PMシンポ便りコーナー
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「船頭多くして船山に登る?」

NECネッツエスアイ株式会社 原 宣男 [プロフィール] :8月号

 こんにちは、原です。私は昨年はじめてPMシンポジウムのスタッフを担当しました。
 もともと私は例会部会のKP(Key Person)なのですが、他のKPからの推薦でPMシンポジウム2013のITトラックサブリーダを務めることになり、よくわからないままシンポジウムの企画会議と運営会議に参加してきました。
 シンポジウムの当日、実際にトラックリーダ(サブリーダ)を担当してみると、リーダは司会進行と質問の誘導という重要な役割(頭を使う役割)がありましたが、幸い(残念ながら?)サブリーダなので、一番良い席で気軽に講演を聞けるという大変大きなメリットがありました。もっとも当日はサブリーダだけをやっていればよいというのではなく、午前中の基調講演の裏方も担当させて頂きました。
 大ホールの舞台裏に立つのは、学生時代に入っていたサークルのコンサート以来で懐かしいものがあり、私の担当は演壇の移動係でしたが、舞台裏のメンバーはほとんどが素人なので、皆オタオタしながら和気あいあいと協力しながら対応しました。特に難しい作業は無いので、何事もなく終わるだろうと思っていたのですが、やはりハプニングはつきもので、講師がマイクをオンにしないまま舞台に出てしまったり、修正していたプレゼン資料が講演用のPCにコピー出来なかったりと、本当に講演直前までバタバタしていました。
 まあ、素人集団ですから、細かいところにチェック漏れが出てしまうのは仕方がありませんが、無いに越したことはありません。そういう意味では、昨年と同じ役割を演じる人を配置するのが失敗しない賢明な方法かもしれません。
 それが理由かどうかわかりませんが、今年もまた私をITトラックのリーダに推薦して頂きましたので、快く引き受けた次第です。前述のようにノウハウを少しでも活用できたらと思うところがあったのも引き受けた理由の一つですが、一方ではCPUポイントを稼げる、身近に(無償で)講演を聞けるということも頭の片隅にはありました。

 ところで、皆さん失敗談を聞いて、その轍を踏まなければ成功すると思っている人が何人もいらっしゃると思います。しかし、例えば大学受験で、AとBを勉強しなかったから合格しなかったというのは事実だと思いますが、果たしてAとBを一生懸命勉強したら本当に合格できたのでしょうか。一方、成功談はというと、AとBは試験に出る確率が高いから丸暗記しておいて、それだけでは差がつかない為、皆が苦手なCで点を稼ごうと勉強してうまくいったというものですが、本当に勝因はそれだけだったのでしょうか。運が良かったということは無かったのでしょうか。こう考えると少なくとも失敗談だけを聞いて成功に導くとか、成功談だけを聞いて失敗しないようにするというのは危険かもしれません。
 さらに、成功と失敗の定義はご自身のイメージされているものと一致していますか?
 今、電球が手元に二つあり、これらを並列につないで部屋に明かりを点けるという命題があったとします。電球は某国製で不良率が10%もあるとした時、失敗する確率は何%でしょうか?そう、明かりを点けるという点では、ひとつ以上点灯したら成功と考えると、成功確率は99%、失敗確率は1%ですが、ふたつとも点灯しないと成功したとみなさないとした場合、成功確率は81%で失敗確率は19%です。
 実際にひとつしか点灯しなかった時、それは成功ですか失敗ですか?
 また、賢明なる読者諸君は失敗しなかったけど成功もしなかったということはありませんか?例えば、大学の成績が優、良、可、不可の4段階(現在は優の上に秀というのがあるらしいが、それはさておいて)だったとして、試験に通ればよいという人なら可が取れれば成功なのですが、何が何でも優を取りたいという人にとっては、良だったら失敗なのです。さらに別の人は、可とか良は失敗ではないけれど成功でもないというかもしれません。要するに失敗談や成功談というのは、まず講師がどの基準で成功か失敗かと言っているのかをはっきり見極めないと役に立たないのではないかということです。
 何が言いたいかというと、成功と失敗の定義の仕方によって、評価が全く変わってしまうということです。
 シンポジウムでは色々な講師が紙面では表現できないようなスピーチをしてくれます。失敗談もあれば成功談もあります。これらは形式知化されていないことが多く、まして前述の成功と失敗の定義をどう捉えているかということは、実際に聞いてみないと容易にはわかりません。
 つまり、形式知化されていない事柄を聞く、即ち暗黙知の情報を得る為には、実際に講演を聞くのがてっとり早いということです。要するに、シンポジウムの資料だけを見るのではなく、高い金を払ってでも実際の講演を聞くのが良いということになります。

 さて、表題の「船頭多くして船山に登る?」というタイトルですが、実は企画会議や運営会議のメンバーの多くは、今まで多かれ少なかれいくつものプロジェクトを手がけてきた人たちなので、いわゆる皆プロジェクトリーダ即ち皆、船頭なのです。ただ救われるのは、皆それぞれ手がけた分野や規模などが異なるという点なのですが、それでも毎回毎回一つの決議事項を決めるのに長い時間がかかっています。誤解しないでほしいのですが、それが悪いというのではなく、かえって新たな発見やアイデアがあったりして、愉快極まりないのです。今までの路線をかたくなに守ろうとする人や、積極的に新しい事柄を進めたいと思っている人もいます。3時間かけても議論が尽きず、近所の中華料理屋が閉まる直前にやっと意見がまとまったこともありました。
 そういう意味で企画会議や運営会議は参加していてなかなか面白いのです。しかし、今年は時間的制約が大きな課題になっています。昨年のシンポジウム開催が2か月例年より遅い11月開催であったにも関わらず、今年は例年通り9月の開催ですから、例年より準備期間が2か月も短い、昨年と比べたら何と4か月も短いということになります。
 さあ、こんなに短い期間でうまく舵をとらないと本当にシンポジウム号が山に登ってしまいますね。でもご安心を。どの船頭も引き際をわきまえていて(失敗しない方法を体得していて)、最後には委員長に一任ということになりますので、船は山に登ることなく大海に乗り出すことになります。これは果たして成功ですか?いやいや本当の成功体験をした人はシンポのボランティアなんかやっていない(講演者側にいる?(笑))でしょうから、少なくとも及第点というのがいいところかと。本当に成功するかしないかは神のみぞ知るというところかもしれませんね。いずれにしても、今年のシンポジウムは波瀾万丈な要素盛りだくさんですから、まったく飽きないおもしろいものになるであろうことは想像できると思います。さあ、皆さん何が起きるか、乞うご期待です。

以上

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