(改訂3版) 「P2Mプログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」に寄せて
P2M研究部会(東京) NK: 5月号
連休旅行に出かける東京駅の人並みをかき分け、書店の開店を待ち、届いたばかりの本を在庫から出してきてもらい、改訂3版を手に入れました。4月26日10:08 日本で何番目の購入者なのでしょうなどと思いつつ、早速ページをめくり始めました・・・
改訂3版の構成は大きく変わりました。 |
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第1部 |
P2M概要と特徴 |
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第2部 |
プログラムマネジメント |
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第3部 |
プロジェクトマネジメント |
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第4部 |
事業経営基盤 |
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第5部 |
知識基盤 |
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第6部 |
人材能力基盤 |
プロジェクトマネジメントついては、第3部にISO21500の定義(5つのプロセスグループ、10のサブジェクトグループ)にしならって、10のマネジメント領域に纏められています。また、P2Mの諸活動を支える基盤的資源として、事業経営基盤・知識基盤・人的能力基盤という3つの領域が用意された。
まず第4部において、プロジェクトの相対的評価・意思決定のプロセス、さらには予算管理のプロセスが取り上げられています。戦略的な投資判断や予算管理といったテーマで、多くの管理会計での研究文献で取り扱われていますので、体系的に理解することができます。
次に、プロジェクト組織が取り上げられています。事業組織とプロジェクトとの関係は、実務上指揮命令系統として認識されますが、会社組織に対する働きかけも必要になる場合もあり、企業組織論の視点をもち、体系的な理解は有益です。
続く第5部において、P2Mの諸活動の根幹を理解するための知識が、システムズアプローチ、知識・情報資産、価値と価値評価に分けられて取り上げられます。多種多様な専門知識が紹介されていますが、必要に応じて習得されていると思います。
最後の第6部において、P2Mを実践するためのマネージャーの実践力と評価基準が定義されます。プロジェクトマネージャーという専門家が要請されているのではなく、高いプロジェクトマネジメントスキルをもつ人材が必要とされていると感じられます。企業で能力開発にあたっている人事研修部門に対して、実践力と評価基準はひろく訴求できるものであると思われました。
実は、今回の改訂ガイドブックが発刊されると伺い、取り上げられたテーマに関して研究を行うのは、P2M研究会の役割ではないかと思いたち、本年度から活動をさせていただくことになりました。自らの経験即だけではなく、ひろく管理会計の研究されている方々や経営企画部門に従事されている実務家の知見を伺い、研究成果としていければと思っているところです。
2005年にP2Mに出会い、PMRを取得してから早いもので10年がたってしまいました。当時は実務で使われているプロジェクトマネジメントスタイルへの疑念を晴らし、自らのスタイルに自信をつけるために、ガイドブック(初版です)やPMRグループ討議でP2Mを学んでいたことが思い出されます。今回の改訂3版を契機に、学んだP2Mを多くの一般の企業・団体にご理解いただけるよう少しでもお役に立てればという思いを新たにした週末でした。
以上
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