PMプロの知恵コーナー
先号   次号

「エンタテイメント論」(76)

川勝 良昭 Yoshiaki Kawakatsu [プロフィール] 
  Email : こちら :7月号

エンタテイメント論


第2部 エンタテイメント論の本質

6 創造
●夢の実現と成功
 前号で、夢工学式発想法は、本来、筆者自身のために構築したものであると述べた。しかし某友人から「川勝、お前が独り占めせず、世の中で発想に困っている人のためにその内容を開示すべきだ」と厳しく言われた。読者には余計なお世話かもしれないが、その叱責に従って本発想法の内容を開示し、エンタテイメント事業分野や非エンタテイメント事業分野で活用し、新しいモノやコトを産み出し、「夢」を実現し、成功して欲しいと願っている。

 さて本発想法は、前号まで縷々説明した「基本的考え方」と今月号から説明する「具体的方法論」の2つで構成されている。またそのいずれもが「夢工学と夢工学式実践論」に準拠している。


●具体的方法論
具体的方法論とは、「基本的考え方」を基に、肯定的観点(Positive Aspect)、もう1つは、否定的観点(Negative Aspect)からそれぞれ構築された2つの方法論を云う。前者は「発想促進法」、後者は「発想阻害排除法」である。これ以外の方法論は、本発想法には一切ない。従って極めてシンプルである。シンプルが故に使い易く、効果も早く、確実に出る。

 実務で何らかの方法論を活用する場合、それは①シンプルでなければならない事、②活用して効果がなければならない事が共に厳しく要求される。でなければ構築した筆者自身も、誰も活用しないからだ。

 そればかりではない。不思議な事に、真理や原理は、多くの場合、シンプルである。またシンプル(単純化)であることによって真理や原理が多くの人々に受け入れられ、更なる研究が進み、更なる実用化が実現する。以下にシンプルの実例を掲げた。特に男女の違いを端的且つ正確に表した単純化の実例は、「笑い」を誘い、エンタテイメントの観点からも面白い内容である。

真理と原理は、シンプル(単純化)  シンプルこそすべて
真理と原理は、シンプル(単純化)  シンプルこそすべて

 さて本発想法は、筆者と筆者に協力した人達が長年の「実プロジェクト(事業又は非事業プロジェクト)」の成功と失敗の過程から生み出されたものである。そして余計な部分を削ぎ落とし、単純化して、ようやく現在の形に辿りついたものである。しかしこれで完成させたと考えていない。本発想法は、理論指導だけでなく、実際の経営や事業の現場で如何に活用するかという実務指導に力を入れて、その観点から方法論に改良を加えている。従って「今も発展途上のもの」である。本稿の読者の意見や協力を得たい。

●発想促進法と発想阻害排除法は、「発想のルール」でも、「発想のマニュアル」などでもない。
 「発想促進法」とは、言葉の通り、如何にすれば、発想が促され、優れた発想が生み出せるか? 「発想阻害排除法」とは、如何にすれば、発想が阻害されず、優れた発想を生み出せるか? をそれぞれ具体的に説いたものである。

 さて「発想促進法」では10項目、「発想阻害排除法」では4項目がそれぞれ方法論として提示されている。しかしこれらは、「発想のルール」でも、「発想のマニュアル」などでもない。

 従ってこの2つの方法論は、片方だけ実践しても、両方を同時、同質(同レベル)に実践しても、どちらでもよい。両者を同時同質に実践する時、その効果は大きいが、必ずそうすべきと云うルールでも、マニュアルでもない。要は優れた発想が生まれればよい事で、方法論は、あくまで手段である。しかしどうでもよいと主張している訳ではない。実務家が経営や事業プロジェクトの検討過程で活用する時、本発想法の活用の仕方は、その実務家に任せたいと考えているからだ。

 この2つの方法論は10項目+4項目=14項目存在するが、各項目に優劣は一切ない。すべての項目をすべて実践しなくてもよい。その一部だけを実践してもよい。更にこの方法論の活用する時、発想者が自分流の発想方法を付け加えても、その方法を変更しても、自分が使い易い自分流の手順で活用しても、すべて構わない。

●本発想法の具体的方法論は、理論と実践で習得を!!
 以上に様に本発想法に関して何故、これほどフリーである事を認めるか? その答えは、発想者に任せるべきと考えただけではない。それは、発想ルール、発想マニュアル、発想手順などの発想技術論を苦労して習得し、それに沿って発想しようとすると、逆に「発想」に集中できず、より自由な「発想」を妨げる場合が極めて多いからである。優れた発想を出すことが本来の目的にも拘らず、手段である方法論に振り回されている現場を数多く目撃したからである。これでは「本末転倒」である。

 しかし「発想の手順」だけでも是非知りたいという人が筆者の周辺に大勢いる。そのため本稿のどこかで簡単に手順を紹介したい。いずれにしても、本方法論では、検討する手順、発想をする手順にとらわれず、発想したいと思った段階からいきなり発想して構わないのである。

自由で束縛されぬ発想が優れた発想を生む。 自由で束縛されぬ発想が優れた発想を生む。 自由で束縛されぬ発想が優れた発想を生む。

 本発想法の具体的方法論は、本稿では「理論」として説明が可能である。しかし方法論は、実践して初めて体得できるものである。本稿で「実践指導」ができないのは当然であるが、残念である。

 スポーツや音楽に関しては、誰しも実践習得を当然と考えるが、学問や理論も同じである。実践習得は必須である。本発想法に興味と関心のある読者は、筆者に申し出て欲しい。喜んで「理論指導」だけでなく、「実践指導」を別途させて頂く。

●「発想促進法」とは、以下の10項目の全て又は一部を実践する方法論を云う。
優れた発想は、発想の動機(夢、目的、欲求、好奇心等)の強さに比例して生まれる。
優れた発想は、発想の動機が実現し、成功した状況と効果を「仮説」する事から生まれる。
優れた発想は、徹底した理性機能(位相転換)と徹底した感性機能(自由展開)の同時同質の発揮から生まれる。
優れた発想は、アナロジー(等価性、類似性)の探索と活用に依る、新しい結合と分解から生まれる。
優れた発想は、「一人思考」や「グループ思考(交流、協力、競争等)」から生まれる。
優れた発想は、数多く出す事から生まれる。量が質を決める。脳が無意識に質を判断する。
優れた発想は、考え続けた末に突然生まれる。脳は24時間働き、優れた「直感」を生む。
優れた発想は、知識や情報を詰め込む量に比例して生まれる。無から有は生じない。
優れた発想は、発想内容の即時の「メモ」から生まれる。アイデアは瞬時に消滅する。
優れた発想は、発想を促進する「環境」を整備し、発想に集中した時に生まれる。


●「発想阻害排除法」とは、以下の4項目の全て又は一部を実践する方法論を云う。
優れた発想は、発想を阻害する「固定概念」や「先入観」を打破した時に生まれる。
優れた発想は、発想を阻害する「発想法」や「発想技法」などを避け、発想に集中した時に生まれる。
優れた発想は、発想を阻害する「無理解・誤解」などを払拭した時に生まれる。
優れた発想は、発想を阻害する「環境」を排除し、発想に集中した時に生まれる。

 来月号から発想促進法の10項目を順を追って説明する。

つづく

ページトップに戻る