20年間というが他国の企業も居眠りをしていたわけではない。日本は自信が持てる経営戦略を見つけ出すことができなかった。20年間の居眠りを取り返すことができるか、アベノミクスの大きな課題だ。
本年度のテーマは「脳内改革」だ。グローバル市場を肌で感じ、自らの発想を転換しない限り、アベノミクスが活用する外部戦略は成功しないだろう。文芸春秋4月号では今の日本経営は第二の敗戦だとしている。最大の原因は団塊世代に社長の器がいなかったという。 |
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そこで本研究会の皆さんにお願いがある。
Ⅰ.脳内改革をする対象とその対策
Ⅱ.アベノミクスを成功させる戦略、シナリオ
Ⅰ.とⅡ.は正反対である。Ⅰ.はこれまでの失敗を理解し、その内容を提示し、失敗を防ぐための方法を講じる。ここでは日本企業だけでなく、官庁の欠陥も含めて提案してほしい。
Ⅱ.に関しては何をするのか、どのような事業を実施するのか。その時の問題点は何か、成功のポイント、失敗を引き起こす要因(外部環境と内部要因)の抽出とその対策という形で提案してもらいたい。
究極的には、君たちの提案を検討して“Advanced P2M”の概念を構築したいと思っている。
皆さんに提案してもらうが、成功するには必ず他社が実行していないBM(ビジネス・モデル)がある。P2Mには幸い、価値を創出するためのOWモデルがあるし、小原先生が創られた基本的モデルがある。
将来をみるOWモデルは現状と将来の姿を9つの視点で解析する。これが孫子の言う戦略「己を知り、敵も知るためのモデル」である。 |
① |
企業経営とは何か:価値を創出する能力(顧客の価値を創りだす能力、自社に利益を生もたらす価値創造能力) |
② |
顧客関係性構築能力の評価
現在は顧客の価値を創りだす能力にかかっている。 |
③ |
チャンネリング(流通全般)で複雑なBMがある。
従来は「モノを売るという発想」で販売展開力としていたが、現在は原料から製品をつくり、顧客に届けられ、メンテナンスサービス、中古市場までサプライチェインの中にいろいろなBMが存在する。流通のどの部分で勝利を得てもいいと考えると、価値創出に大きな幅が出てくる。新しい価値の探し方である。 |
④ |
マーケッティング展開力
グローバル戦略、国内戦略と戦略の範囲が企業によってことなる。しかし、日本国に戦略が見えないことが一番の問題だ。国家戦略も含めて考えてほしい。 |
⑤ |
価値提案提供力
商品やサービスの提供もあるが、ここではどのような価値を提供できるか考える。
最近「モノづくり」研究をやめ、「コトづくり」研究会を始めたが、「モノづくり」の価値は単純で分かりやすいが、「コトづくりの価値は広く深く、幅広く考えるとアイデの領域が広がっていく。この訓練で君たちもアイデア創出者になれる。 |
⑥ |
パートナ関係性構築力:
自社だけではすべてをカバーできない。これからはオープンイノベーションの時代である。有力なパートナーを見つけると新たな展開が見えてくる。 |
⑦ |
経営資源蓄積力
日本は資源小国と皆信じている。しかし、最も効果的な資源は人間の頭脳で、無限の価値創出能力を持っている。この知的資源を誰もがすぐ使える形に整理する組織が勝利する。知識の整理とモジュール化方式の採用 |
⑧ |
業務プロセス活性化力
業務には多くの流れがある。モノの流れ、金の流れ、情報の流れ、知識の流れ、意識決定の流れらがある。これらはすべてサプライチェインに該当する。ここだけで大きなBMが存在している。 |
⑨ |
組織の市場変化対応力
現在はスピード化の時代である。組織がデジタル情報を早く活用できると意思疎通が活発化し、組織能力は拡大する。グローバリル経済社会では階層組織だけで組織運営をするのではなく、プロジェクト組織との両立で企業スピードと責任体制の確保し、グローバリゼーションでさらに活躍できる。 |
OWモデルは9つの視点でビジネスの成功を見るためのモデルである。現在の問題点を見つけるのが俯瞰力である。俯瞰力で強み弱みを把握すると、対応に安定性が生まれる。俯瞰の分析後は、将来への洞察、大局観を活かした戦略とそのシナリオが描ける。
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アベノミクスの対象テーマ
成長戦略 |
① |
海外戦略30兆円 |
・ |
ここではただ「モノ」を売るということではなく、チャンネリングの確立という「モノでない価値」を加えることで優位性が出せる。流通を押さえるものは天下をとれる。 |
・ |
商社とのコラボレーション、エンジニアリング会社とのコラボレーションなどもある |
・ |
インフラビジネスは企業と政府・官庁関連機関とのコミュニティ・コラボレーションが重要である。 |
② |
再生医療 |
③ |
高齢化社会とコミュニティ |
④ |
女性の活用 |
⑤ |
外国人の活用 |
⑥ |
農業問題 |
という切り口もある。
( 1 ) グローバリゼーションのメリットを活かす産業という切り口もある |