グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第84回)
グローバル・プロフェッサーの一週間

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :10月号

 都下在住の当ヨーロッパ・トワイライト・エクスプレスは、毎年8月から大変忙しくなる。9月は月初に2週間居たフランスから帰ってきて、週を越えて北陸先端科学技術大学院大学の2週連続の集中講義が東京サテライトキャンパスと石川県能美市の本校であり、無事これを終えた。最終週の今は10月の中国蘇州での学生の集中指導、月中の岡山県立大学主催国際経営セミナー出講、そして月末からの2週間のセネガル出講の準備をやっているところである。
 大学での講義も連続で4週目になるとさすがに週の半ばに疲れたが、口は勝手に動いてくれたので、なんとか乗り切り、3名の博士課程生(米国、パキスタン、ミャンマー)と2名の修士課程生(バングラデッシュ、パキスタン)は無事良い成績で科目を修了した。私がいつも唱えている「半学半教」の世界が実現できて、多くのことを学生から教わった。
 1週間連続での集中授業は年に4回あるが、疲れるのは初日の午後と4日目の午後で、これを乗り切るとすいすいと行ける。集中講義というのは1日ネット6時間であるのでピッチャーであればダブルヘッダーを両試合完投して、これを5日続けるに等しく、講義を続けながら疲れを取っていく方法が必要となる。
口が勝手に動くのはもちろん私だけではなく、すごい話では、英国の巨匠Peter Morris教授の例があり、Peterは7年ほど前にフランスの大学院の世界セミナーで講演していたが、口ぶりがどうも怪しくなったと思ったら1分半ほど演台で寝ていた。でも口だけは動いていた。

 私の世界は動いている。以下この一週間の記録である。
9月20日:先週教えたパキスタンからの知識科学修士課程生からメールあり、彼女の研究テーマと私の講義内容が実によくマッチしていたとのこと。SSMなどシステムアプローチとマイクロファイナンス活用による農村社会の開発というテーマは実に面白い。
9月20日:イラン在住の学生と彼の第一スーパーバイザーの社会人博士の両名から、第一スーパーバイザーを引き受けてほしいとの要請があり、大学側の了承を条件に受諾した。学生が6年も過程をやっていると教える方の環境も変わる。この学生の指導は2年間私が実質一人でやっていたので影響は無し。交代も許可された。
9月21日:中国蘇州在住の学生から、研究調査支援に関わる現地大学への委託内容につき許可を求めてきて、若干コメントを出した。また、10月3日から4日間の蘇州での指導につきアジェンダを当方より提案。中国国慶節の大事な大型連休を返上して強化キャンプを張るのであるから関係者は必勝の構えである。
9月22日:モスクワの国立大学の修士課程プログラムマネジャーから近況報告あり。彼女のオーストラリアの名門大学での博士号最終審査につき3ヶ月ストップしたままとのことで、政治の影響であろうか。
9月23日:9月11日に京都で開催されたISO2500世界会議からの帰途、モスクワの大学でのセミナー開催のため移動中に東京で私に面談しに来てくれたオーストラリアのLynda Boune先生から連絡あり、コペンハーゲンで娘と孫に会い、モスクワでの2日間のイベンを無事終えてメルボルンに帰着したとのこと。Lyndaはステークホルダーマネジメントの世界的な権威で、私とそれほど違わない年齢であるが、年間8回は海外に行くとのこと。
9月23日:ウクライナの盟友Sergey Bushuyev教授から、黒海に近いニコラエフ市の国立造船大学を会場としたウクライナ秋季PM科学大会が無事終わり、同学名誉教授である私も映像に出てきたり、講演で度々言及があったと報告あり。当方、現在3月末を目標にウクライナ訪問を思案中であるが、ウクライナの大学ではロシアの供給遮断によるガス不足から冬休みの前倒しと期間延長(2ヶ月)を実施するとのこと。
9月24日:10月30日からのセネガル大学院大学での出講につき、今回講義の全5科目につきシラバス(英語・フランス語併記)を学長代行に送付。セネガルでは履修登録が甘く、当方よりシラバスを博士課程生とMBA過程生各々のMLに送付し、規定の履修登録があった学生にのみ教材を事前配付することになっているが、クラスが始まってみると、登録してなくて、教材は持っているという学生が何名か必ずいる。大学院であるので、この辺から直さないとだめだ。  ♥♥♥


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