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「ダイバーシティ時代のプロジェクトマネジメント」
~海外旅行を楽しむ力~

井上 多恵子 [プロフィール] :2月号

 非日常の海外旅行先では、ハプニングはつきものだ。何かが起きるからこそ、なんとなく流れてしまいがちな日常とは異なり、記憶に強く留まる。とは言え、ハプニングをできるだけ減らして海外旅行を楽しめた方がいいに違いない。先月のアメリカ出張の経験を中心に、Tipsを紹介する。

1.出発編
時間的な余裕を持って、搭乗口に到着する
 「やばい!飛行機に乗り遅れるかも!」と焦るのは、精神衛生上とても良くない。「格安チケットだから、チケット代は返ってこないかも。会議をリスケし、ホテルの予約もキャンセルしなきゃ」次から次へと悪い方向に頭が働き、血圧が上がっていくのを感じる。
 これまで2回経験した。1回は、「今回は荷物も預けないし、1時間半前に空港に到着すればいいだろう」と気楽に考えて乗った成田エクスプレスが、なんと信号故障で停止状態になってしまった時のこと。「運転再開の目処たたず」という車内アナウンス。事態を悪化させたのは、会社から借りた携帯電話からインターネットにアクセスする方法がわからず、振替輸送手段と飛行機会社の連絡先を調べられなかったこと。大いに焦ったあげく、車掌さんに調べてもらい、ぎりぎりの到着になることを飛行機会社に伝えたものの、搭乗口までの全力疾走は免れず、「2時間前到着は必須」と心に固く誓うきっかけとなった。
 2回目は、チェックイン後、飛行機の故障のためラウンジで待っていた時のこと。飛行機会社からもらった食事券で食事をしてラウンジに戻ったら、「もう少しで出発する便に乗れることになりました。走ってください!」と言われた。一緒のフライトに乗ることになっていた上司が交渉をして、便を変更していた事実情私に伝わっていなかったのだ。心臓パクパク状態で、「ゼーゼー」と言いながら飛行機に乗り込んだ私に、上司は涼しげな顔で、「携帯番号を聞いていなかったから」と一言発した。同行者がいる際は要注意だ。

2. ホテル編
セイフティーボックスに物を入れる際は、扉に接触させない
 NYのホテルでは、部屋のセイフティーボックスが開かなかった。「えー!暗証番号を押し間違えた???」焦って何回かトライしたが、ダメ。ホテルの人に来てもらってわかったこと。セイフティーボックスの扉に資料が触れていたことが原因だったらしい。

お気に入りの服は、クリーニングに出さない
 同じくNYのホテルでの出来事。クリーニングに出したスカートが、巨大な安全ピン二つでハンガーに留めた状態で返却されてきた。「折りたたんだ状態での返却」欄にチェックをして出したのに!交渉してクリーニング代は返してもらったが、スカートには4つの小さな穴ができてしまった。インドで大学院の寮に宿泊した際には、部屋番号が洋服のタグにマジックで書かれた。日本と同程度のサービスが得られると思ったら、大間違いだ。

電話等は、そのままの状態で使えると思い込まない
 サンディエゴのホテルに到着。部屋の電話を使おうとするも、回線がつながっている音がしない。部屋を掃除した際に、メイドさんが誤って、Lineと書かれたボタンを解除したことが原因らしい。ちなみに、別の部屋に泊まった上司の電話も同じ状態だった。また、LANケーブルにつないだのにインターネット接続が上手くいかず、PCをいろいろといじった挙句、「もしや?」と思って確認したら、LANケーブル自体がコンセントに繋がれていなかった。使える状態にしておくのが、サービスだとは思わないらしい。

3.タクシー編
クレジットカードは複数枚持っておく
 ダイナースカードが使用不可というインドの例はあるものの、最近では、どの種類のクレジットカードでも大抵使用することができる。ところが、帰国の途に着くため、NYのホテルから空港まで乗車したリムジンでは、VISAカードが使えなかった。運転手が持っていた、いかにも古そうなポータブルの機械では、「新しい」カードでは印字ができないらしい。現金はほぼ使い果たしていたので、ダイナースカードを持っていなかったら大変だった。

乗り込む前に確認を忘れない
 アメリカでは、運転手と会話が通じるとは思わないほうがいい。移民の方が多く、英語に強い訛りがある場合があるからだ。チップはトール代を除いた金額に支払うという決まりがあったりするので、金額等は事前にネット等で調べておくといい。また、行き先がわからないのに、わかった振りをする運転手がいるので、要注意。地図を持参して、乗り込む前に行き先がわかるか、チェックするのがお薦めだ。

4.心編
 海外旅行を楽しむためには、ハプニングを減らすことに加えて、違いを楽しむ柔軟な心を持てるといい。例えば、アメリカでよく聞くEnjoy!という表現。日本では、レストランでウエイターが、「どうぞ楽しんで!」とはあまり言わない。日本人にとっては、Enjoy!は「軽い表現」とられるかもしれない。でも、私は、これは日々を楽しくさせてくれる、いい表現だと思っている。実際Enjoy!と言われると、気持ちがウキウキする。違いを拒絶するのではなく、興味を持てると、旅行が一層楽しくなる。

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