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「日本再生“アベノミクス”を成功させるために何が必要か」 (1)
脳内改革が求められている (1)

東京P2M研究会 渡辺 貢成: 4月号

A. アベノミクスがダボス会議で好評であった。アベノミクスは3つの提案で成り立っている。
金融政策: デフレ対策で円高解消、インフレ率2%
財政政策: 消費税アップ、景気対策13兆円(災害対策、地域開発、再生医療その他)
成長戦略: 海外戦略30兆円、国内戦略:民間3兆円、外資導入35兆円、農業輸出1兆円

金融政策は現在のところ成功的な結果を見せている。
財政政策は4月からの増税で現在は駆け込み需要という景気がでている。結果はこれからだ。
成長戦略はこれからである。

オンラインは日本の家電産業が新興国企業に敗退する原因を調べ、日本人がグローバル音痴であることに気が付き『グローバルで通用しているビジネスの常識を学ぼう』を書いてきた。さらに日本人は地政学ということを知らない人が多い。このコーナーは地政学から日本再生と展開し、最後にアベノミクスに到着した。
12年4月号 「グローバルで通用しているビジネスの常識を学ぼう」
13年3月号 「グローバルで通用しているビジネスの常識を学ぼう」
+地政学的戦略論からのアプローチ
13年8月号 +日本再生へのアプローチ
14年1月号 +日本再生へのアプローチ「アベノミクス」

ダボス会議ではアジアの人から「日本人は内向きになっている。私たちは日本に期待している。がんばって欲しい」というメッセージを頂戴した。

グローバルで通用しているビジネスの常識を書いてきたが、国民の多くは、海外経験がなく、日本部落に住んでいると、習慣を変えることができない。

今、アベノミクスの評価は高いが、企業は20年間の空白で組織能力は低下している。アベノミクスの成功は簡単ではない。そこで新年度4月号はアベノミクスを成功させるため、失敗しないためには何をするべきか、建設的な意味での日本人の発想への苦言と、成功要因の創出方法を適宜ミックスしながら首記のテーマで書くことにした。日本人が集まったビジネスはグローバル社会では通用しないこと、新しい価値の発見がないと日本は没落するだろうとの理由で、発想の転換を要求していくつもりである。

14年4月号 日本再生アベノミクスを成功させるために何が必要か
 「脳内改革が求められている」
が今年度のテーマである。

このコーナーがアベノミクスに到達するまでの経緯を簡単に説明する。
1 )   地政学的戦略論
  海に囲まれ近隣諸国から攻め込まれた経験の少ない日本人は地政学という観念にうとい。そのため日本人はグローバル常識に欠けている。そのため日本人は無意識に日本の常識を押し通している。私たちが海外の仕事をするとき出先の我々と国内にいるスタッフの発想の落差が大きくて苦労してきた。何が非常識かと、グローバル常識の欠如を指摘し、その知識を学ぶことを提案する。

 さて日本人はこのグローバル音痴のため韓国に徹底して痛めつけられている。外人は自分に非があっても安易に謝罪しない。日本人は国内ではすぐに謝罪する。謝罪で水に流してくれるからである。海外で「謝罪は損害賠償を受け入れること」を意味する。欧米先進国は植民地政策をとってきたが、どの国も謝罪しない。その時代にはその時代の常識で処理されている。日本人は安易に誤るから、補償せよと要求され、断ると誠意がないと吹聴される。これが地政学不足の致命的欠陥の一つである。韓国は日本に対する態度を決して中国に示さない。
アベノミクスを実行するときこの欠陥が問題を起こすことを理解しておく必要がある。
2 )   日本再生で何をする
  13年8月号は地政学的戦略論を学んでもらったので、日本再生を提案した。提案する際、多くの日本人にグローバリゼーションの本質は何か質問したが正解できる人がいなかった。もちろん私もその一人であった。しかし、長年海外の仕事をした経験から割と簡単に理解できた。グローバリゼーションの本質は何か勉強しないと、日本はデフレ脱却後何をするべきか理解できないからである。グローバリゼーションには多くの問題がある。それを踏まえた日本再生への提案が必要であると考えた。

  問題点 1 : グローバリゼーションで大きく変わった点は何か
  新興国の台頭と米国を除く先進国の衰退傾向
  先進国の課題は何か
  起業化に官の壁
衰退産業に補助金をだし、起業の芽をつぶして歩く。
  女性の労働参加率の低下
日本では100万円を超えると扶養家族の資格がなくなり、働かないほうが得をする仕組のため、100万円以下のアルバイトしかできない。
  生産性の低い日本の労働者
生産性を上げても社員を首にできない。
  企業のIT化の効果が薄い
    ・ 経営者がIT化の本質を理解していない
   ; ・ 社員の効率を上げ、将来性のある仕事に従事させる提案ができていない
  日本はグローバリゼーションを脅威と受け止めている。国際金融資本は経済拡大のまたとない機会を先進国、新興国に提供した。しかし、日本の経営者、官僚組織に将来対するビジョンがない。したがって海外に出ないか、海外に出ても負ける。負けるとこれをばねに次回は勝つことを考えるのが、常識であるが、簡単に国内に戻り、国内競争に血道をあげ、うちわ同士で疲弊している。
  日本は外資の導入を拒んでいる。
外資を導入した企業は生産性の向上、ナレッジマネジメント等で企業の組織能力を向上させている。グローバル人材の育成の場でもあるが、自分の地位が侵されることを恐れて外資導入を阻止する。
  経営者の意思決定が遅い。
デジタル経営ではなく、依然として稟議による意思決定をおこなっている。アナログ経営方式が残っている。
  20年の空白は日本企業の組織能力の低下をもたらしている。

20年間というが他国の企業も居眠りをしていたわけではない。日本は自信が持てる経営戦略を見つけ出すことができなかった。20年間の居眠りを取り返すことができるか、アベノミクスの大きな課題だ。

本年度のテーマは「脳内改革」だ。グローバル市場を肌で感じ、自らの発想を転換しない限り、アベノミクスが活用する外部戦略は成功しないだろう。文芸春秋4月号では今の日本経営は第二の敗戦だとしている。最大の原因は団塊世代に社長の器がいなかったという。
  そこで本研究会の皆さんにお願いがある。
Ⅰ.脳内改革をする対象とその対策
Ⅱ.アベノミクスを成功させる戦略、シナリオ
Ⅰ.とⅡ.は正反対である。Ⅰ.はこれまでの失敗を理解し、その内容を提示し、失敗を防ぐための方法を講じる。ここでは日本企業だけでなく、官庁の欠陥も含めて提案してほしい。
Ⅱ.に関しては何をするのか、どのような事業を実施するのか。その時の問題点は何か、成功のポイント、失敗を引き起こす要因(外部環境と内部要因)の抽出とその対策という形で提案してもらいたい。
究極的には、君たちの提案を検討して“Advanced P2M”の概念を構築したいと思っている。
皆さんに提案してもらうが、成功するには必ず他社が実行していないBM(ビジネス・モデル)がある。P2Mには幸い、価値を創出するためのOWモデルがあるし、小原先生が創られた基本的モデルがある。
将来をみるOWモデルは現状と将来の姿を9つの視点で解析する。これが孫子の言う戦略「己を知り、敵も知るためのモデル」である。
企業経営とは何か:価値を創出する能力(顧客の価値を創りだす能力、自社に利益を生もたらす価値創造能力)
顧客関係性構築能力の評価
現在は顧客の価値を創りだす能力にかかっている。
チャンネリング(流通全般)で複雑なBMがある。
従来は「モノを売るという発想」で販売展開力としていたが、現在は原料から製品をつくり、顧客に届けられ、メンテナンスサービス、中古市場までサプライチェインの中にいろいろなBMが存在する。流通のどの部分で勝利を得てもいいと考えると、価値創出に大きな幅が出てくる。新しい価値の探し方である。
マーケッティング展開力
グローバル戦略、国内戦略と戦略の範囲が企業によってことなる。しかし、日本国に戦略が見えないことが一番の問題だ。国家戦略も含めて考えてほしい。
価値提案提供力
商品やサービスの提供もあるが、ここではどのような価値を提供できるか考える。
最近「モノづくり」研究をやめ、「コトづくり」研究会を始めたが、「モノづくり」の価値は単純で分かりやすいが、「コトづくりの価値は広く深く、幅広く考えるとアイデの領域が広がっていく。この訓練で君たちもアイデア創出者になれる。
パートナ関係性構築力:
自社だけではすべてをカバーできない。これからはオープンイノベーションの時代である。有力なパートナーを見つけると新たな展開が見えてくる。
経営資源蓄積力
日本は資源小国と皆信じている。しかし、最も効果的な資源は人間の頭脳で、無限の価値創出能力を持っている。この知的資源を誰もがすぐ使える形に整理する組織が勝利する。知識の整理とモジュール化方式の採用
業務プロセス活性化力
業務には多くの流れがある。モノの流れ、金の流れ、情報の流れ、知識の流れ、意識決定の流れらがある。これらはすべてサプライチェインに該当する。ここだけで大きなBMが存在している。
組織の市場変化対応力
現在はスピード化の時代である。組織がデジタル情報を早く活用できると意思疎通が活発化し、組織能力は拡大する。グローバリル経済社会では階層組織だけで組織運営をするのではなく、プロジェクト組織との両立で企業スピードと責任体制の確保し、グローバリゼーションでさらに活躍できる。
OWモデルは9つの視点でビジネスの成功を見るためのモデルである。現在の問題点を見つけるのが俯瞰力である。俯瞰力で強み弱みを把握すると、対応に安定性が生まれる。俯瞰の分析後は、将来への洞察、大局観を活かした戦略とそのシナリオが描ける。

アベノミクスの対象テーマ
成長戦略
海外戦略30兆円
ここではただ「モノ」を売るということではなく、チャンネリングの確立という「モノでない価値」を加えることで優位性が出せる。流通を押さえるものは天下をとれる。
商社とのコラボレーション、エンジニアリング会社とのコラボレーションなどもある
インフラビジネスは企業と政府・官庁関連機関とのコミュニティ・コラボレーションが重要である。
再生医療
高齢化社会とコミュニティ
女性の活用
外国人の活用
農業問題
という切り口もある。
( 1 ) グローバリゼーションのメリットを活かす産業という切り口もある
  1 ) グローバル市場への進出産業
  進出当該国のメリットを生み出す製造業(市場を創りだすイノベーション産業)
  進出国のインフラ、環境施設(建設、運用)
  当該国でのM&Aビジネス(資本と技術の提供)
  サービス業(日本的コンビニの進出)こまわりビジネス
  農業進出(純国産農業育成)
  新産業(新しい価値創出産業:先方へ出かけなければ有効な情報は得られない。
 『市場をつくりあげるイノベーション』
  2 ) 米国シェールガス活用製造業

( 2 ) 国内産業分野
  1 ) 製造業
  世界相手の高級品製造業
  中堅企業対策
  2 ) 従来型サービス業
  3 ) 「コトづくり」価値創出型サービス業
  新価値創造ブランド化産業(Cool Japan)
  感激創出産業(出会い、ふれあい、発見、感激)型観光業
  4 ) JA脱却(脱補助金)農業の確立、大型水耕IT化6次型農業
  5 ) エネルギー効率化産業
  6 ) 新コミュニティ産業

A. このような内容を挙げてみたがどうだろうか
G. 有望ビジネスが存在するかのように見えますが、この20年間の官庁、民間企業がしてこなかった問題を反省しないと、全く前進しないだろうと思います。
A. わかった。反省するべき事例を挙げてほしい。それをつぶす構造改革が必要ということだな。
G. そのとおりです。なぜ負けたかを示します。同時にどうすれば有望になるか、についても考える必要があります。
A. 皆さん。よろしく頼みます。

以上

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