PMRクラブコーナー
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疑似体験によるPM人材育成

PMRクラブ代表幹事 中村 元哉 [プロフィール] :1月号

「大切だけど、なかなか難しいんだよな。」
「結局、経験がものを言うからな。」

 プロジェクトマネジメントに携わる多くの皆様とお話する中で出てくる感想である。
 皆、各々のビジネス展開のために、プロジェクトマネジャーやプロジェクトの中核となる人材の育成を推進したいと考えている。「どの様にしたら、PM人材育成を加速することができるのだろうか」と、私は、昨年11月に開催されたPMシンポジウム2013に足を運んだ。

1.なぜ難しいのか
 プロジェクト遂行能力を高めようとした時に、プロジェクトマネジメントにかかわる仕組みの構築、組織構造の見直しと言ったハード面の対応は、比較的、短期間に、容易に手を付けることができる。それに対して、PM人材育成の様なソフト面の対応には、長い時間が必要となる。
 かつて、PM人材育成と言えばOJT中心であったが、P2M等のプロジェクトマネジメント知識体系の構築が進み、座学によりPM基礎知識を容易に得ることができる環境が整った。
 しかし、当然のことながら、座学だけでは、プロジェクトの生々しい現実を理解して実戦に耐え得る人材を育てることはできない。一方で、プロジェクト期間が数年を要するプロジェクトにおいて、OJTだけで育成していくことは、ビジネス展開のスピードに合わずに時間が掛かりすぎる。座学とOJTの間を補完する「何か」が必要なのだ。

2.座学とOJTの間を補完する「何か」
 昨年11月に開催されたPMシンポジウム2013では、PM人材育成トラックで聴講させていただくとともに、PMコンサルタント関係者の皆様からもお話を伺った。私が探す「何か」に対応するものとして、模擬プロジェクト実践型の学習方式や各種PM研修が挙げられ、疑似体験の機会の付与が効果的であるとの感触を得た。
 皆様ご存知の様に、MBAの教育にはケースメソッドが活用されている。CEOやミドルマネジメント等のポジション、戦略・マーケティングや組織・人事等の経営要素、起業時や変革時等のフェーズと言った、異なる切り口による数百のケースにおいて、環境分析、戦略立案、そして意思決定までのプロセスを、ディスカッションを通じて疑似体験して、経営者としての能力を身に付けていく手法である。
 これと同様に、PM人材育成において、プロジェクトマネジメントのケースメソッドによる疑似体験を行うことは、有効であろう。その上で、ベテランPMの意思決定から学ぶ疑似体験の機会を付加することで、実務と密接にリンクした効果的なプログラムになるとの着想を得た。

PM座学
ケースメソッドによる疑似体験
ベテランPMの意思決定から学ぶ疑似体験
自分自身の実体験 (OJT)

3.さいごに
 新しい年を迎え、今年、この疑似体験によるPM人材育成について、本格的に取り組もうと考えている。PMRの皆様が集まるPMRクラブでも、是非、意見交換を行いたい。新しいチャレンジの過程と結果を、是非、想いを同じくする皆様と共に、楽しんでいきたい。

※ご一読いただいたPM人材育成に関心のある皆様からも、広く意見交換させていただきたく、是非、お気軽にお声掛けください。
e-mail :   こちら。
TEL : 03-6204-7534

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