① 「仕組みつくり」について
日系中小製造業の“ものつくり”を支えているのは「日本人の職人根性による愚直さ」や「ボトムアップでのチームワーク」である。製造現場での全員の営利的でない自発的な行動が企業活動の創造性を高めてきた。日本人は個人の権限・責任が曖昧でも、企業の共通の目的に一致団結して取り組んで大きな成果を生みだすことが出来る。これは日本人の独特のDNAであり、この特徴を生かした「仕組みつくり」が必要である。
② 「人つくり」について
現在のようなグローバル化の時代には、多国籍の人材の能力の活用も重要である。最近の雇用形態はプロジェクト的になり、「何でも屋さん」(ジェネラリスト)」から職務毎の「プロフェッショナル(スペシャリスト)」へとシフトしている。時代が求めるプロフェッショナルを育成する「人つくり」が必要となる。
③ 「組織つくり」について
日本の長所と欧米の長所の融合が必要となる。具体的には “日本人の職人根性による愚直さ”と“日本的なチームワーク”と“欧米的なプロフェッショナル”を融合した人事制度が求められている。優秀な外国人を企業内に受け入れるには、従来の日本的な「高コンテキスト社会」からオープンな「低コンテキスト社会」へのシフトも必要になるだろう。日本人なら「阿吽の呼吸」で通用するが、外国人には「言葉や文章による明確な表現」が必要となる。
この様な時代の変化に対して、日本人は明治時代から「和魂洋才」の精神で困難を克服してきた経験がある。これまで日本人は、外国の思想や文化を吸収する場合、そのまま受入れるのではなく日本のやり方に適合するように様々な工夫を加えながら積極的に取り入れてきた。中小製造業もこのようなフレキシブルで機動的な「組織つくり」をやっていけばおのずと道は開けてくるのではと思われる。そうは言ってもやはり「日系中小製造業の人事制度の見直し」はむつかしい!