルに当てはめてみると、
スキームモデル: 構想計画段階として、市場動向などを踏まえビジネスの実現可能性を検討する。
システムモデル: ビジネスを具現化し、具体的案件を通して実証を行い、最適化を目指す。
サービスモデル: 実績を積み上げていく中で、技術、ノウハウなどを蓄積し、価値創造を目指す。
となります。
 また、プログラムマネジメントの構成に適用してみても、次のようになります。
<ミッションプロファイリング>
「新規エンジニアリングビジネスを開拓し、付加価値を創出するソリューションカンパニー」(あるべき姿)に向けて、「既存ビジネスに依存した計装ベンダー」(ありのままの姿)とのギャップを明確にし、どのようにしてソリューションカンパニーへ到達するのかシナリオを描きます。
<プログラムデザイン>
ミッションプロファイリングで描いたシナリオに沿って、何をしなければならないのかを考え、各々を一つのプロジェクトと捉えつつ、全体の中のそれぞれの関係性を踏まえながら実行していきます。
お客様はどんな課題を抱えていているのか調べる。
どうすれば付加価値を創出できるのか考える。
どのようなビジネスにチャレンジするのか検討する。
足りない技術を習得したり、人材を調達したりする。
<プログラム実行の統合マネジメント>
実行段階においては、「監視とコントロール」により、やっていることがソリューションカンパニーへの変革に向かっているかどうかを繰り返し確認し、外部環境の変化などにより、必要に応じて柔軟に対処します。
<プログラム戦略とリスクのマネジメント>
新規エンジニアリングビジネスの開拓において、どのような戦略を立てて臨むのかを考えます。
既存ビジネスをベースに拡張を図るのか?それとも全く新しい分野へ展開するのか?
得意分野を自社単独で伸ばしていくのか?他社協業も視野に入れて裾野を広げるのか?
<価値評価のマネジメント>
価値評価のマネジメントでは、新規エンジニアリングビジネスをどのような指標で評価するのかを決めることが重要になってきます。指標を決めたら、その指標による計測を行い、戦略に沿った改善を図ります。

4. PMSからPMRへ。そして・・・
 このように考えているうちに、仕事での実践の場でもっとP2Mを活かしていきたいと思うようになり、PMR資格取得を目指すことにしました。
 PMS試験では、P2M標準ガイドブックに基づき、プログラムおよびプロジェクトマネジメントに関する体系的知識が問われますが、PMR試験では更にP2Mによる実践力が評価されます。PMに必要な実践力とは何か?10のタクソノミーを自分に当てはめた場合に、何が得意で何が足りないのか?足りない部分を強化するにはどうするのか?など、様々な思考を凝らして考えました。そうすることによって、今まで自分の頭の中で断片的に積み上がっていた思考能力、体系的知識、マネジメント行動スキル、基本姿勢が上手に整理できた気がします。
 そして、PMR資格を取得したこれからは、P2Mと通して得た知識と実践力を実際の仕事に適用していくとともに、PMRクラブなどのコミュニティに加わり実践力の幅を広げ、更には、様々な活動を通してP2MやPMAJが広く世間に認知され、発展していくことに少しでも貢献できればと考えます。

以上

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