法人会員様コーナー
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(株) 富士通ミッションクリティカルシステム

人事人材部 今泉 浩一: [プロフィール] :11月号

1. まずは御礼
 私は、(株)富士通ミッションクリティカルシステムに所属しております。弊社は、神奈川県神奈川区にある富士通100%出資、従業員数約2200名のシステムエンジニアリング会社です。
 弊社がPMAJの法人会員となったのは、2007年です。弊社としてPMAJの活動参加はお世辞にも活発とは言えませんが、PMシンポジュウムには、多くの社員が参加させていただいております。毎年80名程度参加し今年も89名が参加させていただきました。参加した社員は、多くの気づきを得ております。この場を借りて熱く御礼申し上げます。

2. 弊社での疑似体験型プロマネ研修
 さて私は、人材育成の担当をしております。この場では、少し宣伝めいてしまいますが、弊社内で実施しているプロマネ研修について記載してみます。
 プロジェクトマネージメント教育は、「単なる知識教育だけではうまくいかない」と各方面でお聞きしております。私も全くの同感です。こうした背景もあり、プロマネ知識教育以外にシステム構築に関するプロマネを疑似体験する研修を10年ほど前より実施しております。

3. 疑似体験型プロマネ研修の特徴
   疑似体験型プロマネ研修は以下の特徴があります。
  (1) 弊社プロジェクト失敗事例
 研修の題材は、弊社で実際に起きた失敗プロジェクト(プロジェクト計画と実施時点で納期、品質、コストに差異が生じたプロジェクト)です。失敗プロジェクトが学びになるのかという議論はあろうかと思います。しかしながら畑村 洋太郎先生の「失敗学」のように失敗から学び、二度と同じ失敗をしないということも学びであると認識しており、失敗事例を題材に研修をしたてております。

  (2) 研修教材の内容
 研修教材は、実際のプロジェクトメンバーにヒアリングして作成し、物語仕立てにしております。その中でプロジェクトマネージャーやプロジェクトメンバーの「気持ち」や「微妙な発言の言い回し」も表現しています。プロジェクトは機械ではない生身の人間が実施するので、登場人物の「気持ち」や「発言内容のとらえ方」がプロジェクト遂行に大きく影響すると考えています。
 例えば、要件定義工程の場面で教材に以下のような記述があります。プロジェクトマネージャーの発言:「要件は、コストを意識して、その都度相談させてください。良いものにしたいという思いがありますので、できるだけ調整させてください。」
 玉虫色の発言ですが、このような会話は実際に行われているのではないでしょうか?

  (3) 研修の進め方
 研修は、実際と同様、プロジェクトの物語を時系列に進行させます。具体的には物語を3回、受講者に配付します。各回毎に品質、納期、コストに問題が発生し徐々に事態が悪化します。6人の受講者にその時点でのリスクと問題点の洗い出しとその対策を検討してもらいます。受講者自身にプロジェクトマネージャーになりきって検討してもらいます。
 講師は、実際のプロジェクトの場面にいるかのように受講者を誘導します。
 ここが講師の腕の見せ所となります。
 最後に「どうしたらプロジェクトを成功に導けたか」について受講者に検討し、発表してもらいます。



4. 疑似体験型プロマネ研修への思い
 プロジェクトは、唯一無二のものであり、理屈どおりには進みません。こうした事例を疑似体験したとしても実際に同じプロジェクトは二度とありません。しかしながら少しでもプロマネの引き出しを受講者に増やしていただくことを念頭に活動しています。

以上

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