「ダイバーシティ時代のプロジェクトマネジメント」
~多様な人と出会い、活かす力~
私が社会人になった頃は、友人とのコンタクトを取り続けることも、また、自分と異なる世界の人々に出会うことも容易ではなかった。異業種交流に参加する人も、周りにほとんどいなかった。当時に比べると、今は出会いのチャンスに満ち溢れている。エキサイティングな時代に我々は生きている。ITの発達により、「多様な人と出会って仕事やプロジェクトに活かす」ことへの障害は、限りなく低くなった。私自身の知人も、現在雪だるま式に増えている。その中で、将来仕事につながりそうなつながりもいくつか出てきた。読者の皆さんの参考になればと思い、例をいくつか紹介したい。
1. フェイスブックを通じた広がり
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「グローバルなビジネス展開に関心がある人達のグループ」で案内されていたイベントに申し込んだところ、主催者の方とフェイスブック上でやり取りが始まった。私の強みや関心等について書いていたところ、「レジュメ関連のセミナー」の講師をしないか、という打診を現在受けている。ボランティアとしての参加になるが、「レジュメのプロ」としてのブランディングには役立ちそうだ。
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② |
「多様な文化と接する際のコミュニケーション力を高める」目的で、先日新しくグループを立ち上げた。私が英語指導をしている方々が、勉強方法や学んでいること等を共有することで、お互いに刺激を受け、英語を学ぶモチベーションを高めてもらいたいというのが理由だ。「立ち上げた」というと格好いいが、実は、私はIT系に詳しくないので、受講生の方にお願いして立ち上げもらった。
私でもマニュアルを読んだりネットで検索したりして、グループを立ち上げることはできただろう。しかし、多くの時間がかかり、いらいらもしただろう。苦手な分野があっても、この例のように、誰かとコラボレーションすればいい。いいアイデア を迅速に実現するためにも、ITと人の力を上手く借りたい。 |
2. リンクドイン(フェイスブックのビジネス版のイメージ)を通じた広がり
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リンクドインでも、フェイスブックと同様、自分が関心のあるグループに所属することができる。ビジネスに従事する女性を支援するオーストラリアのグループでは、先日主催者から、「ネットワークを広げることで、ビジネスチャンスを広げましょう!」という呼びかけがあった。それに応じたところ、数名の方々とのつながりができた。直接会ったこともない方々だが、将来オーストラリアと提携して何かをやりたいと思った時には、力になってくれそうだ。もちろん、彼女達が日本でビジネスをやりたいと思ったら、できる限りの協力をするつもりだ。
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リンクドインでつながった外国人の方から、彼が作成した英語プログラムの評価をしてほしい、という要望を受けた。多忙だったけれど、依頼されるとなかなか断れない性格なので、丁寧にコメントしてあげた。すると、お礼の言葉と共に、「自分が協力できることがあったら、ぜひ連絡して欲しい」というメッセージが届いた。Give & Takeの精神だ。 |
3. メールを通じた広がり
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メールベースでも、人脈は十分広がる。あるイベントで知り合った方が、彼女の知り合いのそのまた知り合いから受けた依頼に基づき、私に連絡をしてくれた。その結果、某新聞社で開催された、レジュメについてのパネルディスカッションに私が出席する、ということもあった。 |
こういった例を通じて思うのは、ネットとリアルの間を行ったりきたりして、人脈が広がっていくということ。リアルに会う人のことを事前にネットで検索して知る、会った後でその人のことをより深く知る、会った人と連絡を取り合い、お互いの間の距離をぐっと短くする、そんなこともたやすくできる。
私の場合は、まだ身近なつながりでしかないけれど、もっと大きな活動につなげている人も増えてきた。例えば、東北地方太平洋沖地震後に、写真複製のプロジェクトを実施した人がいる。写真の加工を専門とするベッキー・マンソンさんは、東北地方で発見された写真を見て心を痛め、「写真を修復して、人々の思い出や人生の記録を再生する支援をしよう」と、フェイスブックやリンクドインで呼びかけを行った。すると、5日以内に80人から、そして2週間以内に、12カ国から150人から協力の申し出があり、結果、6ヶ月間に、計1,100人が135,000枚もの写真を修復したという。(TEDという団体が主催している講演会でのプレゼンテーションより)社会的なプロジェクトをしたい人が、ネットを通じて呼びかけ趣旨に賛同した人から資金を得る、という話も新聞に掲載されていた。
今、我々は、見知らぬ者同士をつなげる強力なツールを手にしている。これらをどううまく活用して、日本や世界に役立つプロジェクトにしていくか、P2Mを学んだわれわれ一人ひとりが試されている気がする。
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