理事長コーナー
先号   次号

PMシンポジウム2013を終えて

PMAJ理事長 光藤 昭男 [プロフィール] :12月号

 “PMシンポジウム2013”が、江戸川区総合区民ホール・タワーホール船堀にて11月21、22日に開催された。 このシンポジウム大会・会長に就いて3度目であるが、参加者数を一番心配したが本大会であった。 結果は、大勢の方々が来場され、正直ほっとした。 何故か。 この大会は、例年9月の初旬に開催している。 多くの企業は7月から9月までは夏休み取得を推奨している期間に当たるので、競合するイベントが余り開かれない。 一方で、その様な時期だから比較的気楽に仕事場から抜け出て参加しやすいだろうということで、例年9月初旬に開催して来た。 今年で16回を数える。 ところが、会場のタワーホール船堀が6月から9月まで大掛かりな改修を計画し、やむを得ない時期の変更であった。

 PMシンポジウムでは、2日目、午前の基調講演では、約1300名の聴衆が収容される大ホールが必要である。午後は20~300名規模の中小7会議室を必要とする。 2日目は、11会議室を必要とするセミナー・ワークショップがある。 幾つかの準備室・控室も必要である。 大会開催時に“旬”となる先を読んでの大会テーマ選定から、その趣旨に合致した60名前後の講師の依頼、全講師から発表概要を収集して聴衆を呼べるパンフレットを作成し、募集まで含めた全準備期間は、大会の専任者がいても半年間では達成不可能である。 更に、非営利特定活動法人(NPO)であるPMAJは、極力廉価な会費でシンポジウムを提供するのが使命である。 価格だけであれば、公共の施設がある。 しかし、その多くは半年前に抽選で決めるので、万が一にも抽選にもれたら大会を開催できなくなる可能性がある。 これでは、会員にご迷惑をかけることになる。 調べてみると、これらの要求を同時に満たす会議場は、実は都内にあまりない。 大会ごとに来場者のアンケート回答を戴いている。 そこには、都内の西方や横浜方面の参加者と思われる方々から、東京東部の船堀は遠く、近い山手線内での開催を希望される方が必ずおられる。 毎年都内の会場調査はしているが、どう工夫しても負担増は避けられない。

 この様なことから、タワーホール船堀を使い続けているので、遠方の方にはご迷惑をお掛けし続けている。 今年の会場は約1年半以上前に仮予約をしている。 毎年続けて利用しているので、早めの予約も許容されている。 会場側の経営からすると、例えば何らかの理由で半年前にキャンセルされると、大ホールの予約を埋めることは、準備の関係からほぼ不可能となる理由もあり、お互い信用関係が構築されている。 これら万事、PMAJの先輩のお蔭である。

 今年のテーマである「新たな価値創造、そして成長」は、例年より遅い3月末に決めた。 その頃は、東京証券取引所の株価指数も上昇し、日本経済にも明るさと希望が持てるマスコミの報道が相次いでいた。 政府が詳細内容を公表しようとしていた「第三の矢、成長戦略」の具体策に対して大きな期待が寄せられていた。 その中でも高頻度で取り上げられたキーワードが、“イノベーション”であり、“女性の活躍”であった。 基調講演は、それぞれの第一人者にお願いすることにした。 幸いにも、一橋大学イノベーションセンター長を経験された米倉誠一郎教授と、株式会社イー・ウーマンの佐々木かをり代表取締役社長にご快諾を頂き、講師依頼は順調に進んでいった。

 最大の不安要因、すなわち、プロジェクトマネジメントで云う処の“リスク要因”は、大会開催の11月下旬であった。 行楽でも、ゴルフでも、11月は行事のトップシーズンである。 各種の大型イベントはこの時期に行われる。 プロジェクトマネジメントとは直接的には関連なくても、多くのコンベンションやシンポジウムが開かれていると、当大会に出たいと思う参加者も会社を離れ難くなることがあるだろうと容易に想像できた。

 これは難しい判断である。 わかる範囲で対策を練った。 幾つかの誤算が生じた。 そのひとつに、募集開始の時期があった。 例年の9月初旬開催の場合は、6月上旬にはホームページ上に大会募集要領を掲載していた。 11月下旬開催の今回は、これに従い単純に2ヶ月半程度を後ろにずらした。 ホームページに募集要領を掲載し、大会パンフレットも配布しだしたのはお盆明けであった。 これが悪かった。 お盆から9月の中旬にかけては、企業はお休みモードである。 初めの1か月は、参加申し込みが例年のペースで伸びず焦ったことを記憶している。 10月に入って昨年のペースを取り戻したが、最終の締切り時には80名程度昨年の実績を下回った。
 
 誤算は、これだけでない。 シンポジウムの準備を含めた計3日間、多くのボランティアの方々は有給休暇を取って参加される。 11月は9月と違って休暇が取りにくいため、例年2日間連続で来て頂いたボランティアの人員数は減っていた。 学生ボランティアも学園祭などで同様のことが言えた。 結果的には、多くの方に駆けずり回って努力して頂いたことで、幸いにも最低限のボランティアの方々に来て頂いたが、肝を冷やしたことだけは間違いない。 ボランティア募集に努力して頂いた方々、急な要請にも係わらずに来て頂いた方々には、本当に感謝を申し上げたい。

 次に、本大会の印象を述べる。 参加者実数は昨年より少ないが、会場での現場的感覚では昨年よりも多くの方が会場におられたと感じた。 女性の参加者も例年より多かった。 今までアンケートで、“PMシンポジウム”は女性が少ないと指摘されて来ていたので、実行委員の幹部に女性起業家をお願いした。 基調講演に女性をお願いしたことは先ほど触れた。 ボランティアでも女性が増えていたし、多くの女子学生ボランティアは初めてでないかと思う。 懇親会の参加者も多かったことは、嬉しい誤算であった。

 最後になるが、大会寸前に判明した誤算が、大寒気団の来襲予報であった。 9月大会はまだ半袖の季節である。そのため、本大会では誰もコートの始末のことまでは思いつかなかった。 大勢の方が分厚いコートを着てこられたら、クロークを準備しなくてはならない。 会場には1300名分の荷物置く場所がないし、対応する人手の手当も間に合わない。 祈る気持ちで、当日の朝を迎えた。 幸い、前夜は放射冷熱の少ない曇り、当日は快晴であった。 コート着用の参加者は少なく、大会委員は安堵の気持ちで胸を撫で下ろしていた。 この様に多くの方に支えられた“PMシンポジウム2013”であった。 この場を借りて、参加されました方々、更には、大会を支えて頂いた方々に深くお礼申し上げます。 来年の“PMシンポジウム2014”は、2014年9月4、5日の2日間を予定している。 残すところ9ヶ月です。 “鬼が笑う”来年の話です。 是非ご参加ください。

以 上

ページトップに戻る