PMシンポ便りコーナー
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PMこそ、製造業復活のカギ

PMシンポジウム2012 製造トラック リーダー 石橋 良造 [プロフィール] :1月号

あけましておめでとうございます。

新年号にあわせてコラムを書く機会をいただき、幸先の良い年となりました。
早いもので、PMシンポジウムの企画・運営に参加させていただいてから3年目の年となりました。モチベーションとなっているのは、普段の仕事ではできない経験ができるということに加えて、
「日本の製造業の力になりたい」
という思いを行動にできる場だからだと思います。日本の製造業衰退が言われ続けている中、昨年は電機メーカーの大幅な業績ダウンが話題になりましたが、このまま衰退していく姿を見たくはありません。日本メーカーには世界の人が憧れる製品を作る輝く存在になってほしいのです。

製造業の衰退はPMシンポジウムの参加者にもあらわれています。製造業からの参加者は年々減少傾向で、2012年は 7% しかありませんでした。寂しい限りです。クルマや携帯電話はもちろんのこと、家電などでも、製品開発は技術的なことよりもマネジメント面での複雑性が高くなっており、プロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントの重要性、必要性は高くなっているはずなのに、です。
たとえば、最新の部品やモジュールを採用するというのは、それらのメーカーとの並行開発をマネジメントするということです。たとえば、製品の高機能化というのは、増加する設計チーム間のコミュニケーションをマネジメントするということです。たとえば、生産拠点のグローバル化というのは、他社の海外工場も考慮した製造性設計や段取りをマネジメントするということです。
このように、今の製品開発は、回路や機構、制御などの技術を追求し、企画、設計、試作、製造という工程管理を徹底するだけでは、価値や品質を作り込むことができない状況にあります。製品を特徴づけるために新しいデバイスやモジュールが必要となるときには、その部品やモジュール・メーカーの技術力や製造能力を見極め、それに合わせたつき合い方を検討し、実行することが大切になります。共同開発に近い形態を取らなければならないこともあれば、量産のためのノウハウを提供しなければならないかもしれません。製品開発は多様化、複雑化しており、技術者やプロジェクトマネジャーは、従来の開発工程管理よりも高度なプロジェクトマネジメント・スキルが要求されています。

だからこそ、製造業こそプロジェクトマネジメントを学んでほしいし、PMシンポジムに来てほしい。この2年、製造トラック・リーダーをやらせていただいたのも、製造業からの参加者を増やしたいからであり、製造トラックをより魅力的なものにしたいと考えました。そして結果的に、2011年はどのトラックよりも高い満足度を取ることができ、2012年には立ち見も出るほどのセッションを提供することもできました。
ただ、狙ったことができたという達成感はあるのですが、製造業の参加者は全体の 7% しかいないという現実には、歯がゆさがつのるばかりです。前進できていません。そこで改めて、
「2013年は製造業からの参加者を増やす」
ことを今年の目標にしたいと思います。そのためには、魅力を感じるセッションをそろえることはもちろんですが、PMシンポジウムの存在を知らない人が多いことも課題だと思っています。実際、製品開発に携わっている人と話をしても知らない人が多いのです。プロジェクトマネジメントそのものやPMシンポジウムの価値を製品開発の現場に伝える方法も考えなければと思っています。

さて、年の初めのせいか、「一年の計は元旦にあり」的なことばかりになってしまいました。日々の目の前で起こることに振り回されないように、そして、今年の抱負を忘れないように、 引き続きPMシンポジウムにかかわっていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。

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