他人を攻撃せずにはいられない人
(片田珠美著 PHP新書、2014年7月18日発行、205ページ、第1版17刷、740円+税)
デニマルさん: 11月号
今回紹介の本は、昨年12月末に発売され今年になって17刷りも増刷されている。それだけ売れている訳だが、実はこの本を読むキッカケとなったのは、ある友人から職場の人間関係の相談を受けたからである。部下に「ボーダー」らしい人が居るのだが、どう対処したらいいのかという相談の内容であった。現状から簡単に会社内の産業医に相談するか、心療内科に連れて行ってはどうかと答えたが、実はそれが出来ないので悩んでいるとのことだった。ボーダーとは、「境界性パーソナリティ障害」という人格障害の一つで、感情が極端に変わるという特徴がある。障害なので医師や専門家での治療が必要なのだが、相談者のように相手を窮地に追い込むのもその特徴であるようだ。その友人は、結果として産業医に対応をお願いしたのだが、その半年間一人で随分悩んだようだ。その時手にした本が今回紹介の本である。この本に「ボーダー」のことは触れていないが、人を攻撃する点でよく似た症状で、身近な人間関係で何とかしたいと感じたら参考になる事が書いてある。
他人を攻撃する人 ――どうして人を攻撃するのか?――
著者は、精神科医で多くの臨床経験から今回の本を書かれた。一般的に他人を攻撃する人は、攻撃欲の強い人であるという。その特徴は、全てを自分の意のままに支配しようとして、相手の価値を認めない人、職場だけなく家族間でも同じことがあるという。更に厄介なことは、自分が被害者のような発言や行動をして、相手を陥れること(攻撃)を企んでいるケースもあるらしい。だから相手の真意を冷静に見極める必要があると書いている。
人を攻撃する方法 ――どんなふうに攻撃するのか?――
人を攻撃する人は、自分の欲望(権力、地位、自己満足等々)を満たすため、相手を無価値化して自分を高める方法や、相手の成績や成果や行動等に羨望して攻撃するケースもあるらしい。具体的に、・分からないふりをする、・他人のせいにする、・疲弊させる、・他人の価値を無視する、・罪悪感をかきたてる等の7つの武器があると書いている。これも厄介なのだが、被害者が相手の攻撃を疑わない点が、問題の解決を一層複雑にしているという。
攻撃からの処方箋 ――かわし方、逃げ方、守り方?――
これらの攻撃に対処する方法も書いている。攻撃欲の強い人は、自分が強いと他人に見せ付ける武器として攻撃している。言葉を代えると自分の弱さを見せないための攻撃だから、それを良く観察する必要があると書いている。間違っても話せば分かるという幻想を持たないことと断言している。「根性曲りに付ける薬はない」と書き、攻撃する人を見て「自分はあんなふうになりたくない」という気持ちで対応すれば、自然と楽になると結んでいる。
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