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① |
現在の商店街は店主の高齢化が進み、シャッターを下ろした店が増えている。 |
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② |
郊外に大型点が進出して、市民に必要な商品は大型店ですべて賄える。 |
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③ |
結果として商店街への客は遠のき、更にシャッターを下ろす店が増えている。
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ここで商店街の会長は考えた。 |
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④ |
この商店街は丸亀の中心街で基本的に多くの人が集まる。商店街として価値ある場所である。 |
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⑤ |
しかし商店主は30年以上同じ商売を続けているが、大型店の同業者より仕入れコストが高く、今は子供に継がせるには魅力の乏しい店となっている。 |
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⑥ |
顧客の立場でみると、商店街の各店舗に魅力がない。また商店街としては櫛の歯が抜けた感じで、そこだけで必要品を買い集められない。。 |
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⑦ |
④~⑥までを評価すると商店街としての寿命は尽きている。
会長は全店主を集めて現状評価を行い、全店主の意見を聞いた。全店主からソリューションとなるアイデアは生まれなかった。会長は「多くの店主は『店舗に対する従来からの固定概念』の中で新しい答えを出そうとしたが、障害が大きく、答えが出せなかった」ことに気が付いた。。 |
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会長は“ゼロベース発想”で考え直した。 |
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⑧ |
ここは丸亀の中心街である。商店街としての地の利があるのではないか。。 |
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⑨ |
しかし、郊外の大型店と競争しても勝てない。だが現代が求める新しい商店街を特定できれば場所的にみて集客力に期待できる。 |
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会長はこのポジティブ案を皆で検討する前に、⑧、⑨の理由でこのポジティブ案を詳細に検討すれば成功できると確信したと皆に宣言した。そして皆にまず会長の確信を皆で共有してもらい、次に皆で考えられるネガティブ(障害となる問題点)案を出すことを求めた。ポジティブな意見とネガティブな意見を同時に検討すると、人々はネガティブ案に安らぎを感じてしまうからである。例えば、この商売はまだ少しの期間だが続けられる、まだ仲間がいるという安堵感である。会長の発想はネガティブ案を出させることで前進することを提案した。以下が各位の意見である。 |
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⑩ |
今の商店主だけではポジティブな商店街はできない。 |
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⑪ |
子供が店を継ぐことができる内容であることが求められる。 |
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⑫ |
店舗の種類と店の並びが顧客の注目をひくこと。 |
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⑬ |
大型店と違って少し高級感があること。野菜を売るなら無農薬でおいしい。(おいしいという価値観、安全という価値観を売り物にできるもの) |
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⑭ |
マーケッティング的戦略を取り入れる。その場合に今の店主がやっていけるかも検討する。
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ここで会長は店舗主にいった。皆さんのご意見は、すべてポジティブですね。できると信じると、発想がポジティブになることを勉強しました。これで私は将来に確信を持つことができました。私の案をここで提案します。 |
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⑮ |
丸亀商店街は地の利を得ています。皆さん方が子供を道連れにするという覚悟を持たれた。これが私に最も勇気を与えてくれました。これから申しあげる私の案で本件は成功すると思います。 |
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⑯ |
近くの商店街と統合します。彼らも同じ悩みを持っています。彼らに商機を与え、全体としての規模の拡大に貢献します。 |
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⑰ |
商店街の土地保有者にお願いがあります。土地使用の権利を60年間新商店街組合に貸していただくことです。新商店街は更地にした土地に理想の店を集めます。60年後には新しい商店街が必要となります。その時は更地にして地権者に返還します。60年先には優秀な孫、曾孫が新しい発想で繁栄に貢献してくれるでしょう。ここの同意が得られないと、本案件は成立しないと思います。 |
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⑱ |
しゃれた商店街に付随して近隣の住民のための「コンビニ兼中型スーパー」が求められます。 |
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⑲ |
次に新しい案件があります。いま日本の社会で独居老人の買い物難民、孤独死の問題が浮上しています。彼らに入居して頂くため、2,000万円で購入できる、あるいは賃貸しのマンションを建設します。このマンションの1階はコンビニ兼中型スーパーです。この住民+近隣住民が中型スーパの成功に貢献します。買い物難民が解消されます。2階に開業医に入居してもらいます。在宅介護という独居老人問題に対する新しいビジネスモデルを提供できます。これらの話題性で、新商店街への人々の呼び込みが可能となります。 |
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⑳ |
近隣農家、近隣漁港からの荷が朝市をにぎやかにします。
このように商店街が常に新しいイベントを開くことができると、イベントの町として、商店街がさらに発展できます。 |
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この計画の成功は土地所有者の土地利用開発に罹っています。個人で持っているより、有効活用でき、地主収入が増えるという、「新しい価値創出」のビジネスモデルです。地上がさかえ、土地の持つ能力で店舗ががんばると、借地権の値上がりと同時に、近隣の地価向上に貢献します。
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(2) |
『高度成長期に、一戸建て住宅を購入した人が、連れ合いをなくし、独居老人となっている』問題の解析 |
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2.1 |
高度成長期の中年サラリーマンは国の方針としての持家制度で、郊外の大型団地で一戸建て住宅の購入、乃至は首都圏近郊のマンションの購入を行った。ここでは一戸建て住宅購入者に絞って話を進める。
彼はなぜ一戸建て住宅を買ったか。 |
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① |
賃貸しアパートの毎月の家賃分とボーナス時の支払いで家が買えた。家を早く購入すると、一見ボーナス時の支払いだけで家が購入できると考えられる。これはお得だなと思った。 |
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② |
多くのサラリーマンが一戸建てを望むことで土地の値上がりがあり、早く購入すると、資産運用上大きなメリットがあった。 |
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③ |
しかし、彼が独居老人となったとき、世間はデフレ時代で土地の価格が大幅に低下し、資産としての価値がとぼしくなった。そこで彼は独居として不便であったが、資産を売ることができず、不自由な思いをしてそこに住んでいるケース。 |
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④ |
別の彼は車の運転ができず、買い物難民となり、団地の家を空き家として、子供の近くにアパートを借りて生活するようになった。
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2.2 |
さて、ここで問題を整理し、発想の転換ができるとどうか考える。
高度成長期の住宅は典型的に不動産としての価値があり、財産でした。そのため、銀行から借金をして購入した。現在は独居老人が団地に住むことが不便になり、引っ越している。そのため団地には空き家が増えてきた。思うような値で売れないからだ。人口減少で家の需要が少なくなったからだろう。 |
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① |
ここからが脳内革命の問題です。
当時は不動産に価値があり、住むだけではなく、老後の資産価値があった。ところが今は団地のいたるところに空き家がある。独居老人が子供の近くへ引っ越すか、駅近くで車なしの生活をする。彼には不動産という「モノ」の価値より、生活に便利な「コト」に価値があり、引っ越しをする。言葉を変えると住宅は今や不動産価値で買うのではなく生活の便利さで買うか、借りるかする時代になった。 |