PMシンポ便りコーナー
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学びを得る場としてのPMシンポジウム
~テキストから学びではなく、他人(ひと)から学ぶ~

PMシンポジウム実行委員 岡崎 博之 [プロフィール] :3月号

1.はじめに
筆者はこの7年近くPMシンポジウムの実行に携わってきました。また業務ではシステム運用にかかわってきました。そこで分かってきたことは、シンポジウムの運用そしてシステム運用も新規システム開発と同様またはそれ以上に運用を創り込むすなわち運用を開発するという工程が重要であるということが分かりました。
3・11において危険が身近なものであるということが分かり、シンポジウムの運営において災害発生時の対策が見直されました。具体的かつ詳細に手順を決めるというのではなく、その時の行動の考え方を明確にするというのが骨子だったと思います。
高度化・複雑化するシステムにおても、すべての事象・事態をあらかじめ想像・想定してその時の行動を手順化できるわけではありません。そのため、自動化がどんなに進展しても、人の手にゆだねざる得ない事象・事態は多く存在することは避けられません。この5年近くは『その時、人が行動できるようになる』ための学習を続け、例会やシンポジウムにおいて講演させていただく機会を得ました。

2.活動を通しての学び
シンポジウムの実行委員そして例会のKPとしてPMAJで活動することで、多くの学びを得ました。
ここからは、活動を通しての得た2つの学びについてお話したいと思います。

2.1 有名テーマパークにおける教育
システム運用において、マニュアルを使っての教育というものに疑問を持っていました。それは、現実の場面で、マニュアルにない事象・事態が発生したとき人は迷いを抱き、結果として誤った行動をする危険性があると思うからです。
そんなとき、シンポジウム実行委員会後の懇親会で学生さんとの会話で、バイトの話になり、彼が有名テーマパークででアルバイトをしていたことがわかりました。そこで『どんな教育をうけたの?、マニュアルを見たことはあるの?』と訊ねました。そうすると彼は『マニュアルを見たいと思ったが、見せてもらえなかった』と返事をしてくれました。
そのテーマパークが掲げる行動指針の1番目に『安全』が謳われています。マニュアルに沿った行動を意識しては、真の安全を実現できないからではないかという筆者の考えを、彼に伝えました。これは3・11の前のことです。
3・11においてそのテーマパークでは臨機応変な行動によって、利用者の安全を守ったとのニュース報道がされていました。
彼の実体験を聞けたことは、筆者にとってとても貴重だと思っています。

2.2 安全教育
筆者は前に勤務したところで、情報セキュリティに関する教育プログラムを3か月毎に受けたことがあります。しかし、人の安全にかかわる教育プログラムや訓練を受けたことはありませんでした。
危険が差し迫ったときの行動について自ら学ぶ必要があると筆者は感じていました。
海外で大規模な施設構築プロジェクトを経験された方と安全教育に関してうかがう機会がありました。そこでは安全教育をレベルを分けて体系的に行っており、レベル毎に認定されるとのことでした。『階段を降りるときは間違って足を踏み外さないように手すりにつかまって降りなさい』がそのとき聞いた具体例の一つです。
『安全』がプロジェクトの成功に深く関与しているのです。そのために安全教育を徹底している姿が浮かびます。

3.学びということ
学ぶというのは、自分の知識と経験だけでは考えが及ばないことを把握したうえで、その部分について他人(ひと)に問うてみることだと思います。
だから、自分の知識と経験のありのままを語ることが必要です。そうすることで他人(ひと)はご自身の知識と経験を語っていただけます。これがお互いの学びにつながるのではないでしょうか。

4.あなたもPMシンポジウム実行委員になりませんか
筆者の話を聞いていただける方、そして自らの経験を筆者に話をしていただける方がPMAJ特にシンポジウム実行委員に多くおられます。P2M、PMの実戦力を上げるための学びの場としては最高の場だと思います。

現在筆者はPMシンポジウムの実行委員と例会のKPの2つの役をPMAJで担当させていただいています。ここで多くの学びを得ています。
これを読まれて興味を抱かれた方は是非一緒に学びませんか? お待ちしております。

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