図書紹介
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ぼくたちはなぜ、学校へ行くのか
マララ・ユスフザイさんの国連演説から考える

(石井光太著、ポプラ社、2014年3月発行、63ページ、第2刷、1,500円+税)

デニマルさん: 12月号

今回紹介の本は今年3月に発売されたのだが、副題にもある通り「マララさんの国連での演説」をテーマにこの本が書かれた。2014年10月にノーベル賞が発表され、マララさんが平和賞を受賞された。その結果、マララさんが一躍脚光を浴びることになったので、ここでも取り上げることにした。この本は、小学生でも読めるように易しく書かれ、写真も多く取り入れて絵本風に編纂されている。題名も子ども向けに、学校、教育、マララさんを繋いで分かり易く書いてある。具体的には、昨年7月の国連での演説「一人の子供、一人の教師、一冊の本、そして一本のペンが、世界を変えられる」を話された背景やマララさんの足跡を紹介している。そこから子どもたちが学ぶべきことを紐解いている。子どもだけなく大人でも忘れてはならないことが書いてある。著者は、数多くのドキュメンタリーを書き、絵本「おかえり、またあえたね」は海外でも翻訳出版されている若手作家である。

マララさんとは?         ――2014年ノーベル平和賞を受賞――
マララさんは、パキスタン生まれの17歳の女性人権活動家と紹介されている。彼女がノーベル平和賞を受賞したのは、イスラム武装勢力が女子の教育を宗教上の理由で認めなかったことに対して、敢然と立ち向かって「女子教育の必要を訴え続けた活動」が評価された。しかし、その過程で武装勢力から襲撃され意識不明の重体となったが、奇跡的に回復した。その後も武装勢力の女子学生誘拐や学校破壊の再建の訴えを呼び掛ける活動をしている。

マララさんと学校?        ――女性が教育を受ける権利を発信――
現在、世界中で小学校に通えない子どもが5700万人以上いるとユネスコが推計している。多くはアフリカやアジア地域で暮らしていて、半分以上は女子である。貧しいので学校に行けず働いて家族を支えたり、幼いうちに結婚させられている。その現状を知り、訴えるにも「言葉」が必要で、それを学ぶための「学校」での教育が不可欠である。貧困・差別・無学等の不平等を言葉にして、女性が誰でも平等に教育を受けられる必要性を訴えている。

マララさんの国連演説?      ――暴力、テロに屈しない子どもの教育――
マララさんは、11歳からブログで学校の様子を発信し続けていた。それで武装集団から狙われ、2012年に下校途中のスクールバスが襲撃され頭と首を撃たれたのは前述の通りだが、この事件後もマララさんは、暴力やテロの脅威に屈せず子どもの教育が世界を変えると訴えている。その翌年に国連本部で注目された先のスピーチとなる。現在、人権活動家として、子どもや女子教育の権利を訴えるシンボル的存在だが、将来は政治家を目指すという。


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