関西P2M研究部会
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加齢と日本の強味 “知覚”

PMS 不動産鑑定士 三浦 弘光 [プロフィール] :1月号

故ドラッカーは著書『新しい現実』で、1965年から2030年位までを乱気流の時代であると指摘しています。

今、まさに乱気流・乱戦の時代であると痛感しています。

日本の超高齢化社会現象は世界に類がないほど急速に進んでいます。

私も高齢者の一人ですが、過日、新聞に「加齢とともに進化する能力もある」との記事が掲載されていました。結晶性知能というそうです。「これまで蓄積してきた学習や経験を生かし、物事を総合的に判断し、問題解決に役立てる」能力とのことです。私はこの記事に共鳴しています。

さて、ドラッカーは、西洋は論理学を得意とするが、日本には知覚があり、大化の改新、明治維新、戦後復興等の変革を成し遂げていると賞讚しています。今、日本は難局に直面しているが、必ず日本特有の知覚を生かし、日本式で打開できると期待していました。

ドラッカーが述べる知覚とは何であるかを私なりに考えました。それは次のようです。
仏法の生命論では、九識論が説かれています。すなわち、眼・耳・鼻・舌・身・意という目に見える意識の六識の下に、七識(フロイト)八識(ユング)九識(ユング)という目に見えない無意識の三識があるとする九識論です。これが日本の知覚でもあると考えます。その概要は下図の通りです。
意識 意識   眼・耳・鼻・舌・身・意
無意識 七識 (自我) フロイト ◎自分が無意識の世界に押さえこんでいる部分
八識 (宿業) ユング:集合
九識 (仏界) ユング:セルフ

西洋の認識論では、上記の六識までの現象世界を論理的に分析することが特徴的です。七識、八識、九識の世界は不可知の部分として取り残された分野(論理学から)だと思います。

仏法を基盤とする日本の知覚は、現象世界(六識の世界)の下層にある三識まで含めた九識論(生命全体の知覚)です。この九識論を生かすと、直面する種々の難局に対して打開の道筋が展開できると私は思っています。

故ライシャワー元駐日大使が、その著『ザ・ジャパニーズ』において、日本についてある部分で否定的に述べたとき、ドラッカーは「日本の特質は『分析』ではなく『知覚』であると言っています。即ち、「日本の経済活動の発展の根底には『知覚』の能力がある」と言ったのです。

時代は月々日々に生命論的に複雑化しております。あらゆる分野が複雑化する中で、高い視点と広い視野(複雑系による認識・パラダイム転換認識・システムによる認識)で事象を捉え、事案の全体最適化を目指すP2Mの社会的役割は、今後益々増大するものと思います。私もそれに寄与しいものです。

PMSで高齢者の私は、日本人の知覚(九識論)を持ち、社会で役立つことに希望と喜びを感じています。

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