グローバルフォーラム
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「グローバルPMへの窓」(第81回)
筋力トレーニング

グローバルPMアナリスト  田中 弘 [プロフィール] :7月号

 混乱を極めたウクライナも、東部の親ロシア武装勢力と政権の内戦状態がまだ終結してないが、少し落ち着いた情勢となってきた。キエフの大学の同僚達から、そろそろ私のウクライナ再訪の話も出始めている。長年にわたり政治的には思考停止状態のごとくであったウクライナ国に、国民に方向性を示し、それに向かって自ら行動する大統領が出てきたことを私は歓迎している。
 ポロセシェンコ大統領は強い親欧路線に向かうと報道されているが、大統領の自分の財閥のビジネスの市場はロシア抜きには考えられないほどロシアとは強い結びつきがあり、ウクライナの生きる道である、対EU・米、対ロシア等距離(バランス)政策を以ってウクライナの国内融和を回復し、国の発展を達成することを望んでいる。
 ウクライナは、世界的なスポーツ大国であり、一般国民もすばらしい体力を持ち、日常的に身体を鍛えているが、ちょっとメンタル面が弱い(同じスラブ民族でもロシア人は戦闘意識が極めて高いが)。強い決意をもって国の負の連鎖から抜け出すための精神的な筋肉トレニーングこそウクライナ国民に必要であろう。

融和のシンボル 南部の国立オデッサ海洋大学2013年11月
融和のシンボル 南部の国立オデッサ海洋大学2013年11月

 このコラムにときどき登場する東京六大学野球春のリーグ戦は、慶應義塾大学が早稲田大学を完璧に打ち破って3年ぶりの優勝を果たしたが、昨年までともかく打てなかったチームがほぼ同じメンバーで、打ちまくった。選手全員がシーズンオフに筋トレに励んだそうだ。体格が異なる他大学選手にパワーで負けないように筋トレをやろうということになり、その成果がでたのはすばらしい。
 私は、運動が大嫌いであるので、体力を維持するための自主的なトレーニングは全くやらないが、毎年かなり厳しい旅を繰り返すること自体が体力と精神力を維持する早道になっている。
 つまり片道20数時間のエコノミークラスでのフライトを繰り返す、20キロから30キロの旅具を引っ張って歩く(旅中もらった書籍とかお土産、書類が日々増える)、1日から3日の終日授業(時々研修)と陸路移動を繰り返す(特にウクライナ)、その間に授業の仕込みや学生の個別指導を集中的にやる(期限があるので集中せざるを得ない)、これが私流の筋トレとなっている。
 海外の関係者にとっては、私のやる気と体力をできるだけ長続きさせる必要があるので、旅先ではいろいろなものをくれる。かつてのウオッカとチョコレート(ウクライナ)は少なくなったが、最近家に貯まっているはセネガルの生姜飴(セネガルは生姜の産地で、かなり強い生姜のエキスを加えた生姜飴はなかなかの優れものである)で、持たせてくれる量が半端ではない。中国の蘇州に行くと、お土産固辞と伝えているにもかかわらず、帰国寸前になると4種のお茶(緑茶、白茶、菊茶、松茎茶)を持たされる。前は十数種類のドライフルーツもあった(50日毎日食べ続けてようやくなくなった)。松茎茶はいわゆる漢方茶で、飲んでいるといかにもからだに良いという気がする。これらのものには家族は決して手を出さないので、賞味に困るが、まだストックがあるので結構ですと言っても、なんか言いくるめられてまた持ち帰る。小さなキャリーバックを持っていってほら入らないでしょ、と言えば、バラで上海(浦東)空港に持って行ったら、パッキングをやってくれるサービスがあるから、となる。
 中国人、インド人、アラブ人、アフリカ人など大荷物常習旅客対策で、エアラインは預入荷物の制限を厳しくしているが、空港での手荷物をめぐる丁々発止のやりとりは一段と華やかになった。  ♥♥♥


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