PMシンポ便りコーナー
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「 介護保険サービスはプロジェクトマネジメント 」

PMシンポジウム2013 人材育成トラック サブL 小野 雅子 [プロフィール] :11月号

今年の8月に父は72歳で永眠しました。15年間大腸がんを患っていましたが、病院ではなく自宅介護で最後を看取ることができました。自宅で介護をやりきれたのは、面倒をみる家族が母と私の2人いたこと、介護保険サービスがうまく活用できたことの2点があげられると思います。
自宅介護は、介護保険を使って家族、ケアマネージャ、ヘルパー、主治医、看護師、福祉道具の販売・レンタル業者のメンバーでチームを組みます。居宅サービス計画書を元に具体的な体制が決まってから、キックオフがあったのですが、キックオフをやると聞いたとき、介護もプロジェクトマネジメントなんだと思いました。役割についてですが、リーダーは家族になります。スケジュールの作成、作業内容の決定は、家族が行います。我が家では、母がリーダーになり、私は資金調達(稼ぎ頭のため)と母の相談役(愚痴を聞いたり(重要!)、大筋の決断)、介護道具の工夫でした。
ケアマネージャは、介護スケジュールの提案、ヘルパーの調達・調整、家族のサポートをします。ヘルパーさんは、複数名でこちらの希望する時間で可能な人が担当してくれました。父をなるべく一人にしないように計画を立てるのですが、介護する側の息抜きや買い物をしたいときにもヘルパーさんにお願いしました。ヘルパーさんに出来ない介助以外の行為(健康チェック、療養の世話・助言)は看護師さんにやってもらいました。父の具合が悪くなるにつれ、看護師さんに来ていただく機会が増えました。主治医の先生も定期的に往診してもらいました。病院に行って何時間も待たされることを考えると、先生の往診は大変ありがたかったです。歯医者さんにも定期的に往診してもらいました。薬も届けてもらいました。父の飲み薬が多く、用意するのが大変だったのですが、1回の量を1袋にまとめてくれたり、錠剤を細かく砕いてくれたりと、大変ありがたかったです。
福祉道具は、必要な道具を月々数百円~数千円でレンタルできます。介護ベッドは最新式のハイブリッドエアマットレスをレンタルしました。どこがハイブリッドかというとエアマット+床ずれ防止にマットが自動的に傾き・体位を変えてくれるのです。手すりの取り付け工事も1割負担で済むのですが、こちらは見積もり中に父が歩けなくなってしまったので、中止になりました。
ここでのプロジェクトマネージャーは、母でした。父の食事の準備や身の回りの世話はもちろんのこと、父の状況を記録し、主治医に相談しながら痛み止め(麻薬の発布や粉薬)の量のコントロールをしたり、出先でもヘルパーから父の状況を確認したり、ヘルパーにやってもらいたことの指導や働きぶりを観察し、時にはクレームをあげたり等、本当に良くやったと思います。
最後に介護は、一人でするのは厳しいと思いました。我が家は、生活費を稼ぐ人と、介護に重点を置く人と2人いたから何とかやれました。それでも介護する人の精神面・健康面を支えてもらえる介護保険サービスがあったから出来たことだと思っています。
以上

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