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「グローバルで通用しているビジネスの常識を学ぼう」 (19)
―日本再生へのアプローチ (3)―

渡辺 貢成: 10月号

A. 先々月はグローバリゼーションの負の面の話があり、日本企業の「モノづくり」に対する発想を変える必要を理解した。これに対しEさんからグローバリゼーションの正の面を話してもらった。
その内容は「先進国は成熟すると、消費者は欲しいものが少なくなり経済の成長率が下がり、投資資本の利益率が下がる。国際金融資本は先進国への投資を減らして新興国への投資に切り替えた。國際金融資本は新興国に「資本と技術と人材を供与した。そこで従来にない新興国マーケットを開発し、先進国時代になかった経済の拡大に成功した。これが正の面だという。新マーケットがなければ不況から恐慌になっていたかもしれない。ただし、この政策が成功したのは2つの画期的な戦略があった。
  実物経済からは新興国に投資する莫大な資金がない。そこでデリバティブという金融派生商品を開発し、実物経済の100倍の金をつくりだし、新興国投資に活用した
  新興国は量産品型の製造業を引き受けたが、自国内でその商品を買える消費能力は育っていない。これらを引き受けたのは米国のマーケットである。だが年々増える貿易赤字の解消という課題が米国に残った。
  これが今月の課題となった。Eさん説明してもらえるかな。
E. 承知しました。その前に上記①、②は素晴らしいイノベーションだと思います。これらを考えたのはみな頭脳明晰、金儲け能力抜群のユダヤ人達です。
  1. 米国:『世界のマネー集中一括管理システム』構築宣言(1995年)
米国クリントン政権のルービン財務長官は1995年に世界中のドルを米国が一括管理する旨の宣言をした。
図の説明
    米国は貿易赤字国である。赤字の75%は先進国との赤字貿易であった。
    アジアの新興国に投資し、先進国の製造業を新興国に移転しよう。新興国からの製品は先進国より安価にできるように大規模製造業方式を指示し、これに投資しよう。
そしてそれを輸入すれば、75%の赤字は50%(安価なため)になる。
    米国からの投資先は、新興国で量産型製品を低コストで商品化させる。しかし無駄な過当競争はさせない。(投下資本利益率向上のため)
    新興国での投資は利益率が高く、収益性が高い。これで投下資本利益率を高く保てる。
    幸い米国にはオイルマネーの流入がある。投資の金に困らない。
    貿易赤字については応分の額の米国国債の購入してもらう。(貿易赤字の削減と米国への投資という効果)
  米国の「マネー集中一括管理システム」の誕生

  2. 米国としての国家損益計算書
    貿易収支    
      営業利益   △X
    営業外収支    
      営業外損失 米国債の利子支払い (対中国) △Y1 (中国)
        オイルマネー利子 △Y2 (アラブ)
      営業外収益 中国への投資利益収入 +Z1
        技術料収入 +Z2
    経常利益 =△X+(△Y1+△Y2+Z1+Z2)>0

  注: 国債の利子は投資利益に比べ一桁違う。
    営業損失と投資利益・技術料のバランスの操作で貿易赤字が吸収できる。
    米国民は借金してでも購買意欲があることが、この関係を成立させている。
    購買する国が投資しているので確実なビジネスといえる。

    ユダヤマジックのお話は理解してもらえましたか。
A. 面白い話をありがとう。来月は各人が日本再生の意見を出してもらう。

以上

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