金田 竜一
1989年 日揮情報システム株式会社入社
現在、ビジネスソリューション事業部所属
PMR、PMAJ会員 情報処理技術者 (プロジェクトマネージャ)
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わが社とPMAJへの期待
日揮情報システム株式会社 金田 竜一:
[プロフィール]
:11月号
当社はエンジニアリング会社日揮の子会社と言う生い立ちもあり、以前からプロジェクト管理には力を入れておりますが、プロジェクトの大半がICTシステム開発・運用保守である特性や、ISO対応、CMMI準拠などの時代の流れに合わせてその仕組みを改変、改良して現在に至っています。そこでここでは当社のプロジェクト管理の仕組みについて簡単にご紹介したいと思います。
まず、組織的にはチーム、部門、全社などの組織階層毎にレビュー体制を敷いてプロジェクトの遂行上で発生する様々な課題やトラブルを早期に発見して適切な支援・対策を採るための仕組みを設けています。また、納入するプロダクトがお客様と合意した出荷基準を満たしているか判定する仕組み、会議体を設けています。さらに営業活動開始時点から受注、プロジェクト計画、遂行、終結、評価までのプロジェクトポートフォリオを一貫して管理するためのシステムとしてPOSデータ社のSmartPMOを採用、プロジェクト実行予算管理および完成予測を含めたコスト管理には自社パッケージのJ+Project会計を利用しています。これらの制度や支援システムを利用するにあたっては標準WBSを定めており、各ワークパッケージ毎にその時点で行うべきタスクと標準成果物を規定しています。これにより担当者の固有ノウハウに依存せずとも一定のアウトプットを作成するための手助けとなります。また、WBSを核にしたナンバリング体系により、作業毎の投入リソースや投入量、調達物のコストがすぐに分かり、MS Projectなどのツールと組み合わせて利用することにより、プロジェクトの運営を円滑に行い易くなっています。
このようにプロジェクト管理を支援するための環境は大分整ってきましたが、それでもまだ不十分な点もあります。それは過去事例の実績に基いた標準工数が明確に規定できていないことです。過去にタスクフォースで何度かチャレンジしてきましたが、開発手法が変遷することやパーマネントな組織でなかったこと等もあり、なかなか継続的な活動に結びついておらず、今後の課題と言えます。
PMAJへの期待としては、これまでのセミナーや発表事例などから膨大なプロジェクト管理の実務に有用な知識が蓄積されていることと思われるため、これらを出版物にするなど再利用可能な形で未来への資産にすると良いのではないかと思います。そのためには版権や活動パワーの問題など、クリアすべき点があるかと思われますが、各会員企業の力も借りて是非実現していただきたいと思います。