B. |
日本人の特徴を考えてみました |
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① |
モノづくりの職人は作品に自分の魂を植えつけた。これは職人だけでなく、一般人も製作したモノを擬人化してまで大切にしてきた(ロボットに名前までつける) |
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② |
庶民の美的センスが高い(センスの良い消費者がいる) |
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③ |
日本人は美食家である(日本には世界中のうまい料理が食べられる) |
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④ |
日本人は基本的に創意工夫が好きである。(阿吽の呼吸があり暗黙知X暗黙知で商品開発に優れている) |
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⑤ |
自然を愛している。これを大切にしている(多くの自然が残されている) |
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⑥ |
厳しい自然の中で暮らしてきたため、自然の脅威に対処するために関係者が集団として協力する習慣が身についた。同時に我慢強さも持っている。(自然への敬意) |
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⑦ |
日本は一神教でないため、神への絶対服従的な厳しさがなく、多神教なため、少しの相違は完全に合意しないものの、受容性(ある範囲で認め合う)を持ってまとめている。(日本は宗教戦争がなくてよかった) |
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⑧ |
好奇心が強く、昔から新しいものずき。(江戸時代に世界の多くの情報を持っていた) |
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⑨ |
勤勉 |
B. |
まだいろいろあると思いますが、気がついたところは以上です。 |
A. |
やあ、ありがとう。君の説明で、日本人の「ものづくり日本」を世界に認めさせた理由がよくわかった。では日本は何故、元気がないのだろうか。ここでまた質問だが、日本が低落してきたことと、社会で何か大きな変化があったことに関連がありそうだがわかるかね。 |
B. |
わかります。日本が競争力1位だったのは1990年でした。まず社会に現れた現象はバブルの崩壊です。これは1995年ごろまでです。1996年になるとインターネットが普及し始めました。これで世界が大きく変わりました。 |
A. |
正確に理解しているね。米国は1978年に日本の製造業との戦いでの敗北を認識し、マルコム・ボルトリッジ賞を創出した。日本には「製品の品質では勝てない」から、「経営の品質を高めよう」ということになり、米国経済の再建をはかった。
まず、1990年MIT教授だったマイケル・ハマーがBPR(Business Process Re-engineering)を発表し、企業改革のために既存の企業組織やビジネスルールを抜本的に見直す必要のあることを提案した。これを受けて多くの米国企業はBPRに取り組んだ。この間日本企業はBPRを一種の改善で、日本のお家芸だからと関心を示さなかった。 |
B. |
日本の改善は「製品の改善」で、BPRは「ビジネス組織の改善」ですからその違いに気がつかなかったのではないですか。 |
A. |
そのとおりだね。ところでインターネット時代になり何が変わったと思うかね。 |
B. |
情報が国境を越えて飛び交いますから、グローバルなビジネスの機会が増えたことですね。しかし、日本企業は国内向きの製品開発に終始したのではありませんか。 |
A. |
君のいうグローバル向け製品の開発という発想は悪くない。だが、それ以上に大切なことがあるんだ。マルコム・ボルトリッジ賞で米国企業は「経営の品質を変える」という方針を出したことを覚えているね。1990年代は「組織のスリム化」を実行した。2000年になり米国企業が考えたことは、インターネット時代は「経済の変化のスピードが速くなる」ことだ。そのためには経営に「意思決定の速さ」が求められると考えた。そこで米企業の経営者は何をしたと思うかね。 |
B. |
そこまで考えていませんでした。 |
A. |
マネジメントを変えようと考えた。これまでのマネジメントは「モノ」をベースに管理することだった。たとえばトヨタのカンバン方式だ。ラインに部品がなくなると、補給する部品がラインに届く。在庫管理も製品で管理するというように「モノ」で管理していた。これを電子化された情報(ビット)で管理すると、安くて、正確で、その情報は世界中どこへでも飛ばせる。管理がグローバルになるよね。これを米国ではDBD(Digital Business Design)といって「経営のデジタル化」方式で組織のスピード化を促進させた。米国かぶれの日本人がこれに飛びつかなかったのが不思議だね。なぜなら、これで生産性が10倍にあがった企業もあるからだ。米国では経営全体がますますICT(Information Communication Technology)を利用する方向に動いた。 |
B. |
私はITが専門でが、多くの日本の経営者はITが苦手なようです。IT技術は新しいものが続々現れますから、やっと覚えても、また、新しいものでてきます。経営者も楽ではないですよ。そこでIT投資になるとIT専門部署に任せてしまうようです。 |
A. |
確かにそうだね。私もIT関連の本を読むと、省略アルファベット文字の意味がわからない、また解説を読むと中の単語が理解できない。あれにはまいるね。しかし、経営者はITのことを考える必要はないと思う。経営者がするのは、インターネット以降の大きな変化を踏まえて、自社の特徴を効果的に活かせる戦略を考えることだろうと思うよ。経営者のビジョンを明確に示せば、その方針を基にどのようなICT化をするかCIOとその配下に考えてもらえばいい。 |
B. |
わかります。その通りでしょう。しかし、戦略的に考えるとは具体的にどんなことですか。 |
A. |
ICTの世界では「仕組みつくり」が大切だと思うよ。「モノのづくり技術」というキャンペーは正確には正しくない。技術は単に成功のための必要条件ではあるが、一要素に過ぎないからだ。面白い例を話そう。IBMはすごい会社だった。大型コンピュータで世界に君臨した。IBMはコンピュータのOSをうかつにもビル・ゲーツに任せた。時代はパソコン(PC)が出現する時代となった。ゲーツはPCにウインドウズという優れもののOSを搭載した。このPCの使い勝手が優れていたため、世界中の多くの人々が購入するようになった。これがいわゆる「デファクトスタンダード」というもので、世界中のアプリケーション・ベンダーがこのOSに合わせたアプリケーションを提供すると、このPCはますますゆるぎない力を持ち始めた。PCの性能が向上すると、メーンフレーム時代からPC時代へと変化した。ここでIBMもPCを発売する羽目となり、一時期PCでも世界一となった。ところがウインテル(ウィンドウズとインテルの連合軍)は更にすごい戦略を考えていた。高級品商品としてのPCのコモディティ化戦略である。ウィンテル以外の部品を新興国で製作できるように関連技術を公開した。次にPCの製造標準マニュアルを新興国に提供することでPCのコストが新興国の人々が買える値段まで下げることに成功した。ここでIBMはPC製造を断念し、IBMは経営危機に直面した。では今までの話で、私は何を言いたいか、君はわかるかな。 |
B. |
おおよそ見当がつきます。「ものづくり技術」などといっても、グローバル競争では「勝てる仕組みをつくった」ところが勝ち、どんな大企業も、仕組み作りに失敗すると、覇権を奪われるということですね。 |